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ノエル【男1:女1】

2020.12.06 12:00

題名『ノエル』

全年齢 男性1名 女性1名  10分程度



奏多(かなた):会社員。仕事が忙しくなかなか休みが取れない。 

一華(いちか):会社員。奏多とは仕事上で出会う。強がり。


クリスマスの夜。遠距離恋愛のカップル。

仕事が忙しい彼氏は会うことが出来ないため、夜、彼女へ電話をかける。



下記をコピーしてお使い下さい


題名「ノエル」

作:みつばちMoKo

奏多:

一華:


https://mokoworks.amebaownd.com/posts/11844046/



奏多:はぁ……。さむっ。


   今、家にいるよな…。


  (電話をかける)


   もしもし?


一華:もしもし?

   奏多?


   お仕事終わったの?

 

奏多:あー、うん。

   今、帰るところ。


   ごめん…。

   もしかして行けるかなって思ってたけど、やっぱり無理だった。

   今日会えるように頑張ってみたけど、ダメだった。


   ほんと、ごめん…。


一華:大丈夫だよ。

   たぶん会えないって言ってたじゃん。

   だから、大丈夫。


奏多:何してた?


一華:今?

   テレビ見てたよ。


奏多:そっか。

   何か、面白いのやってた?


一華:んーと、なんかお笑い番組。

   さっき出てた人たち、面白かった。

   初めて知った芸人さんだったけど。


奏多:ふふ、そうなんだ。

   2人で見たらもっと面白かったかもね。


一華:……そうだね。


奏多:はぁー。寒いっ。

   今日、寒いよね。


   帰り道、暗いし1人だし。

   うちにつくまでこのまま通話してて。


一華:ん、わかった。


奏多:そういえば、プレゼント届いた?


一華:届いたよ。

   ありがとう。大切にするね。


奏多:そ? 良かった。


   …実はもうひとつあるんだけど、一緒に送れなかったから、

   今度会える時に持ってく。


一華:体調は大丈夫?


奏多:ん? 俺?


   うん、大丈夫。

   忙しいから倒れないように気を張ってるせいかもしれないけれど。


   軽い咳とか鼻水がでることはあるけど、ひどくならないし。


一華:そっか。よかった。

   でも、気をつけてね。

   奏多、帰ってソファーでそのまま寝ちゃったことあったし。

   

   まだこっちに住んでるころ、お風呂上がりに通話してたら

   寝落ちして、私、奏多んちまで起こしに行ったんだからね?


奏多:あったあった、そんなこと。

   気をつけます…。


   そっちこそ、大丈夫?

   風邪、引いてない?

   ちゃんとあったかくして寝てる?


一華:してるよ。

   モコモコ靴下も履いてるし。

   私、滅多に風邪ひかないもん。


奏多:ん。ちゃんとしてるなら良し。


   はぁ。クリスマスなんだね。

   街に出ると、売ってるものもお店の雰囲気もクリスマス一色でさ。

   イルミネーションっぽいとこで、手繋いでるカップルがいたりとかして。


   あー、俺も手繋ぎたいなぁって思いながら歩いてた。


一華:奏多、手繋ぐの好きだよね。

   いつも繋いでもらってるような気がする。


奏多:俺ね、一応、理想のクリスマスの過ごし方みたいのがあって。

   ありきたりなんだけどさ。


一華:どんな感じの?


