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天の岩屋戸

2016.08.31 06:41

誓約で身の潔白を果たしたスサノオさま。しかし、なぜかそれですっかり自信をつけられたのか、高天原で暴れまくります。最初のうちはアマテラスさまも弟神をかばっておられたのですが、ついに大事件が起こってしまいました。

所謂、日本神話でももっとも人気のある「天の岩屋戸」の物語です。

今回は、この場面の古事記現代語訳を一気にお読みください。

(現代語訳)

アマテラスが機屋にいらっしゃって、神の御衣を機織女に織らせていたとき、スサノオは機屋の屋根に穴をあけ、斑になった馬の皮をはぎ、落とし入れた。これを見て機織女は驚き、杼で女陰を突いて死んでしまった。


これを見てアマテラスは恐れ、天の岩屋の戸を開いて中に入り、籠もってしまわれた。そのため、高天原は暗くなり、葦原中国もすべて暗くなってしまった。そして闇夜が続いた。いろいろな邪神の騒ぐ声が満ち、あらゆる禍が起こった。


そこで、多くの神々が天の安の河原に集まり、タカミムスヒの子の思金神(オモヒカネ、智恵の神)に次のような思案をさせた。


まず、常世の長鳴鳥を集めて鳴かせ、天の安河の川上で堅い石と鉱山の鉄をとって、それを鍛冶の天津麻羅(アマツマラ)を捜してきて精錬させ、伊斯許理度売命(イシコリドメ)に鏡を作らせた。

また玉祖命(タマノオヤ)に命じて多くの勾玉を通した八尺の玉飾りを作らせた。

そして、天児屋命(アメノコヤネ)と布刀玉命(フトダマ)を呼んで、天の香山の雄鹿の肩骨を丸ごと抜き取り、同じく天の香山の、桜の木を取ってきて、鹿の肩骨を焼いて占った。

さらに天の香山の多くの賢木を、根ごと掘り起こし、上の枝に多くの勾玉を通した八尺の玉飾りを取り付け、中の枝に八尺の鏡を取り付け、下の枝に白い布帛、青い布帛を垂らし、この様々な物をフトダマが御幣として捧げ持ち、アメノコヤネが祝詞をあげた。

そして、天手力男神(アメノタヂカラヲ)が天の岩屋戸の横に隠れて立ち、天宇受売命(アメノウズメ)が、天の香山のヒカゲノカズラをたすきにかけ、マサキノカズラを鬘として頭にかぶり、天の香山の笹の葉を手に持って、天の岩屋戸の前に桶を伏せて踏み鳴らし、神懸かりして、乳房をあらわに出し、裳の紐を陰部まで垂れ下げた。


すると高天原が揺れ動くほど、多くの神々がどっと歓声をあげた。


そこでアマテラスは不思議にお思いになり、天の岩屋戸を少し開いて中から「私が隠れたので、高天原が自然と暗くなり、葦原中国も皆暗くなったと思っているのに、なぜアメノウズメは歌い踊り、多くの神々が歓声をあげているのか」と仰せになった。


そこでアメノウズメは「あなた以上に尊い神がいらっしゃいますので、皆歓声をあげ歌い踊っているのです」と申し上げた。


こう申しあげる間にアメノコヤネ、フトダマが鏡を差し出し、アマテラスにお見せ申し上げると、ますます不思議に思われ、ちょっと戸より出て鏡を覗かれたときに、隠れていたアメノタヂカラヲがアマテラスの手を取って引き出した。すぐにフトダマが注連縄をその裏に引き渡し、「この注連縄より中にはお戻りになれません」と申し上げた。


こうしてアマテラスがお出ましになると、高天原も葦原中国も自然と明るくなった。


そこで多くの神々は相談して、スサノオに罪滅ぼしの品々を出させ、髭と手足の爪を切って祓いとし、高天原より追い払った。