角筈熊野十二社 ーつのはずくまのじゅうにそうー
2020.12.02 06:43
歌川広重 名所江戸百景より
角筈熊野十二社
つのはずくまのじゅうにそう
水彩にて 模写絵師つねきち
角筈は現在の新宿区西新宿、
都庁のすぐ近くにあたります。
室町時代から、紀州熊野神社で
神職を務めていた鈴木氏の末裔、鈴木九郎は
先祖が源義経に従い没落したのち
現在の中野〜西新宿辺りまで流れつき
そこで成功して、中野長者と呼ばれるまでになります。
そして九郎が建てたのは
自身の故郷にあるものと同じ
熊野十二所権現を祀った
熊野神社でした。(絵の左下)
九郎の財はその後もどんどん増えてゆき
財産をしまう場所が足りない為
よそに埋めて隠し、
その時の使用人を口封じのため
亡き者にした、とか
娘がある日大蛇になり消えていったなど
様々な伝説まで飛び交うようになりました。
しかし、九郎の娘が18歳の若さで亡くなった事は
事実のようです。
これを、ひどく哀しんだ彼は
残りの人生を仏門に生きることとなりました。
九郎がいつも持ち歩いていた
修行者の杖の呼び名=角筈(つのはず)は
この辺りの地名となり
今でも住所にはありませんが
バス停や橋の名前として残っています。
この池も時代の流れと共になくなり
現在は新宿中央公園の敷地となっているそうです。
反対側には繁華街が広がる
とはいえ、コロナ渦の中で
さまざまな課題を抱える地域です。
栄えたり、大変になったり
予測のつかない波に
洗われ続けるのが、人の世。
つねきちが塗った水の流れ(手前の方)
その形が
大蛇やブルドーザーの手のように
見えるのは、私だけでしょうか。
静かで美しい景色を
眺め続ける事ができる
その、ありがたさを
忘れてはいけない、と思うのでした。