太陽王8-オランダへ大規模侵攻開始
2020.12.03 09:50
ルイ14世はあくまでオランダを狙う。そのためには反フランス3国同盟の解体である。まずイギリス王チャールズ2世は亡命していたフランス贔屓、1670年にはドーヴァーの密約で、22万ポンドの年金で味方に引き入れた。さらに淫蕩な英王の監視に、才色兼備のルイーズ・ケルアイユを送りこみ、愛人にさせた。
スウェーデンにも金を渡し、バイエルンやザクセンも味方につけ、皇帝レオポルド1世には、カルロス2世亡きあとのスペイン分割をもちかけて、その代わりにフランス支援を約させた。西王も生前から亡き者と扱われていたわけだ。
対蘭戦争のためには、軍を12万人まで拡大し、2万人の予備役をつくった。こうした周到な準備の上に、1672年3月3日、イギリスのオランダ艦隊攻撃を皮切りに、4月6日フランスのオランダ侵攻が始まった。名将チュレンヌとコンデ公は別軍を組んで仲違いせず、フランスはライン河畔を占領、さらにユトレフトやナイメーヘンを占領して首都アムステルダムに向かう。
危機に陥ったオランダでは、政府首班が民衆に虐殺され、代わりにナッサウ家のウィエム3世がオランダ総督となった。フランスは、オランダに降伏の使者を送ったが、内容は領土の大幅割譲とフランスへの従属だったため、民衆の怒りに油を注いでしまった。
下はライン渡河で侵攻するルイ14世