* Bear Fruit *

『戦争の時代の芸術』を終えて①

2020.12.07 15:25

12月6日、芸大で開催されたコンサート・シンポジウム『戦争の時代の芸術〜戦争の記憶を語り継ぐ』が終演しました。


私は、四部からなるシンポジウムの中で、鈴木正三作曲の歌曲集『春夏秋冬』、岡田二郎作曲の二重唱「泉石」を演奏し、

ひめゆり学徒隊と、彼女らを引率し殉職した東風平惠位を題材とした朗読劇『消えた歌声 ひめゆりの別れ』(冨士川正美氏・台本/演出)に女学生役で出演しました。

鈴木正三氏、岡田二郎氏、東風平惠位氏は、戦争の犠牲となった東京音楽学校の卒業生や教師です。


シンポジウムで演奏された歌曲は、いずれも多く知られていない作品だと思いますが、歌えば歌うほど、聞けば聞くほど、じわじわとその曲の良さが心に染み入ってくるような曲だな、と感じました。


まったく知らない曲の楽譜を読み、自分一人で歌ってみた時に感じたこと


ピアノと合わせた時に気づいたこと


生活する中でふとひらめいたこと…


歌うごと、時間が経つごとにいろんなことを感じました。

さらに本番では、ホールの響きや空気を楽しみながら歌っていました。

きっと、もう少し時間をおいて歌ったら、また新たな気付きがあるのだと思います。


橋本久美子先生もシンポジウムでおっしゃっていましたが、遺された楽譜から演奏家というフィルターを通して再現し、それを後世に伝えていく、このような機会が音楽作品には必要不可欠なのだと思います。


日頃わたしたちは、楽譜を購入し、それを演奏する、ということはあたりまえのようにしていますが、

なかなか日の目を見ることのできない作品が見つかり、その楽譜を手にして演奏させていただくことは、演奏家としても嬉しいことですし、

このような作品に触れると、日頃の'あたりまえ'は、もっと有難いことなのではないかと思います。


芸大では、戦没学生の作品を取り上げた『戦没学生のメッセージ』というコンサートを継続しておこなっています。

私も初回から歌わせていただいていて、また以前大学史資料室でスタッフもさせていただいたこともあり、身近に感じている企画です。

今年8月にも開催予定でしたが、コロナ禍で来年8月7日に延期になっています。

こちらもあわせてお聴きいただけたら嬉しいです。