ロジャー・グローヴァー #1 / 最新作"Whoosh"&ボブ・エズリン
ベテラン勢の中でも、孤軍奮闘でコンスタントにアルバムのリリースを継続してる感のあるDeep Purple。
ベーシストのロジャー・グローヴァーが今年リリースされた新アルバム “Whoosh” について、その制作過程なども語ったインタビューの訳です。
インタビュアーは久々の登場となりました、エディ・トランク!
E: エディ
R: ロジャー
ボブ・エズリンとの出会い
1:38
E: (3作連続のプロデュースとなる)ボブ・エズリンとバンドのつながりはどんな感じで?
ボブ・エズリンといえばアリス・クーパーとの長年の仕事で知られていて、私も何度かインタビューをしたことがありますが、Deep Purple がなぜ今彼とクリエイティブに新作を?
R: 約9年前に、彼がトロントに僕らのショーを見に来たことから始まったんだ。
ライブ本番の夜には会えなかったんだけど、翌朝に朝食を一緒に食べてね。
彼は僕らのミュージシャンシップや即興性を素晴らしいと評価してくれたことに加えて、「いかにもDPらしい曲を書こうとするな」とか「昔のヒット曲のことなんか忘れて、今の自分らしく音楽的な冒険をしろ」と助言してくれたんだ。
僕らはちょうど新作のために曲を書き始めた所だったから、そういった彼の言葉がすごく響いたんだ。
僕らがボブと一緒に作ってきた過去3枚のアルバムは、これまでとは全く違ったソングライティングの体験だったし、こういった楽曲は過去のキャリアのどの段階においても書けなかった曲だと思う。
彼との関係は上手く行っているし、すごく貴重なものだよ。
いつでも即興性やメンバー全員が同時にプレイしてレコーディングすることを良しとしてくれるしね。
僕らは何層にも音を重ねたりしないんだ。
僕らは実際にスタジオに入るまで、自分がその日何をプレイするのか厳密には理解していない。
でも、今回のレコーディングはあっという間に進んで、基本のバッキングトラックは2週間以内に録り終えたよ、日曜日はちゃんと休んだ上でね。
Vo.が付いたインストバンド!?
3:25
E: ボブとスタジオに入って、何もない状態から作曲を始めたんですか?それともある程度のラフなアイデアは事前に持った上でスタジオに?
R: 僕らはまずライティングセッションを設けるんだ、これは5人だけで行うものだ。ここでジャムをやったりリフを試したり、楽しみながらアイデアを出していくのさ。
2回目のセッションでは、1回目で出たアイデアのうち最も可能性を感じる曲の断片だけを選んで、それに取り組む。
その後、ボブと一週間一緒にやってその段階で固まっているものを披露し、再度洗い直す。
この次がスタジオに入る段階で、そこでボーカルのメロディや歌詞が生まれるんだ。
イアン・ギランの言葉を借りれば、「DPはボーカルというオマケが付いたインストバンドだ」からね。
E: 爆笑
R: 元々このバンドは、ジョン・ロード、リッチー・ブラックモア、イアン・ペイスらによってそんな感じで始まったからね。
バンドの音が仕上がってから、僕とイアンの二人でボーカル関係のことを組み立てていくんだ。
無駄を省いてくれる存在
4:50
E: ボブ・エズリンと言えば、スタジオではかなり厳しくて監督のような人として知られていますが、あなた方とスタジオにいる時もそんな感じですか?
もしそうだとしたら、あなた達はそれに対してどういうリアクションを?
R: 僕は彼のそういう側面が好きだよ。彼は非常にクリエイティブで、アイデアを思いつくことに長けている。
僕らはスタジオに入るまでに、必ずしも曲を最終形まで仕上げられるわけではない。(でも、ボブがいることで)そのスタジオに入ってから即興的な要素を加えてくれたり、上手くまとめてくれたりするしね。
それこそ、コード進行について揉めたりするような場面でも「そこはFで行こう」とかね。
2時間かかってしまうような議論も、彼のおかげで全然生じない。
これはドン・エイリーがソロパートを録音していた時なんだけど、「今のテイク、悪くはないけどもう一回やり直したい」と言うと、ボブが一言、「いいや、今のでOKだ」と…(笑)
僕らミュージシャンは、自分のことになるとすごく不安なんだよ。常にもっと良くしたいと思ってしまう。
でも、ボブは客観的な視点を持っているから、「いいや、これで完璧だ。ライブ感があってこれでこそ本物だ」と言ってくれる。
続く…