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コバルトブルー【男2】

2020.12.06 13:00

題名『コバルトブルー』

声劇 全年齢 男性2人用 30分程度




遥人(はると・兄):高校卒業後家を出て自活。バーで働いてる。父親とは疎遠。母親とは死別。唯一、弟とはたまに連絡はとっている。 


結人(ゆいと・弟):父の会社に就職。大きな感情表現は苦手だが飄々と仕事をする。ブラコン気味。 


【】は場面設定です



過去編「インディゴブルー」


未来編「プレシャスパープル」


下記をコピーしてお使い下さい


題名「コバルトブルー」

作:みつばちMoKo

遥人:

結人:

https://mokoworks.amebaownd.com/posts/11844563/




結人:兄さん、また朝帰りですか?


遥人:っと、びっくりした。なんだお前か…。

   仕方ないだろ、あの店、明け方までやってるんだから。

   なんだよ、朝早くから。この辺じゃ、そこそこ名の知れた会社の専務様が、フリーターに何の御用ですか?


結人:兄さん、そろそろうちの会社に入りませんか?

   これまでも何回かお誘いしてますけど、いつまでもこういう生活してても先が見えないでしょ。

   それ相当の待遇を用意してますから。


遥人:は?なに言ってんの?

   俺は会社に入る気はない。


結人:とりあえず今日は帰ります。

   前から伝えてきてましたけど、今回は本気ですから。

   また、来ますね。


遥人:何度来たって、俺の意思は変わらない。

   さっさと帰れ。


結人:兄さん…。

   体は大事にして。体調崩したら大変ですよ。

   じゃ、また。


遥人:なんなの、あいつ。

   体は丈夫だっつうの。バーの仕事してても飲み過ぎても病院のお世話になったことはないし。

   あいつこそ、大丈夫なのかよ。体、丈夫な方じゃないのに。

   専務とか将来親父の跡を継ぐためのポジションだろ。

   まあ俺がこんなんだから、あいつに全部親父の期待がいって申し訳ない気もするけど…。




【後日バーにて】


遥人:いらっしゃいま…。

   なんだ、お前か。


結人:こんばんは、兄さん。

   なにか一杯貰えますか?あっでもまた仕事に戻るのでノンアルコールでお願いします。


遥人:バーに来てんのに飲まないの?変なやつ。


結人:…兄さん。

   この前の話、考えてくれました?

   条件はいいはずです。会社に入ってすぐは風当たりも強いかと思いますが、なるべく兄さんが来るまでには押さえときますので。


遥人:なんでそんなに今回は熱心なの?

   何回か会社に入れって話はあったけどさ、今回のは違う感じだよな。


結人:……時間がないんですよ。

   今度新規事業に乗り出すことになって、人手不足なんです。

   統括してくれる人材が欲しくて。

   ある程度、社会経験があって年齢もそれなりでないとだめなんです。


遥人:それなら、どっかの会社からヘッドハンティングすればいいんじゃないのか?

   なんで、俺?


結人:あっ!それいいですね。じゃあ兄さんをヘッドハンティングします。

   だって兄さんもこのバーの社員みたいなものでしょ?


遥人:いや業種違うじゃん。

   そっちの業界に無知な人間が行っても始まらないだろ?


結人:兄さんは頭のいい人です。1ヶ月もあればこっちの業界に慣れますよ。

   僕はわかります。


遥人:いつも飄々と仕事してるお前が、なんか焦ってんのか?

   急ぐ理由が他にもあるんじゃないのか?


結人:……なんでそんなこと思うんですか?

   今回は絶対に会社に入ってもらうって決めてるんです。だからしつこいですよ?

   それに兄さんは本当は迷っているはずです。

   小さい頃は父さんの跡を継ぐって自分で言ってたじゃないですか。

   何回も僕が入社の打診しても入らなかったのは、ただ父さんとのわだかまりが解けてないからでしょ?

