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久良木夏海 Kuraki Natsumi Official Site

バッハを美味しく頂く方法。

2020.12.04 07:18

『幼い頃カザルスのバッハのCDを聴き、

感銘を受けてチェロを始めました』

と言うエピソードをたまに聞きますが、

私はそんな感受性豊かな子供ではなく。。



記憶の中で初めてバッハを面白いと思ったのは、

たしか小学校高学年くらいの時。

 御茶ノ水近くにあった『カザルスホール』で行われていた、

バッハの無伴奏チェロ組曲全曲シリーズ。


 全6曲を、

その時最も旬な国内外トップのチェリスト6名が、 

6夜に渡りリサイタル形式で弾いていくもの。 


 自分の先生が出演していた事もあり、すごくカッコよく見えて、 

 こんなすごいチェリストがいるんだ、

チェリストによってこんなにバッハって違うんだなぁと興奮して、 

 それから少し色んなバッハを聞くようになった気がします。 


 今思ってもあのシリーズは凄かった。
またあんなの聞きたい。



何事も初めて聞く体験は大事で、

やはりそこで、ん??と思ってしまうと、

それからしばらくは足が遠のいてしまいます。



チェロ組曲6曲全曲を、

1日のコンサートで全部弾いてしまう方もいらっしゃいます。

それは物凄い事で選ばれし人しか出来ないことかもしれませんし、お客様も達成感を感じるかもしれません。


その一方でとあるチェリストの先輩は、

24時間100キロマラソンみたいな感じ、

と例えていらっしゃいました。


気力体力の勝負にもなってきて、

ある意味そうかもしれません。


よほどのチェリストでないと、ウトウトしてしまう気もします。。

実際私はそこまで聞かせられる力は、

残念ながら今はありません。



それよりも今は胃もたれせずに、

一曲一曲を美味しく、新鮮に召し上がって頂きたいなと。


そう考えた時に、

一回一曲ずつと言う選択に至りました。


一曲20〜30分のバッハ。

それをどう一つのコンサートでプログラミングしていくか。

それはまた次のお話で。