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FAVE SCHOOL & Cafe

Tomorrowオンライン講演会のダイジェスト(後編)

2020.11.30 10:12

11/6-7の二日間で開催された『Tomorrow~パーマネントライフを探して~』のオンライン会議のダイジェストです。のべ20人を超える方にご参加いただきました。市民活動家、元下関市役所職員、下関市環境課職員、教員、FAVE SCHOOLに通う中学生、山口大学の学生、下関に住んでいたことがある今は東京に住んでいる方、愛知県で市民活動をされている方、教育関連NPOの職員、起業家、元総合商社の方などなど…それぞれの立場からいろんなテーマについて話し合うことができました。


1【食料と農業】


日本の食料自給率の低さ

流通がストップすれば食糧危機に陥る現状に危機感がある。

下関市内で食料・住居・エネルギーの自給率100%を目指すべき!

域内で衣食住の自給を目指せば、自然と雇用が生まれ、持続可能な地域になる。

地方が生き残るには、環境問題への取り組みと持続可能性に挑戦していくしかないのでは?


農業の現状

一方で、これまでの農業の在り方では持続可能性がない。

農薬や化学肥料に依存するシステムになっている。

農協を通じて販売する野菜は規格やサイズが決まっていて、その規格やサイズに合わせるためには農薬や化学肥料が欠かせない。一方で、地球環境を考えると、農薬や化学肥料に依存することはいますぐにやめなければならない。

農協が消費者と農家に対して、啓蒙活動を進めれば現状が変わる。

現在の仕組みが変われば、希望のある未来に近づく。


農協にできること

減農薬・無農薬の野菜の推進。規格外野菜の買い取り。

農家には、新規就農者を中心に賛同者を増やす。

市民にも、そうした野菜を買うように呼びかける

農薬・化学肥料を使った野菜が、人体にどれだけの影響が出るのかを伝える活動をする


市民農園について

2年後に市が撤退するらしい。利用者は不満を抱えている。


牛肉について

肉の中でも特に牛肉は環境負荷が高い。

大量の飼料は大規模農業で育てられ(農薬や化学肥料漬け)、それを食べた牛はゲップをしてメタンガスを排出。肉が家庭に届くまでの輸送時にCO2が排出される。週に数回でも牛肉を食べない日をつくる。漁業資源の豊富な下関なら魚とのPRとあわせて可能なはず。


2【下関という街】

街の魅力

下関市はこれまで観光産業に力を入れてきて、下関市民に対する配慮が欠けている。

若者の都市部への人口流出と関係しているのでは?下関市民にとって魅力的な街かという視点に立つべき。


街にぬくもりを感じなくなった?

空き地で子どもが遊んでいたら、学校に通報され、先生が空き地の周りの家々に謝りにいく事態


大人の意識レベルが低くなっている

背景には、周囲と関わらなくても生きていける社会になったこと、核家族化、人口流出など、社会の構造による負のサイクルがある。法律通りの街づくりの限界。


大人の意識はどうやったら変わるのか?

一番の方法は人間的なコミュニケーション。

会話によって繋がりが生まれたら、“自分”から“他人”に目が向く。

空き地を使ったインクレディブル・エディブルのような市民農園は是非やってみたい。


空き家をうまく活用できないか?

町の設計はコミュニティーと深く関係している。空き地や空き家をうまく活用するには、その土地に住む人とのコミュニケーションが欠かせない。まちの防災計画をもとにまちづくりを考えると、地域の他人とのコミュニケーションも生まれ、その土地の風合いがでるまちづくりができるのでは。