   あの時…、母さんが死んだ時、父さんが仕事からすぐ戻ってこなかったからっていう理由だからですよね。

   父さんは必死にこっちに向かっていました。本当は間に合うように願ってたはずです。


遥人:わかってる!わかってるんだ…。

   父さんが必死に戻ってこようとしてたことぐらい。

   ただ、亡くなる時の母さんの姿が目に焼き付いてて…。

   体は十分大人になったのに、そんなところはまだ全然大人になりきれてないんだよ、俺は…。


結人:よかった。今日来てよかったです。

   少し兄さんの本音が聞けた気がします。

   父さんとのことも…、いずれ昔のように戻れる気がします。


   じゃ、今日ははこれで帰ります。

   あっ。会社のこと、前向きにお願いしますね。




【後日】


結人:最近、会いに来れなくてすみません。

   兄さん、会社に入る前の研修をして下さい。

   北海道に行ってきてください。おばあちゃんちがあったとこです。

   というか、僕が忙しくて行けないから代わりにしてきて欲しいことがあるんですけど。


遥人:いや、まだ入るって返事してないし。


結人:はい、これチケット。

   現地についたら連絡して下さい。してほしいことはその時指示します。


遥人:なんかいろいろ強引だな。まあ、バーも休みだし行ってもいいけどさ。

   旅行にも行きたいと思ってたし。

   …現地で連絡すればいいんだな。


結人:はい。さすが理解が速くて助かります。




【北海道にて】


遥人:もしもし、着いたぞ。こっからどうすればいいんだ?


結人:無事着いたんですね。

   してきてほしいことっていうのは、写真を撮ってきてほしんです。

   ほら、僕カメラが趣味なの知ってるでしょ?

   最近は全然写真撮りに行けなくて…。

   でも、写真は見るのも好きだから、兄さんに僕の代わりに撮ってきて欲しいんです。

   会社に飾ってある写真のいくつかは僕が撮ったものなんです。

   新しく何か飾りたいと思って。


遥人:あぁ、ばぁちゃんちから少し走らせたら、いい風景が撮れそうなとこ、いっぱいあるな。

   でも、いいカメラなんて持ってきてないぞ。


結人:スマホで充分です。今のスマホのカメラって凄いんですよ。

   それに写真撮ったら、すぐ送ってもらって見ることができるし。

   …もしかしたら、僕、すぐ電話とか取れないかもしれないけど、必ず見ますから。


遥人:わかったよ。

   で、写真を撮ってきてほしいとこはどこだ?


結人:さすが、兄さん。

   行ってきてほしいところは、絵本の路、夕凪の丘。

   …それと幻青の池(げんせいのいけ)です。

   幻(まぼろし)に青(あお)と書いて“げんせいのいけ”と読みます。

   あっ、あとおばあちゃんちも寄ってみてください。

   もう誰も住んでないけど、家は残ってるはずだから。


遥人:了解。写真撮れたら送るから、見たら連絡して。

   じゃあな。


(電話終了)


   ふー。じゃあ行くかぁ。


(現地到着)


   ここだな。車で走ってるときからそれっぽい景色見えてたけど、すごいな。


   おっと、写真、写真。


(しばらく写真を撮る)


   よし、これで良いかな。

   …送信っと。


(電話着信)


   お?連絡早いな。

   もしもし?


結人:兄さん、カメラ上手いじゃないですか。


遥人:そうか?小さい頃来たことはあるんだろうけど、そのころは景色なんて興味なかったろうし、今こうして来てみると、ただボーッとずっとみていたい風景だな。


結人:その調子で頼みますよ。

   そのほかの場所もそんなに遠くないはずですから。


遥人:あぁ。また写真とったら送るわ。


(電話終了)


   ふぅ。あとは幻青の池だけだな。

   んー、ばあちゃんち寄るから、そこは明日行くか。


(おばあちゃんち到着)


   ばあちゃんち、懐かしいー。


   確かこの辺にばあちゃんに怒られた落書きが…。…あった。


   これが父さん、母さん、そしてばあちゃん。このちっちゃいのがあいつで、これが俺。


   ふっ。“なかよし”って何だよ。俺が書いたんだっけ?


   家族だから当たり前なのに。

   当たり前…なのにな…。


(電話着信)


   電話だ…。


   もしもし?

   お前、写真見たらすぐ連絡するって言ってたけど、昼間送った写真、見た?


