バッハを美味しく頂く方法。
『幼い頃カザルスのバッハのCDを聴き、
感銘を受けてチェロを始めました』
と言うエピソードをたまに聞きますが、
私はそんな感受性豊かな子供ではなく。。
記憶の中で初めてバッハを面白いと思ったのは、
たしか小学校高学年くらいの時。
御茶ノ水近くにあった『カザルスホール』で行われていた、
バッハの無伴奏チェロ組曲全曲シリーズ。
全6曲を、
その時最も旬な国内外トップのチェリスト6名が、
6夜に渡りリサイタル形式で弾いていくもの。
自分の先生が出演していた事もあり、すごくカッコよく見えて、
こんなすごいチェリストがいるんだ、
チェリストによってこんなにバッハって違うんだなぁと興奮して、
それから少し色んなバッハを聞くようになった気がします。
今思ってもあのシリーズは凄かった。
またあんなの聞きたい。
何事も初めて聞く体験は大事で、
やはりそこで、ん??と思ってしまうと、
それからしばらくは足が遠のいてしまいます。
チェロ組曲6曲全曲を、
1日のコンサートで全部弾いてしまう方もいらっしゃいます。
それは物凄い事で選ばれし人しか出来ないことかもしれませんし、お客様も達成感を感じるかもしれません。
その一方でとあるチェリストの先輩は、
24時間100キロマラソンみたいな感じ、
と例えていらっしゃいました。
気力体力の勝負にもなってきて、
ある意味そうかもしれません。
よほどのチェリストでないと、ウトウトしてしまう気もします。。
実際私はそこまで聞かせられる力は、
残念ながら今はありません。
それよりも今は胃もたれせずに、
一曲一曲を美味しく、新鮮に召し上がって頂きたいなと。
そう考えた時に、
一回一曲ずつと言う選択に至りました。
一曲20〜30分のバッハ。
それをどう一つのコンサートでプログラミングしていくか。
それはまた次のお話で。