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ほとんどの中小は五ヶ月後に違法状態へ、「福利厚生」を非正規で上げるか or 正規を下げるか ≪十一の条文確認≫

2020.11.27 06:05

【ビジネス考察】 令和三年四月一日より新法『パートタイム・有期雇用労働法』が適用される。大企業は既に二年四月より適用。民主党政権下で成立。同一労働同一賃金を目指すもの。


十月十五日には最高裁判例で「福利厚生」も正規・非正規で平等にする旨が確定(地位確認等 請求事件;請求棄却判決)。三年四月一日以降、福利厚生が不平等な中小企業は、新たに福利厚生の訴訟リスクを抱える事になる(例;すでにキヤノンに日本郵政も…正社員の待遇下げて実現する皮肉な「平等」/BUSINESS INSIDER)。


全国三百六十万社ちかい中小・零細は殆ど福利厚生を平等、詰まり、同じにしてないだろう。政府も出資する一部の大企業は、既に正規の福利厚生を廃止し始めている。


正規の実質的な所得減を誘引する判決。現実的には非正規の所得増とはなり難い。最判が覆される可能性は極めて低い。今回の最判は、恒常的なものとなる見込み。



最判で明示した福利厚生は「特殊勤務手当(年末年始 勤務手当、年始期間の勤務に対する祝日給)」「扶養手当」「有給休暇」。これらが正規・非正規で同一でない場合は、『労働契約法』二十条の「不合理」に当たると。

労働契約法二十条にいう不合理と認められるものであるか否かを判断するに当たっては,両者の賃金の総額を比較する事のみに依るのではなく,当該賃金項目の趣旨を個別に考慮すべきものと解するのが相当



扶養手当では「相応継続勤務」がポイント。契約更新も含む。

有給休暇では「長期継続勤務」がポイント。契約更新も含む。有給休暇を与えず、勤務させると最高裁は「財産的損害」とした。会社側が非正規へ有給休暇を与えず、「非正規の損害は生じなかった」とする事は、不法行為に依る損害賠償請求(民法・第七百九条)等の法令に対し、違法と断じた。


ここで、新法『パートタイム・有期雇用労働法』を確認する。簡略意訳。

併せて、今回の最判を受けた訴訟リスクを→右項に記す。



 今回の最判で明確になった事は、非正規は正規並みのコストないし、それ以上となった事だ。訴訟するハードルは正規よりも非正規の方が低い為だ。


労働生産性から鑑みて、非正規よりも正規を雇った方が風評被害(企業信用)を抑える事ができるだろう。但し、解雇への縛りからトレードオフの関係となる。


ならば、一部大企業の様に先ずは正規の福利厚生を下げ、実質的な処遇を正規=非正規とする。ただ、これでは求人の面で不利となる。依って、「(九条)職務内容や職務条件が正規と非正規が同じ」や「(十条)職務内容・職務成果・意欲・能力・経験等」の様に圧倒的な差異を正規の中でつける。一般正規特別(エリート)正規の区分だ。


これであるならば、求人の面でも不利とはならないだろう。

  1. 特別(エリート)正規;圧倒的な成果を出すので、給与・福利厚生等を優遇
  2. 一般正規;会社が求める中程度までの成果を出せる
  3. 非正規(準正規);会社が求める低程度までの成果を出せる
  4. 非正規;成果は特に求めない


これらが依る所は成果である。正規に対し、明示的な成果(会社的には通常、利益)を法廷で証拠として提出できれば、区別は可能であり、合法となるだろう。特に労働生産性(付加価値額/正規)は強調できる所だ。


成果至上主義の会社に変われば、新法は脅威どころか、助けとなる。

給与等が見合うなら、直接部門への需要が増え、一般正規・非正規(準正規)のやりがいも増えるだろう。


画像:パートタイム労働法の概要/都道府県労働局