結人:あぁ、すみません。…ちょっと外せない用事が出来てしまって。

   写真、よかったですよ。僕が撮るより上手いぐらいです。

   で、今、どこですか?


遥人:今、ばあちゃんち。てか、ここの落書きの“なかよし”ってところの横に

   “ずっと”って書いたの、お前だろ?


結人:バレました?

   大学生のころ、北海道に行った時におばあちゃんちに寄ったんです。その時に。


遥人:“ずっとなかよし”か…。


結人:あの…兄さん…。お話ししておきたいことができました。

   こっちに戻ったら、来てほしいところがあります。


遥人:なんだよ。どこ?


結人:病院です。駅の近くにある総合病院。そこの510です。


遥人:は?病院?

   何でだよ。誰か入院してんの?


結人:…僕です。詳しいことは来てくれた時に話します。


遥人:お前が?なんで入院?


結人:お願いします。

   来てくれるの、待ってますから。



【翌日病院にて】


結人:お疲れさまです、兄さん。

   北海道は楽しめましたか?


遥人:何事かと思って朝一で帰ってきた。

   んなことより、お前なんで入院してんの?

   もしかして喘息また酷くなったとか?


結人:…喘息。そうでした、僕、喘息で入院したこともありましたね。

   でも、今回は残念ながらそうじゃありません。喘息だったら回復できるから良かったんですけどね…。


遥人:だからなんで入院してんの?


結人:…癌です。すい臓癌。

   若い人には珍しいみたいです。それに早期発見も難しいらしいです。

   胃や背中のあたりが痛いなって思ったり、体だるいなって思ったりしたけど、仕事のストレスだろうって甘くみてました。


遥人:癌って…。そんな…。


結人:甘くみてたせいで、わかった時はすでに末期でした。転移もしています。

   だから、手術もできないそうです。


遥人:母さんも癌だった。癌になった場所違うけど…。

   母さんはだんだん痩せていって、動けなくなって、それで、それで…


結人:(食い気味に)兄さん!遥兄(はるにぃ)! 僕の話を聞いて!

   正直、兄さんにこのことを伝えるのは嫌だった。でも今までのようにごまかしていくのも限界がきてしまった。

   もう、…退院できないと思うから…。

   兄さんと会う場所はどうしても病院になる。電話してても周りの音でバレる。


   ごめん、兄さん。混乱してるよね。

   僕の希望としてはひとつ。

   僕の代わりに兄さんが会社で父さんを支えてほしいんだ。

   父さんのこと、許してあげて。

   兄さんのこと、本当はすごい心配してる。

   バーに自分の部下をこっそり行かせて兄さんの様子を見てきてほしいって言ってたんだよ。

   ちゃんと元気にしてるか、体調は悪そうじゃないか、人間関係は大丈夫そうか。

   部下にそう頼んでる時の父さんはもう社長の威厳なんてなかったよ。

   ただ、ひとりの“父親”だったよ。


遥人:俺は…、俺はどうすればいい?何ができる?

   俺はお前に何をしてやれる?


結人:ほら、やっぱり兄さんは優しいね。

   言ったでしょ?僕の代わりに会社に入ってほしいって。

   いや、代わりじゃないな。


   兄さん。

   あなたを中途採用します。

   あなたの責任感と行動力とそして優しさに魅力を感じました

   ぜひ、うちの会社に入ってその能力を発揮していただきだいです。


遥人:…馬鹿じゃねぇの?。すげー強引じゃん。


結人:そういうとこは兄さんそっくりだと思うけど?


遥人:馬鹿か。ほんと馬鹿…。



【その後病室にて】


遥人:よぅ。調子はどう?


結人:あぁ兄さん。

   どうってまぁずっとこんな感じ。点滴してたら動けなくって退屈。


   ところで仕事の方は少しずつ慣れてきた?


遥人:慣れてきたっていうか…。

   覚えること、考えることいっぱいで頭パンクしそう。


結人:大丈夫。兄さんならやりこなすよ。


遥人:なぁ、お前の仕事ってどうなってんの?

   病気のこと、公けにしてないんだろ?


結人:あぁ、ここでできることは秘書に持ってきてもらってやってる。

   僕の秘書、優秀だから、代行できることはしてもらってる。


遥人:へぇ、優秀なんだ。

   その秘書って男?女?


