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香川大学医学部軟式野球部

紅白戦8/10

2020.11.24 07:24

とある夏の日の夕方、新入部員を交えての初めての紅白戦が行われた。

Bチームの先発は1年の中井。

投手経験のある期待の新人で本日も好投が期待された。

Aチームは1番向井は立ち上がり制球の定まらない中井の球をうまく見極め四球で出塁。

2番伊東がゴロで送り、1死2塁で3番好打者の黒田を迎えた。

しかしここで中井は勝負を避け四球で4番中村との勝負を選んだ。

今シーズンは不調の4番中村だがゆるいカーブにうまく合わせ打球はあわやフェンス直撃かと思われたが、メジャーばりの守備シフトによりフェンスに張り付いてた中堅手平田の手によって中飛となった。

中井はここで調子を上げ同じ1年の浅川から三振を奪い無失点で初回を切り抜けた。

裏のBチームの攻撃。対する投手は2年の黒田。

自粛の疲れが残っているのかいつもの如く1番平田、2番須山、3番中井四球で出塁させ無死満塁で4番増原との勝負になった。

ここでやっと調子を取り戻したのか、持ち味の重い速球を取り戻し4番増原を一ゴロで打ち取ると5番林を三振、6番坂東を邪飛と先取点を取らせることはなかった。


2回に入ると両投手調子を上げ共に三者凡退と軟野らしからぬしまった試合展開となった。

そして勝負が動いたのは3回。

Aチームの攻撃。

9番美濃が投ゴロで打ち取られるも、1番向井がまたしても四球を選ぶと今季調子を上げてきた2番伊東がセンター前に今試合初安打。そして3番黒田が期待に応えるようにライトに適時打を放ち先制点をあげた。

4番中村が投飛で打ち取られるもこちらも期待の一年5番浅川がセンター前に落とし追加点を奪った。

なんとか点を取り戻したいBチームは、初心者でありながら捕手を務める9番西谷が気力で内野安打をもぎ取ると2番須山の一ゴロで進塁。さらにここで一塁手浅川がボールをファンブル。それを見るや否や暴走したかのように三塁までも蹴り本塁を狙った。浅川も本塁へ送球するが捕手中村は体勢を立て直すことができず西谷に吹き飛ばされ1点を奪われた。

さらに黒田はこのプレーで力が抜けたのか3番中井に死球、4番増原、5番林に連続四球を与え押し出しで同点、続く6番坂東に置きに行った球を痛打され勝ち越しの点を与えてしまった。


点の取り合いとなったこの試合。

Aチームは編入生の2年箱田がセンター前にうち出塁すると昨シーズンのラッキーボーイ7番松浦がまたしてもその強運を発揮しサード藤田のエラーを誘い無死1,2塁とチャンスを広げた。そして9番美濃が内野ゴロの打つ間に両者共に進塁、1死2,3塁で好打者の向井を迎えた。

ここまでバットを振ることなく出塁してきた向井。なんとか自分の力で塁に出たいと意気込んだが、逆に力が入りすぎたのか打球は遊撃手坂東の正面。ゴロGOで突っ走った箱田だが寄る年波に勝てず途中で塁間で失速、そのままタッチアウトとなった。

2死1,2塁になるもまだまだ点が欲しいAチーム。

ここで2番伊東が打ち上げるも捕手西谷が落球し満塁で3番黒田を迎えた。

またしても得点圏に走者を置き黒田との勝負。投手中井もここが勝負所と感じさらにギアを上げていった。流石の黒田も打ちあぐねたのかファールで粘り勝負となったのは6球目。

直球を狙いすまし放たれたアーチ、黒田のバットから快音が響いたがここは左翼須山がフェンスに張り付いてたことが功をなし左飛と終わった。


そしてここから1点も取られたくないAチームは制球が乱れてきた黒田に代わって中堅手の伊東が投手へ、そして一塁手に黒田、中堅手に浅川と守備を変更してきた。

自粛期間中に新たな変化球を開発しようとして再び壊した肩を抱え、チームの窮地を救おうと半年ぶりにマウンドへと上がった。肩を壊したことにより得たスローボールとチェンジアップの2つの球種を自在に操り、先頭の7番塚口を四球、9番西谷にレフト前安打を許し早くも無死1,2塁。しかしここまで黒田の直球に慣れてきたBチームにとって30キロ近く遅くなった伊東の球は打ちにくいのか1番平田は体勢を崩され遊ゴロ。1死1,3塁として2番須山、3番中井を四球により出塁させ追加点を許しさらに1死満塁で4番増原と考えうる最大のピンチとなった。

