ロジャー・グローヴァー #2 / プロデューサーとして&S. モーズに求めたこと
ベテラン勢の中でも、いまだにコンスタントにアルバムをリリースしてる感のあるDeep Purple。
ベーシストのロジャー・グローヴァーが今年リリースされた新アルバム “Whoosh” について、そのプロデューサーでもある大ベテラン、ボブ・エズリンについて語ったインタビューの訳Pt.2です。
インタビュアーは久々の登場となりました、エディ・トランク!
E: エディ
R: ロジャー
同じプロデューサーとして
6:15
E: ロジャー、あなた自身もプロデューサーであり、キャリアを通して様々なプロデュースの仕事もやって来たと思いますが、ボブ(・エズリン)と仕事をして彼から学ぶことはありましたか?
もしくは、逆にボブが学ぶようなこともあったのでは?彼との仕事はあなたにどんな影響を与えたんでしょう?
R: 彼との仕事は、僕自身がプロデューサーであるという事実を(改めて)認識させてくれることに役立った。
何か決断をしなくちゃいけない場合、時に彼は僕の方を振り返って「どう思う?」と僕の意見を聞いてきた。
そういったことも含め、僕らはプロデュースという仕事に対して同じような姿勢を持っていると気が付いたんだ。彼は僕よりも熱量がすごかったけどね。
でも、それがプロデューサーの仕事なんだよ、アーティストが自らを開放して表現できる雰囲気を作ってあげることこそがね。非常にシンプルなんだよ。
もちろん技術的なこととかもあるけれど、プロデューサーがスタジオにいることで、クリエイティブな雰囲気を生み出さなければならない、というのが本質だ。
そして彼はそれを見事にやっている。だからこそ、彼は素晴らしいプロデューサーと言われる訳だけど。
僕自身は自分をそんな風に見たことはないけれど、ありがたいことに彼は僕の仕事を褒めてくれたよ。
こういうことを通じて、僕らは今や良い友達になったよ。
S.モーズ加入について
E: 実際、そうやって仕上がったアルバムは素晴らしいものですよ。
あなた方のように長いキャリアを誇りヒット曲もたくさん持っているバンドが、キャリアのこの段階においてもまだ新作の制作意欲があるなんて信じられないことだと思います。
同年代であなた方同様にヒット曲を持っているバンドの多くは、新曲を作ることにもはや興味がなく、毎年夏にツアーに出てヒット曲をプレイするだけです。
言ってしまえば、Deep Purpleだってもう必ずしも新作を出す必要は無いと思いますが、ミュージシャンとして、あなたは新たな曲を作り続けることが重要だと感じているということですよね、商業的な面は置いておいて。
それについて少し話して頂けますか?
R: そうだね、そう思っている。
僕らは僕らがやるべきことをやるのさ、それを止めることはできないよ。バンドには「もっと作りたい」という推進力が働いている。
僕らは長いキャリアを歩んできたのと同時に、そこにははっきりと時代の区切りがあると思う。
スティーヴ(・モーズ)がバンドに加入する時、彼は「僕には何が求められているんだい?」と訊いてきた。
僕は、「キミらしく弾いて欲しい。僕らはリッチー(・ブラックモア)のマネをするようなギタリストは求めていない。そんなことをすれば悲惨な比較が待っているだけだ。僕らは全く違うバンドになる必要があるんだ」と答えたよ。
彼が提示するものがバンドに合っているかどうかは、僕らがちゃんと伝えるから、ってね。
僕にとってあれはバンドの再生だったし、ボブと出会ったことも、色んな意味でバンドの再生だったよ。
1st アルバムの曲を再録
10:50
E: 今回のアルバムで、すごく初期の曲 “And The Address” を再録した理由は?
R: 僕らはそれぞれのアルバムでカバーをやる慣例のようなものがあるんだけど、この数年の作品は、いずれも僕らにとって最後のアルバムになる可能性があった。
で、今回のレコーディング時にボブが「DPの一作目の一曲目をカバーして、今回の最後の曲に収録するのはどうだ?」と提案してくれたんだ。
こうしておけば、(これが最後の作品になったとしても)素晴らしい原点回帰と言えるだろ?
僕らも「そりゃあアリだな!」と思ってあの曲をやることに決めたんだ。
終/