陰陽師
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2020年11月27日
こんにちは。バラ十字会の本庄です。
東京板橋では、そこここでサザンカが満開です。華やかな花を見ると明るい気持ちになります。
いかがお過ごしでしょうか。
山形県にお住まいの私の友人から、夢枕獏さんの作品についての文章を届けていただきましたので、ご紹介します。
▽ ▽ ▽
記事:『陰陽師』著者・夢枕獏
バラ十字会日本本部AMORC 理事 山下 勝悦
いつの間にか、作家・夢枕獏著『陰陽師』(シリーズとなっています)のファンになっていました。きっかけは何だったのでしょうか、全く思い出せないのですが、読み応えのある楽しい作品に巡り会えたなと思っています。
そこで今回は、この陰陽師シリーズの内容・楽しみ処などをご案内いたしましょう。もしよろしければ、しばしのお付き合いを……。
内容は平安時代に実在したと言われている陰陽師の安倍晴明と、彼の友人といった設定で、やはり実在したと言われている雅楽の名手、源博雅(みなもとのひろまさ)の二人が都に出没する魑魅魍魎(ちみもうりょう)が引き起こす奇っ怪な出来事に巻き込まれていくといったことが物語の中心となっています。
映画化もされた作品ですのでご存じの方もおられるのかと思います。
このシリーズの中で私が一番に気に入っているのが『龍神祭』という作品です。
内容は、源博雅が鬼(いわゆる妖怪)と笛の吹き比べをした際に、お互いに取り換えた笛、葉二(はふたつ)が天竺に住む神、善女龍王(ぜんにょりうおう)に無断拝借されてしまったことから物語が始まります。
その際に善女龍王が借用書代わりとして金の鱗(善女龍王とは龍の化身)を博雅の枕元に置いていくのです。そこで真相を究明するために晴明と博雅の二人に盲目の琵琶法師・蟬丸が加わり、三人で京の都の神泉苑の池から、時空を超えて天竺の大雪山(だいせっせん)の北にある湖、阿耨達池(あのくだつち)に行くのです。
そこで笛を持ち去った神、善女龍王に事情を聞いたところ、今日は百年に一度の祝事の日であって近隣の神々が参集して宴会が行われているとのこと。
そこで源博雅の持つ葉二の音が聴きたいということになり、黙って持ち出してしまったとのこと。ところがこの笛、博雅以外の誰もが音を出すことができないのです(楽器を操る神も)。
そこで博雅が善女龍王の依頼で蟬丸の琵琶と共に吹き始めるのです。すると宴席に参加していた神々が博雅の笛の音に感動し、一斉に湖上に現れ天空で踊り出すと云う、壮大なスケールの物語なのです。
とにかく面白いです。読み始めると止まらなくなってしまいます。急ぎの用事等を抱えていたりしている時には要注意です(笑)。
ところで……。内容の説明の順序が逆になってしまいましたが、どの物語も、たいがいは晴明と博雅が晴明の館で酒を酌み交わす場面から始まっています。ここは酒好きの方にはこたえられない箇所です。晴明・博雅らと共に酒を酌み交わしたくなる様な名文です。
ここの文章を肴(さかな)に、二三合ぐらいは軽くいけるのでは(酒くれ~!!)。
もう一つの楽しみ方が、どの作品も、この世のどこかで本当に起きているのではないか? といった錯覚に陥ってしまいそうになってしまうことです。まるで夢を見ている様な不思議な感覚を味わう事が出来ます。
それではもう一つ、別の作品をご紹介しましょう。『沙門(しゃもん)空海唐の国にて鬼と宴(うたげ)す』です。この作品も映画化されましたので観られた方もおられるかと思います。原作は四巻にわたる長編小説となっています。内容は陰陽師シリーズの安倍晴明を空海に置き換えたといった感じでしょうか。
一番の楽しみ処は、最初の巻で読書に提示された疑問の答えが最終巻で明かされることです(私の個人的な感想ではありますが)。つまり最後の最後まで気を抜く事ができません。加えて、全編を読み通すには、体力・気力に加えて根気(根性?)をも必要とします(これホントです)。
それでも、ぜひ挑戦しみてください。陰陽師シリーズに負けず劣らずに最高に面白い作品です。
コロナ禍で自由に出歩く事が出来ない現状の今。安倍晴明・源博雅・琵琶法師の蟬丸らと一緒に、酒でも酌み交わしながら時空を越えた架空の旅に出るのも一興ではないでしょうか。
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ふたたび本庄です。
私も夢枕獏さんの作品が好きで、かなり以前のことですが、『沙門空海唐の国にて……』を確かハードカバーで読んだ覚えがあります。amazonで調べてみたところ、今は文庫本も電子書籍版も出ているようです。
先日出版社の人と会話をしたときに話題になったのですが、今は読書家の方の多くが、大部分の本を電子書籍版として読み、これぞという本をハードカバーで購入して楽しむのだそうです。
確かに、紙の匂い、感触を感じながらの読書には独特の喜びがあります。