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臍帯とカフェイン

沖田メンタるクリニック⑥(ヘラ編)(2:2:0)

2020.12.10 11:07

【配役】

沖田:男性

ブリ:女性

ゼウス:男性

ヘラ:女性

※演じる方の性別は不問といたします。


沖田:嫌です!!!!嫌ですって!!!!まだ死にたくない!!!死にたくないです!!!

ゼウス:沖田先生!後生じゃ!あとで絶対転生させてあげるから!!ここは!!ここは何卒!!

沖田:絶対に嫌だーーーー!!!

ブリ:せんせ!ここはもう責任取るしかないですわよ!!

ブリ:あら、皆様。いらっしゃったのですね。

ブリ:わたくし、沖田メンタルクリニック、助手のブリュンヒルデと申しますわ。

ブリ:でも名前が長くて言いづらいと皆様から不評でございますので、ブリ、とでもお呼びくださいまし。

ブリ:……ごほん、本来であれば、皆様への挨拶は沖田せんせにお願いしているのですが……。

ゼウス:観念してください沖田先生!!

沖田:やだやだやだやだやだ!!絶対やだ!!離して!!離してーーー!!!

ブリ:……と、まぁ。ちょっとばかし、それどころでは無いと言いますか。

ブリ:何があったのか?少しばかり時間を巻き戻して見てみましょう。

演出:(少しの間をあけ)

ゼウス:(酔っ払ったような感じ)いやぁー……っは!はっはっは!それでですな、沖田先生、わしは言ってやったのですよ。

沖田:(酔っ払ったような感じ)はーははは!なんて、なんて言ってやったんですかゼウスさぁん!

ゼウス:わしと君の出会いは、ずっきゅんケラウノスじゃよ……ってのう!!はーっはっはっは!!

沖田:あっはははは!!全然意味がわかんないですよぉー!

ブリM:あー……完全に出来上がっておりますね。そう、前回机の整理を終えた沖田せんせは、ゼウス様に誘われ……その……オーディン様のキャバクラ……

ブリM:ちがうちがう!ヴァルハラ!そう、クラブヴァルハラで

ブリM:おいしいみつ酒(しゅ)を飲んでいらっしゃったのですわ。

沖田:いやぁ……ゼウスさん……ほんっと、ほんとにね、楽しいですねぇ……キュレクラ最高!!!!

ブリM:キュレクラじゃありませんわ!!

ゼウス:そーじゃろそーじゃろ?可愛いワルキューレのお姉ちゃん達が注ぐみつ酒、最高じゃろぉー?

沖田:最高ですよぉー!こんなにいい所なら僕通っちゃおうかなあ!!

ゼウス:お、先生もなかなかイけるくちですなぁ!!!同伴もアフターもわしの一声で自由自在ですよ……ぬっふふふふ。

沖田:えぇーーー!ゼウスさぁぁーーーん!もう一生ついていきますよぉーーー!アフター!アフター!えへへへ

ブリM:お酒が人をダメにすると言いますが、お酒に罪はありません。

ブリM:お酒は、その人がダメな人だと言うことを暴く。

ブリM:皆様、肝に銘じておいてくださいまし。

ブリM:……まぁ、とにかく。

ブリM:こうして沖田せんせとゼウスさんは容姿端麗なワルキューレ達を横にはべらせ、酒池肉林、やりたい放題。

ブリM:……いつもお仕事を頑張っている2人なので、まぁ、わたくしとしてはこうして息抜きをするのは悪いことでは無いと思うのですが……。

ゼウス:いんやぁ、今日はどの子をお持ち帰りしっちゃおっかなぁー♡君かの?いやー……君かの?

沖田:よっ!ゴッドオブゴッド!性欲ティタノマキア!!

ゼウス:すらーりスレンダーモデル体型な君かの?それとも豊満アフロディーテボディのグラマラスな君かの?

沖田:GOD!(じーおーでぃー!)

沖田:GOD!(じーおーでぃー!)

ヘラ:へーえ。そういうのが好きなの?(小声で)

ゼウス:いんやぁ!!!ロリロリな君もいいのう!!!あぁーー!すこしボーイッシュな君もいいのーーーーう!!!選べないのーーーーう!!