結人:女性だよ。そのうち会わせてあげる。


遥人:もしかして、付き合ってたり…?


結人:してないよ。

   会ったら思い出すと思うんだけどな。昔、よく一緒に遊んでたから。


遥人:え?俺の知ってる人?


結人:うん。仕事もできるし、僕の体のことも気にかけてくれてる。

   でも彼女にはずっと長いこと好きな人がいるんだ。

   その相手はとても素敵な男性だから僕も応援してるんだよね。


遥人:そっか。彼女のこと、好きなんだな。


結人:え?なに?


遥人:いや、何でもないよ。


結人:そういえば、父さんに会った?


遥人:うん。この前な。

   会ってすぐにお互い「悪かった」って頭下げるの同時でさ。

   顔上げたら、なんか父さん涙目で。

   それ見たら、この言葉言うのに俺何年もかかっちゃって。

   馬鹿だったなって反省したわ。


   …まぁ、そのお前にはいろいろと感謝してる。


結人:なに?なんか気持ち悪い。

   兄さんにお礼なんか言われると天変地異起きそう。


遥人:なんだよ、それ。


結人:なんか、嬉しいな。

   小さい頃は毎日一緒に話したり遊んだり、いつも一緒にいたけど、

   兄さんが高校卒業して家を出て行って僕とも疎遠になっちゃってたから、

   こうやってまた普通に冗談言いあえるのが嘘みたいで…。


   きっかけが僕の病気だってことが皮肉だけどね…。


遥人:まあな…。

   でもお前、すぐ俺の居場所つきとめて、俺の行動把握してただろ?

   どんだけ、俺のこと大好きなんだよ。


結人:知らなかったの? 僕、もうストーカーみたいだよね。

   病気になったことも悪いことだけじゃなかったなって、ちょっと思ってる。




【また後日病室にて】


遥人:結人、来たぞ。

   …寝てるのか?


結人:……兄さん?来てたの…?

   もしかして、ぼくけっこう寝てた?


遥人:いや、いま来たばっかりだから。起きるの待ってたわけじゃないから。


結人:最近は強い痛み止め入れてるからか、なんかずっと眠いんだよね。


遥人:眠れるってことは痛み感じてないんだろ。寝れる時に寝ろ。


結人:うん。でもせっかく兄さんが来てるのに寝てるのはもったいないから、そういう時は起こして。


遥人:まぁ、時々はそーするわ。



結人:…兄さん。あのさ…。


遥人:ん?どうした?


結人:あのさ…。

   この前北海道行った時、幻青の池の写真だけ撮ってこなかったでしょ。

   あれ、やっぱり写真撮ってきてくれないかな…。


   あの青い色、僕、好きなんだ。

   青色っていろんな色があるけど、あの青が一番好き。


遥人:お前、昔っから青が好きだもんな。

   服にしても小物にしても、何か色を選ぶ時は青にしてたな。


   小さい頃、海とか湖は青いはずなのにバケツで水をくんだら、なんで青じゃないんだって言って、絵の具溶かしてわざわざ青い水にしてたよな。


結人:大きくなってきたら、海や湖の水に色がついてないなんてわかるけど、

   小さい頃は不思議だったんだよ。

   可愛かったでしょ?僕。


遥人:自分で可愛いって言うか? まぁ、純粋だったな。


結人:あの幻青の池の写真をどこかで見た時、僕も絵の具を溶かして青い水にしてたこと思い出してさ。

   僕が作った青い水と同じ色だなーってなんか感動して。


   いつか写真撮りに行きたいってずっと思ってたんだけど、なかなか行けなくて。


   だからさ、兄さん、また行ってきてよ。こんどはちゃんと写真撮ってきて。

   今なら行けるけど、もう少ししたらきっと忙しくなって行けなくなるから。


遥人:んー、わかったよ。

   じゃ、お前のカメラ貸せよ?ちゃんといい写真撮ってくるから。


結人:うん。ちょうどカメラ今病室にあるし。

   そこの下の戸棚にあるから、持っていって。


遥人:オッケー。じゃ、近いうちに行ってくるわ。


じゃ、俺、戻る。また来るから。


結人:うん、気を付けてね。


遥人:おう。お土産買ってくるからな。


結人:よろしくね。


   ……あのさ、兄さん。


遥人:ん?