奏多:えーとね。

   

   当日は午後から出かけるようにしてゆっくり準備する。

   まず一緒に映画を観に行くんだ。

   それで、そのあとお茶しながら映画の感想を言い合う。


   それで薄暗くなってきたら、イルミネーション点灯するところを

   ふたりで手を繋いで見て。

   そのあと、レストランでディナー…っといきたいところだけど、

   柄じゃないし、緊張するし。

   家でまったりする方が好きだから、チキンとケーキを買ってうちに帰る。


   ちっちゃいツリーの置物だけがクリスマスっぽい、あったかい家の中で、

   チキンとケーキ食べてゆっくりする。


   …夜はゆっくり抱くよ。

   いっぱいして、朝までずっとくっついてる。


一華:…いいね。

   すっごくいいなぁ、そういうの。


奏多:……はぁ。

   会いたいな。


   会いたい。


   ギュってしたい。


   エッチしなくてもいいからギュってしたい…


   …いや、してもいいならエッチしたいけどっ。


   でも…。

   抱きしめてるだけで幸せなのは嘘じゃないよ。


一華:…うん。


奏多:俺、考えたことあったんだ。

   抱きしめあうだけで気持ちいいし、安心するのはなんでかなって。


一華:それって真剣に考えること?


奏多:まぁいいじゃん。聞いてよ。

 

   抱きしめあうと、首の下から胸の上の間の部分が触れ合うでしょ?


一華:デコルテのこと?


奏多:うん、たぶん、そのデコルテっていうところかな。

   その部分ってさ、普段の生活では触ったり触られたりすることが

   ないところだよね?

   特別な人だから触れ合えるとこなんだよね。


   だから、お互いのその部分が触れ合うとき。

   手でも体でも、キスでも。


   触れ合うことを許し許された、特別で大事な人なんだって

   感じられるからだと思うんだ。


一華:うん、確かに…。


奏多:俺がよく抱きしめるのはそういう理由なんだと思う。


   だから、これからも何回だって抱きしめるよ。


   ……ふふ、ちょっと照れた。


一華:奏多…。


奏多:ただでさえ、頻繁に会えなくて一華を不安にさせてる。

   さみしい思いだってさせてるんだから、会えた時は

   いっぱい抱きしめさせてよ。


一華:さみしくないよ?

   今日もちゃんと連絡くれたじゃん。


奏多:いや、本当はさみしいって思ってるでしょ。

   昼間のLINEだって、あんな普段めったに使わない絵文字を

   いっぱい使ってるしさ。


一華:…私、そんなに絵文字使ってない?

    たまたまだよ…そんなの。


奏多:あぁ、無理させてる、我慢させてるなって思った。


   抱きしめたいなって。

   近くにいたらすぐ行けるのに。


一華:(鼻をすする音)


奏多:……今も泣いてるんだろうなって。


一華:…泣いてない。


奏多:だって、鼻すする音した。


一華:…してない。


奏多:してない?

   いや、見えないけどさ。


   いっつも強がるから…。

   

   まぁ、そうさせてるのは俺なんだけど…。



(インターホンが鳴る)


奏多:あれ?ピンポン鳴った?


   こんな夜遅いのになんか届いた?


一華:…誰だろ。


奏多:すぐ終わるよね?

   出ていいよ、待ってる。


   でもちゃんとインターホンで確認してから開けて。

   不審者かもしれないんだから。


一華:うん、ちょっと待ってて。


(一華インターホンをとる)


奏多:(インターホン越しに)遅くなってごめん。


   …ドア、開けて?


(一華ドアを開ける)


奏多:ほら、やっぱり泣いたでしょ。

   目、赤い。


一華:…なんで?

   来れないって言ったじゃん。


奏多:ふー、寒かった。

   ギュってしてあっためて。


  (抱きしめる)


   はー、あったかい。



   …チキンもケーキもないけれど、もう一つのプレゼントを

   お持ちしました。


   貰ってくれる?


一華:…ばか。


奏多:あーぁ。余計に泣かせちゃったな。


   最終の新幹線に飛び乗ったんだ。

   朝一でまた戻らなきゃだめだけど…。


一華:…奏多だ。

   ほんとに奏多だ。


奏多:…うん、俺だよ。

   

   んー。匂いがする。安心する匂い。

   今、腕の中にいるって実感できる。



   顔、あげて?


   メリークリスマス。

   いっぱい抱きしめに来たよ。