なぜ、今バッハ?
こんばんは。急に肌寒くなってきましたね。
さて、昨日宣言しました、新シリーズのこと。
なぜ今回、バッハの無伴奏チェロ組曲なのか。
私が初めてこの曲を弾いたのは高校生になってすぐのこと。3番。
やっと弾けるんだー!!と嬉しかったのは一瞬でした。
その当時山崎伸子先生門下になったばかりで、
半年かけてひたすらロングトーンなどボーイングの大改造に集中していた時な事もあり、
バッハ自体も今まで勉強してきた曲とは全然違い、頭で思い描いたようにはいかず、、
戸惑いも多かったような気がします。
その時初めてビルスマのバッハのCDを聴いた事も、大きかったかもしれません。
学生時代に6曲一通り勉強はして、
(5番だけは調弦がネックで避け続けてしまい、2年程前に初めて弾きました)
その後も人生の節目節目で一曲だけ、または組曲から抜粋して弾くことは度々ありました。
今年約3ヶ月のコロナによる活動自粛期間に、
久しぶりに1〜6番まで、たくさんバッハを弾きました。
ひたすら自分の為にこの曲を弾いていると、
あぁこんなすごい曲だったのかと初めて気づく事も多く、
私自身ここまでこの曲に救われたのも、初めてのことでした。
歴史的な建築物に入った時、なんだかよくわからないけど感じる清らかな空気、
そして自分と対峙させられ、いつの間にか心がときほぐれている感覚。
聞くだけでそんな感覚になれるのもバッハで、
今一番お客様に届くのではないかと。
『バッハは正解がないから難しい』
と言うセリフもよく聞きます。
そのループにはまりそうになる時もたくさんありますが、
今なら自分なりの言葉で語れるんじゃないか、
と言う気持ちが芽生えたのも事実です。
お客様の頭の中は正解なんていらなくて、
この時間だけでも日頃のあれこれから解放され、
心と頭が『自由』になれる時間をお届けしたいなと思っています。