2020.11.28.「柳家さん喬の会」
当日のパンフレットにも書きましたが、墨亭がオープンしたのは「令和元年五月一日」と、令和の幕開けと一緒の日でした。その杮落とし公演の皮切り、つまり、墨亭の高座に最初に上がったのが柳家さん喬師匠でした。その高座で演じたのは、墨亭のある向島とも所縁のある『おせつ徳三郎』と『文七元結』の二席。
実は次の日にご出演のいただいた隅田川馬石師に言われて気付いたことなのですが、結果、それ以降のささやかな自慢になったのが、令和と元号が変わった日本で…ということは、世界で(!?)最初に落語を演じたのはさん喬師匠であり、その舞台が墨亭ではないかということです。前座も使わず、朝の10時30分に高座に上がっていたのですから、満更そうではないとも言い切れません。
日頃よりお世話になっているさん喬師匠には、開場一周年記念興行にもご登場いただく予定でしたが、コロナのせいで半年過ぎての開催になりました。
今回、お願いするにあたり「せっかくだから二部制にしない?」と師匠からご提案をいただいての会。14名で楽しむさん喬師匠の会。今回ばかりは客席に回りたかった位です(笑)。
【第一部】
※小さんの思い出を紡ぎながら
『小町』『高砂や』『幾代餅』(中入り)『笠碁』
【第二部】
『棒だら』『ねずみ穴』(中入り)『掛け取り』
「今日来てくれた方だけの思い出に」ということで、SNSには書かないように!というお達しなのですが、ちょこっとだけ紹介をすると、第一部は落語というより、五代目柳家小さんの思い出を語りながら、そのアンコ的に落語を演じるといった趣きで、現代の名手・柳家さん喬という言葉の紡ぎ手の舌耕を楽しめた2.5時間でした。
第二部は、「何をやろうかなあ」と言いながら高座に上がるさん喬師匠が、今、演じたい噺を思いつくままにといった感じの会。『芝浜』かな?『福禄寿』かな?と、開演前には思っていましたが、『ねずみ穴』が出た段階で、夢と50両封じ。いよいよ差し迫る年末にふさわしい、そして賑やかな『掛け取り(掛取萬歳)』でお開き。終演後は色々とお話を聞かせてもらい、墨亭を開いていて良かったなあとつくづく思った一日でした。また、ご登場いただきたいと思っております。その日をお楽しみに。(雅)