松木渓谷~皇海山~石塔尾根
【日程】2020/10/31-11/01
【メンバー】K、F、I(L)
(松木渓谷・男体山方面を望む)
10月31日 銅親水公園~松木沢~モミジ尾根~国境平
(松木沢の岩壁)
百名山にして、足尾山塊の盟主である皇海山は、群馬側から長い林道を辿り、皇海橋から不動沢のコル経由で手軽にピークハントが可能である(だった)。
この山に登るには、それでは面白味がないので、松木渓谷を辿り、国境平で幕営して登頂したいと以前から考えていた。最近、新型コロナの影響と膝の悪化であまり山行をしていなかったため、体力的に少し心配であったが、たまにはクライミングでない山行をと考え、思い切って実行に移すことにした。数十年前に両毛国境を縦走したというK氏も参加してくれた。
※不動沢ルートのアプローチである栗原川林道は、昨年の台風19号以降、通行止めとなったままで、今後、開通の予定がないことが発表されている。よって皇海山への登山は銀山平から庚申山経由のクラシックルート、我々が辿った松木沢ルート、両毛国境を縦走してからのルートのみとなった。
紅葉シーズンの為、いろは坂手前で少し渋滞し、予定していた銅親水公園駐車場も満車で駐車場外に駐車することになった。
ここから旧松木集落があった林道を辿っていくが、周辺は銅山の煙害により、地肌と岩壁がむき出しになっている。目指す皇海山は、遥か先でまだ見えない。途中、ジャンダルムの岩場や、数年前、三井氏とアイスクライミングで登った黒沢のF1~F3の壁が見え、登攀への興味が湧いてくる。2時間程歩いて林道歩きに飽きた頃、ウメコバ沢出合の少し手前で沢に下りる。
そのまま登山靴で行くが、暫く行くと徒渉せざるを得なくなり、渓流シューズに履き替えた。ズボンを濡らさないよう、膝下までしか浸からないルートを探りながら遡行したため、思いの他、時間を要して却って疲れてしまった。
途中、泳ぐしかない淵に突き当り、右岸の踏み跡を辿り大きく高巻く。無理に沢には下りずにそのまま踏み跡を辿り、ニゴリ沢の手前で右岸から合流する沢に降り立った。ニゴリ小屋跡まで一気に行けるのではないかと期待したが、そうではなかったようだ。ここから一旦本流に戻り、ニゴリ沢出合まで進む。
ニゴリ沢に入ってからは、モミジ尾根の取付きを探しながら進んでいくと、標識とテープがあり、モミジ尾根の取付きに到着したことが分かる。ニゴリ沢は名前のとおり白く濁って見えるが、気にせずここで明日の分も含めて水を汲む。ここの水はなかなか美味であった(飲んでも大丈夫だったのだろうか)。
ここから登山靴に履き替え、モミジ尾根の急登に取付くが、踏み跡が落葉に隠れており悪い。この時期、下りには使いたくないルートである。紅葉のピークには少し遅いが、名前の通り紅葉のなか急登を登っていくと、笹藪と樺の疎林に代わっていく、尾根の上部から国境平にかけては正に桃源郷の趣であり、バテながらも山深くまで登って来たことに幸福感を感じる。
国境平には単独行者のテントが一張あり、近くの笹藪にテントを張った。今回、東京を朝出て来たが、前夜の内に山麓まで来ておけば、余裕をもって国境平に到着できるであろう。
11月1日 国境平~皇海山~鋸山~庚申山~オロ山~沢入山~中倉山~銅親水公園
(皇海山)
5:00出発を予定していたが、暗闇の中、ルートを間違って消耗したくないため、少し明るくなった5:30に出発。途中、シャクナゲの藪を漕ぎながら2時間程で皇海山に到着。展望はよくない山頂だが、百名山らしい渡良瀬源流の立派な標識がある。さあ、ここから長い縦走の始まりだ。明るい内に下山することはできるだろうか。
この先、庚申山までは一般ルートのため、これまでと異なり整備されたしっかりとした登山道となる。不動沢のコルまで下降、鋸山まで登り返す。非常に良い天気で富士山まで見える。
鋸山から庚申山までの前半部分に鎖、梯子、ロープが連続する。途中、梯子を見落としてルートが分からなくなった。少し戻り気味に進むと勘違いしてしまい、前進しているつもりがウッカリ鋸山方面に戻ってしまった。結果的に鋸山~庚申山の間も思いの他、時間を要してしまった。
庚申山への到着が12:30。ここから銀山平に下れば2時間程で林道に降り立つことが可能であるが、これは非常時のエスケープルート。日没の時間から逆算し、最後はヘッドランプで行動したとして、十分下山可能と判断、そのまま縦走を継続する。
庚申山からオロ山に向かうルートが不明瞭、特に出だしが要注意とされるが、コンパスで方向を確認しながら探すと、テープ、踏み跡があり、すぐルートを発見することが出来た。ここからオロ山までは一部笹藪で不明瞭になるが、常に尾根の軸から外れないことを意識して歩けば、ルートを外しても直ぐ復帰することが可能。
オロ山から先は煩い藪も減り、天上の遊歩道という感じで、沢入山を経て、波平ピーク、孤高のブナ、中倉山を目指していく。縦走中、昨日遡行してきた松木渓谷もよく見える。途中、ウメコバ沢の源頭で、暫しウメコバ沢両岸の岩稜を眺めていると、他の2人はどんどん先に行ってしまう。
最後、中倉山に到着した時点で日没寸前。しかし明瞭な登山道があるので安心である。600mの下りを、途中からヘッドランプを点灯して下っていく。駐車場到着は18:30、余裕を見て計画したはずの行動時間を使い切り、13時間行動となった。
2日間、好天に恵まれ、念願のルートを辿ることができて、非常に満足している。技術的に難しいところは一切ないが、変化と歩き応えがあり、足尾山塊を堪能できる好ルートとして推奨したい。次回はジャンダルムやウメコバ沢のアルパインクライミングに松木沢を訪れたいと思っている。
*モミジ尾根取付きから先は、一般ルートでない部分も含め所々に標識と踏み跡がある。踏み跡が全く無くなった場合は、ルートから外れていると考えてよい。
*庚申山から先はガスで視界が悪い場合には、慎重なルートファインディングが必要。
*冒頭記載のとおり不動沢ルートが使えなくなったことから、今後、クラシックルートを辿る人が増えると思われる。庚申山~オロ山間も結構踏まれているとの印象を持った。中倉山~孤高のブナまでは、ネットの記録も多く、多くの登山者が入っていると思われる。
記録/I