結人:ううん。何でもない。


   ごめんね。ありがとう。


兄:あぁ。




【再び北海道にて】


遥人:それにしてもずいぶん駐車場から歩いたな…。


   ほんとだ。あいつが一番好きな青色だ。


   っとカメラ、カメラ。


   確かに綺麗だな…。なんでこんな綺麗な色になるんだ。

   ばぁちゃんち来てた頃はここはすでにあったのか?

   まぁいいや、帰ったらあいつに聞いてみるか。


   スマホでも写真撮ってあいつに送ってやるかな。

   バタバタで出発したからあれから話してないし。

   っと、ちょうど電話じゃん。


(電話着信)


   もしもし?今、ちょうど…


   え?

   秘書さん…ですか…?


   は?


   亡くなったって……、え…?


   うそだろ?





【結人の未送信メール】

(以下、結人、朗読)


兄さん。

僕が死んだ後、この未送信メールに気付いて読んでることを祈って入力してる。

兄さん。

会社に入ってくれてありがとう。

もしかしたら、兄さん、怒ってるかな…。

たぶん僕の死に目に会えなかったこと。


ごめんね、兄さん。

わざとなんだ。

2回も自分の家族が死ぬとこ、兄さんには見せたくなくて。

母さんが死んだ時の兄さん、ひどかったから…。


なんとなく自分でそろそろかなって分かってて。

遠くにいたら僕がいなくなるとこ見せなくてすむかなって。

だから、また写真を撮りに行ってもらったんだ。

でも、あの池の写真を撮ってきて欲しかったのも、本当のことだよ。


それに僕が兄さんと最期の時を過ごすのがつらくて、耐えられそうになかったんだ。だって僕、本当は、弱くて…、死ぬのが怖くて、臆病なんだ。

兄さんと最期の時を過ごすのが怖かった。


でも死ぬ時は、そんなことも考えられないぐらい苦しいのかな…。

それとも静かに眠るように息を引き取るのかな…。


ごめんね、兄さん、臆病な僕でごめんね。


母さんが昔、父さんは忙しいからあまり連絡するなって言ってたけど、今なら僕

その理由がわかるよ。

自分の大事な人に自分自身のことで悲しんでほしくないんだ。

自分の弱ってる姿見せるのもつらいし、そして大事な人が悲しんでるのをみたくないんだ。

ずるいよね、ごめん。


願わくは会社で兄さんと一緒に働いてみたかった。


父さんと兄さんと僕で、食事したり、母さんの思い出を話したり、ケンカしたり…したかったな。


遥兄(はるにぃ)。

僕は遥兄の弟で良かった。

遥兄は僕の憧れで、ヒーローで、大事な、大切な家族だよ。

“ずっと仲の良い“兄弟でいたい。

遥兄はいつも僕の前を歩いてて、カッコよかった。


またいつか、前みたいに一緒に遊ぼうね。

ちょっと先に行って、遊べる場所、探しておくね。

母さんに見つからないように、こっそりとやるから。


じゃあね。

またね。



遥人:じゃあねってなんだよ…。

普通の手紙の最後じゃねえんだよ…。


結人…。

馬鹿やろ…。

はやく逝きすぎだろ…。




【2ヶ月後】


遥人:今日はわざわざ我が社まで来ていただいてすみません、社長。

   今度の事業、ぜひ成功させたいのでゆっくりとお話しさせて下さい。


   …あぁ、いい写真でしょう?

   僕のお気に入りの写真なんです。


   綺麗な青ですよね。

   コバルトブルーっていうらしいです。


   何かに迷ったら、このブルーをみると迷いを浄化してくれるようで、ただボーッと、この写真をみたりするんですよ。

   まるで、「大丈夫」って言ってくれてるような気がして…。


   だから、今度の事業も何かつまずきそうになっても、この写真を見て僕がなんとかしますから、一緒に頑張っていただけないでしょうか…?


   本当ですか?

   はい、ぜひよろしくお願いします!