若者にとって、家賃の支払いは大きな負担

空き家・家を信頼できる人とシェアして暮らしたい。

若い世代の人は(20代~30代)家をシェアすることに抵抗がなく、所有に執着していない。

むしろ、お金が浮くうえ楽しいと感じている。

地域の持続可能性を考える上で、若年世帯の定着は必須。


3【政治について】

人材・人の意識が社会を変える

市長をはじめ、市議会議員・行政に携わる人が、しっかり舵を取っていく必要性。

市民も市長の立場になったつもりで、街の未来を考える人が増えなければならない。

一人二役。いろんな視点で、多様な考え方ができる人材が必要。


下関市議会の現状

町内会長レベルの視野が狭い議員が集まり、市レベルの視野での議論が少ない。

議論をしていない議会になっている。

市議は7~10人程度のほうが、責任をはたしてくれるのではないか。(現在34人)

議員数を減らす代わりに秘書を付け、きちんと政策提言・条例案提出ができる人材を増やす。

また、地区の代表ではなく、専門知識をもった産業ごとの議員を選出してはどうか。

(林業に詳しい人、漁業に詳しい人、教育に詳しい人など)


なぜ、あんな議会になっているか?

町ごとに市議がいて、この町はこの人を推すという考え方が高齢者の間では根強い。

その市議会議員が何に取り組んでくれるのか、どういう人なのかということを、見ていない市民が多い。

そして、若い世代はそもそも投票率が低い。


若者の投票率を上げるためにできること

オンライン投票、パブリックコメント制度、市民フリースピーチ制度

いずれも、現状の議会にいる人たちが望まない制度。だが、本当の民主主義のためには必要では?


4【地域通貨】


地域通貨の可能性

地方銀行は赤字がかさむ一方である以上、地域通貨を作ったほうがいい。

地域で循環する経済は、地域通貨によってもたらされる。


5【教育について】

待機児童問題

共働きをしている低所得の家庭の子どもが、保育園に入れないことがある。

そうすると親は働けず、より家庭環境が悪化する。

春に入園できないことが分かれば、その先1年は入園が難しいのが現状。

企業で預かり保育をしてくれるところが増えてはいるが、低所得家庭における状況は厳しいのでは。

隠れ貧困の方も相当数いる。そんな状況の家庭では、有機野菜を買う選択は難しいのでは。


教師からみる貧困家庭

いまを生きるのに精一杯な保護者さんが多い感じがしている。


子ども食堂(地域食堂)

『親もタダで食べるのはよくない』という人がいる(主に年配の方)。

貧困は連鎖している。親も子供も地域で支えていく場所であるはずでは?


年配の方と環境問題の意識

理解は少なく、自分とは関係ないというスタンス。

年配の方と子どもの懸け橋になる、絵本の読み聞かせをしてはどうか。


教師のカリキュラムに追われている現状

感覚として、周囲の教師も環境問題に関心のある人のほうが多いと思うが、それを授業で取り上げるまでにはいたらない。受け持つカリキュラムの仕事で手いっぱいになり、下調べする時間が十分にない状況。


子どもの可能性

制限のないアイデアがつぎつぎ出てくる。他者への思いやりが感じられる。

一方で、就職や受験という節目において、いままで豊にのびのび成長していた生徒が、急に現実的な方向性に変わる。周りにいる大人の影響も多大に受けている。結局は、「お金を稼ぐために仕事をする」という価値観しか持てない状況になる。だからこそ、大人の教育も必要である。


大企業と環境問題

大企業はお金儲けだけを考えている。環境問題に関心のある人は、周りにはいなかった。

行政と民間は違うが、消費者の意識が高まれば企業も変わらざるを得ないのではないか。


【これから】

勉強会・交流会の継続

今回のイベントをキッカケに繋がった人との縁を絶やさず、継続することが最も大切。

数カ月に1回でもよいので、とにかく定期的に継続するべき。

市議会の日程に合わせて、市議会の議題を取り上げたオンライン会議をするなど。

そして、資料・議事録を残しましょう。


こんな形で様々な立場の方から、社会をより良くしていくために、沢山の意見や取り組みを紹介して頂きました。これからも、みんなで「勉強して・話し合って・行動する」ことのできる場所を創りたいと思います。

今後とも、宜しくお願い致します。