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治療探訪記2

2020.12.09 22:05

昨日の続きです

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その後は患者さんの治療を見学させていただいた。 治療はごく一般的な治療ではなく、中村先生らしいものが続き、患者さんが楽になっていく様子が目の前でどんどん繰り広げられて行った。 

まず印象に残ったのは、治療は「鬼気迫る」ものであった。ということ。 鬼気迫ると言うと、大袈裟に聞こえるかもしれないが、まさに真剣勝負というのが伝わってきたのである。 


プロであるから真剣勝負であることは当たり前と思うかもしれないが、中村先生の治療は感覚を研ぎ澄まし、ほんの小さな気づきも見逃さないという気迫が意識を使っている目を見て、あるように感じた。 それは患者さんの状態、異常箇所などを「しっかりみる」「しっかりみようとしている」ということであると思う。 

さらっとやっているように見えるが、これは大変に疲労もするだろうなと思った。 治療後は椅子に座っている全ての患者さんの腰が伸び(立ち)、表情や言動から明るくなったのが見て取れた。

 

入室時はうつむきがちでぎこちない動きで歩かれていた患者さんが、治療後は体や顔が起き、どこかが悪いと言うことは感じさせない動きを見せてくれる。 ただ、中村先生は姿勢を直すのを目標にしているわけではないと言う。 姿勢は自然とそうなる別の目標で治療していると言うのである。 

これはトレーナーとして姿勢を自然体にすることを目標にする私のセッションと相違してくる部分である。 中村先生のイメージしていることはなんとなくわかるのであるが、まだ府に落ちたと言うわけではない。 


まずはそれがどう言うことなのか、これからの経験で探っていきたいところである。 確かに直接アプローチしているわけではないが、腰が伸びるのもそうだが足の向きが気になっていた患者さんが、調整後は自然体に近づいている例もあったし、それほど姿勢が変わらない例もあった。 

おそらく治す過程には段階があって、今日はここまででそれ以上は行わないと言うものがある。 素人的な考えでは、全部良くなればいいのにと思うところがあるが、それは中村先生がその患者さんを見て判断している部分があると言うことである。 


まさに患者さんありきで自分のやりたいことが先に来るのではなく、今の患者さんの状態に適切な刺激の種類、強度、頻度があるのだと理解している。 だから姿勢を自然な状態にすれば良くなると言う判断ではなくなるのである。それは単に物理的に変化しただけであり、それだけでは治療は不十分であり、それだけでは決して完成しないのであろう。

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私の一挙手一投足を詳細に観察して言葉にしてくれているのは本当に嬉しいことです。

姿勢は結果であって目標ではないというのは、以前から言っていることですが、状態が良くなれば自然に姿勢は良くなっていきます。姿勢を直接変えなくても経絡の状態が調えば自然に姿勢は良くなってきます。経絡と関係する内臓の調子が良くなれば自然にそうなる訳です。


姿勢を良くしようとした調整と何が問題で異常を起こしているかを見極めて調整するのとでは大きな違いがあります。姿勢を元に戻そうとする方法だけではどうしても無理がでてきます。何を目標にするのかという問題が大事なのです。


高齢者で自分から積極的に自分の身体を見つめようとしていない人を無理やり姿勢を変えてしまうと、その後の状態が良くならないのです。これは経験していかないとわかりにくいところかもわかりませんが、バランスというのは時間が関係します。その人のその時の状態に合わせるというのは、とても大事なことです。


バランスと一口に言っても時間を含んだバランスと形だけのバランスというのは意味が違うということですね。