『モアレコスタッフがそれぞれ選ぶ2020年のこの5枚』
こちらではスタッフが個々に選んだ2020年の5枚をご紹介します!
共感してもらえたり、知ってもらえたら嬉しいです(^^)
2020年に人気だった作品を新旧問わないモアレコ独自の年間ランキングはこちら。
☞ more records ALBUMS OF THE YEAR 2020
橋本(tak)編
冥丁
『古風』
Pitchforkの「ベスト・エクスペリメンタル・アルバム」で日本のアーティストで選ばれていた時からその存在は知っていながら、"怪談"をサンプリングという海外評価は高いだろうな~なんて思っていたところで、初めてCDでリリースされたこの作品。
日本の古い文化をモチーフにした3部作のラストの作品となる今作は、3枚の中でも一番入りやすく、他には無い独特な雰囲気の傑作盤!何度でも聴きたくなる中毒性と、持っておきたくなるパッケージでフィジカルの良さを強く感じた一枚。
結果、2020年の一押しとなりました!
Muzz
『Muzz』
インターポールのポール・バンクス、フォークグループのボニー・ライト・ホースマンのメンバーとしても知られるプロデュサーでマルチ奏者のジョシュ・カウフマン、ジョナサン・ファイアーイーターとザ・ウォークメンのドラマーで、フリート・フォクシーズのツアーバンドメンバーでもあるマット・バリックによる3ピースバンド。
「あの頃のロック」を彷彿とさせるサウンドが"ロック魂"を呼び起こす!
今だからこそ心地よい。流石のいぶし銀を感じました。
Moses Boyd
『Dark Matter』
新世代UKジャズシーンの真打によるジャズとビートの融合を更新していく作品。
Ed Motta、Little Simz、Samphaとのコラボは想像つきますが、Four Tet や Floating Pointsともコラボとなると今作の方向性も納得。
アフロビートも相まって、「ジャズはあんまり。。」な方でも引きずり込まれる作品です。
Joe Armon-Jones, Nubya Garciaらが参加。
Crack Cloud
『Pain Olympics』
カナダ/カルガリー出身のポストパンク・アートロック集団 Crack Cloudの1stアルバム。
何となく、バンドメンバーが多いと面白い事してそう!という考え方がバッチリはまります。ギターサウンド、ジャズ、ヒップホップと何でも吸収して昇華していく独特のオルタナティブ感。構築された天にも昇るようなギターロックからトーキング・ヘッズ的な衝動的ポストパンクまで。
今年のような押さえつけられる日々の中で、癒しを求める反面、衝動的なこういうサウンドも求めた一年でした。
Ella van der Woude
『Solo Piano』
前出、Crack Cloudのような衝動的なサウンドの反面、癒しを求めたのがこちら。
オランダのシンガー・ソングライター/作曲家、エラ・ファン・デル・ワウデのソロピアノ。アムステルダムの小さなアパートメントでたった一週間で、一人で録音された作品。
雨音や車の音など生活音もそのまま録音されたリアリティが、サウンドが側に居てくれるような温かさを感じて癒されます。
素朴ながらも、今年ならではの染み入る一枚です。
穴原(yuco)編
Duval Timothy
『Help』
Solange や Loyle Carner にサンプリングされたことで注目されたUKサウスロンドンのピアニスト/マルチアーティスト Duval Timothy。
Lil Silva、Melanie Faye、Vegyn、Desta Haile、Mr Mitch、Dave Okumo、Twin Shadow らが参加したゴージャスなニューアルバム。
ジャズやソウルを根底に、胸打つミニマルなピアノの旋律、実験的なエレクトロニクスやサンプリングで独創的に彩られたサウンド、加工されたヴォーカルやスポークン・ワードを重ね、全体的に美麗でメロディアスでありながら随所に散りばめられた違和感にトキメキまくりです。聴くたびに、そして聴く環境によっていろんな発見があると思います。モアレコセレクトの中では今年1番!マルチアーティストな彼が発刊した料理本とやらも気になるところ。
Asa Tone
『Temporary Music』
毎作リリースが楽しみな Leaving Records より、Young Magic の Melati Malay 率いる Asa Tone の1stアルバム。インドネシアのジャングルの中、水滴のような爽快な音色を奏でるリンディックやスリンというバリの伝統楽器とアナログシンセとヴォイスのみで即興的に録音されたディープ・エクスペリメンタル・サウンド。疲れた心がリンディックの音色を欲するたびに聴いていたザ・没入感な1枚。こういう民族音楽とエレクトロニック・ミュージックの融合は大好物です。
Bananagun
『The True Story Of Bananagun』
Bandcampで先行トラックを聴いて絶対仕入れたいと思っていたBananagun、アルバムもすごかった!アフロ・ファンク、エキゾチカ、トロピカリア、ガレージロック、ソフトロックとディープなヴィンテージ・サウンドを色鮮やかに横断しながら、洒脱なベッドルーム感が現代っぽくて、これはもう単純にカッコイイの一言。2020年の重苦しい空気をカラッと彩ってくれた元気玉です。
Cuushe
『WAKEN』
京都出身のシンガーソングライター/マルチ・インストゥルメンタリスト Cuushe の7年ぶり3rdアルバム。ジャケ含めパステル色な雰囲気の前作よりも、ヴォーカルは際立ち、コズミックなアナログ・シンセと鼓動のようなリズムが力強いグルーヴを生む生命力に満ちた音楽。色彩豊かなあたらしい Cuushe の世界がここにありました。フックの効いたキャッチーなメロディーも脳内リピートです。
Robert Haigh
『Black Sarabande』
ドラムンベース・プロジェクト名義の Omni Trio でも有名な Robert Haigh によるアンビエント・ピアノ作品。不協和音を奏でる古いオルゴールのようなピアノの音色に重なる緻密なエレクトロニクスが全体的に憂鬱なアンビエンスを漂わせているものの、温かくて柔らかいものに包まれるような感覚でやたらと心が落ち着きます。この冬もしんしんと降る雪を見ながら聴きたい1枚。