増原に対して小細工は不要と意気込んで投げた遅球をそのままライトへ弾き返され、試合終了の兆しが見えるもここで右翼小國がフェンスへのクッションボールをうまく捌き、そのまま本塁への見事な返球を見せた。増原の打球を信じて悠々と歩いていた須山が本塁で憤死、それを見て笑って力が抜けた中井が三塁を大回りしすぎてそのまま転倒、そこを逃さずタッチアウトにより最大のピンチを最小失点で乗り越えることができた。また増原はこの状況を受け止めることができず一塁で茫然としていたため、2死1塁となった。

バイトにより帰宅した5番林から繰り上げられ5番となった坂東が遊飛により打ち取られこのビッグイニングを2失点で乗り越えることができた。


そろそろ点数が取りたいAチームの攻撃は、4番中村が四球で出ると5番浅川がこの日2本目の安打により1.3塁とし、7番箱田が遊ゴロに討ち取られるかと思われたが、ここで遊撃手坂東がエラー、この間に中村が本塁へ帰還し1点を取り返した。さらに8番松浦が四球で出塁すると満塁で9番美濃へと繋いだ。粘って待った7球目、美濃の打ち損ねたあたりは右方向へと転がり、そのままゲッツーコースかと思われた。

しかしここで一塁手増原と、二塁手住友がお互いのアイコンタクトを勘違いしたのか互いにボールから離れるという奇跡が起き、まるで自動ドアが開いたように一、二塁間をボールは悠々と転がっていった。さらにその自動ドアに驚いた右翼塚口がその球をトンネル。誰にも邪魔をされることなく白球はフェンスの近くまで到達した。

この奇跡の間に走者は次々と帰還、一挙3得点と差を詰めて行った。

同点となりここで打者は1番向井。レフトオーバーの二塁打で追加点を奪取し、なおも1死2塁と攻撃の手を緩めなかった。

そして続く2番伊東が初球を打ち上げると、不規則な打球は中堅手平田を困惑、そのまま落球させその間に1,2塁と好機を広げた。

しかしここで中堅手平田が何を考えたか、センターから1塁へのレーザービームを発動。油断した一塁手の増原はそのままボールをスルーし2,3塁とAチームの勝利が大きく近づくこととなった。

しかしBチームの投手中井はここで踏ん張りを見せ、3番黒田を三振としなんとかこの回を終えることができた。

日が暮れてきたため最終回となった5回。

2点のリードをもらいAチームのマウンドに上がったのは前の回に引き続き4年の伊東。

突如訪れたラストイニングにより心身ともに最高潮を迎えると、好フィールディングにより先頭の藤田を投ゴロに押さえ幸先の良いスタートを切った。

続く8番住友はファールで粘られるもカウントは3B2Sとフルカウント。

気持ちを乗せた最後の球は内角をえぐる綺麗な直球で三振を奪ったかのように思われた。

しかしここでBチームのキャプテン増原がベンチから飛び出てビデオ判定を要求。

あいにくビデオを用意していなかったためとりあえずノーカウントとなりフルカウントから試合が再開することとなった。これにより伊東の緊張の糸が切れ四球で走者を出し、続く9番塚口にセンター前、1番平田ライト安打と次々とランナーが溜まり帰ってきた。そして2番須山をインフィールドフライにより打ち取ると3番の中井にライト安打で追加点。ついに同点となり満塁で4番増原を迎えることとなった。

チームでここまで支え合い、追いつき、突き放したこの試合。もはや勝ちは消えたものの、なんとしても負け試合にしないため、チーム全員の思いを背負い、伊東は腕を大きく振り抜き渾身のスローボールを増原に対して投げ抜いた。対する増原も、Bチーム全員で最終回に追いつき4番の自分にまで繋いでくれたこの打席。期待に答えるべく大きくバットを振り抜いた。

両チームのキャプテン対決となった最終回のこの打席。その結果は増原のバットから快音が響いたことによりBチームの勝利が見えたかと思われたが、ここで右翼の小國がファインプレー。増原に対して深めに守っていたのが功をなし、最後は右飛に終わることとなった。


そして同点で日が暮れたため、勝敗はチーム対向のベースランニングリレーとなったが、2年塚口の活躍によりBチームが勝利。もう野球と関係なくなったため詳細は割愛させていただく。