沖田:あ……あわわ……ぜぜぜぜぜゼウスさん……っ

ヘラ:いいの。沖田先生。もう少し様子をみましょう。(小声)

沖田:ひゃ……ひゃい……

ゼウス:なんなら全員お持ち帰りしちゃおうかのーーーーう!!!美人ぞろい!!たっまんないのう!!!のーう?沖田先生!!!

沖田:……ソウ、デス、ネ(棒読み)

ヘラ:……ふう。

ゼウス:なんじゃなんじゃ沖田先生!!怖気付いたのかの!?仕方ないわしがこう言う時の心得(こころえ)を教えてやろう!!!

ゼウス:ゼウス愛の心得いち!

ゼウス:いいから行け!いけばわかる……さ……え……?へ、ヘラ……?

ヘラ:気づくのが遅かったわね。

ゼウス:ひょ、ふょぉー……ふぇ……(しどろもどろ)

ヘラ:どうぞ?続けて?行けばわかる……のあとはなんなの?

ゼウス:い、行けば……わかるさ……女の……花園……。

ヘラ:へえ。花園。どこにあるのかしらね?あ、ここの事か。

沖田:あばばばば……。

ヘラ:それで?続きは?あるんでしょう?

ゼウス:いや……そ、その……。

ヘラ:是非とも教えていただきたいわ?

ゼウス:……ほんと……勘弁してください……。

沖田:あばばばば!!!!

ヘラ:あなた。

ゼウス:は、はい。

ヘラ:わかってるわよね?

ゼウス:あ……あう……。

ヘラ:私が、嫉妬(しっと)深い女神だってこと、わかっててこんな所に来てるのよね?

ブリM:さあ、ナレーション的に介入していきますよ。

ブリM:ヘラ様と言っても、あまり多くの方はピンと来ないかもしれませんね。

ブリM:結婚を司る女神と呼ばれ、あのオリュンポスの父、ゼウス様の奥様なのでございます。

ブリM:……ここだけの話、ゼウス様のお姉様なんだそうですよ。

ブリM:オリュンポスの方々は、なかなか奔放ですね……。

ブリM:ヘラ様だとぴんと来なくても、この名前なら知ってるという方も多いのではないでしょうか?

ブリM:半神半人(はんしんはんじん)の英雄、ヘラクレス。

ブリM:この方はそのヘラクレス様の義母(ぎぼ)となる方なのですね。

ブリM:人間との間に子をもうけてしまったゼウス様、せめてもの償いで、ヘラ様への愛を表現する為に「ヘラクレス」と名付けたそうです。

ブリM:男の人ってどうしてこう馬鹿なんですかね?そんなの喜ぶと思います?

ブリM:自分の子供には、初恋の人の名前つけました……って言うのと同じくらい意味がわかりませんわ。

ヘラ:あなたが何度、よそ様のところで子をなそうと、私は何度も何度も我慢して参りました。

沖田:え……いや……我慢できずヘラクレスさん毒殺してませんでした……?

ヘラ:沖田先生はだまって。

沖田:す、すいません。

ヘラ:よき妻、よき母となれるよう、あなたの為だけに尽くして参りました。

ゼウス:あわ……あわわ……。

ヘラ:性欲だけはデカいのに、器もイチモツも赤子以下のあなたのことを、それはもう愛して、愛して、愛して、愛し尽くして参りました。

ゼウス:へ、ヘラ……お、落ち着くんじゃ……!

ヘラ:落ち着け?落ち着けって?この状況で落ち着けっていうの?おかしい、そんなのおかしい。

ヘラ:わたしはあなたの事しか見てない、実の弟であったとしても、すでに他の女神と結婚していたとしてもわたしはあなたの事だけを考えてあなただけの世界で生きてきた。

ヘラ:すべてを奪い尽くしても、人類の英雄を滅ぼしても

ヘラ:世界の半分を焼け野原にしてもあなたへの愛は、愛だけは確かなものとおもってこのうん万年の時を過ごしてきたわ。

ヘラ:あなたのことを支えらるのはわたしだけ、わたしの事を満たせるのはあなただけ。

ヘラ:そう思って今まで!いままで!連れ添ってきたんじゃない!

ゼウス:ま、まつんじゃヘラ……!

沖田:あー、これ、ヘラさんがメンヘラっていう、あ、そーいうことです?そーいうダジャレ的な?

ヘラ:沖田先生は黙ってて!

沖田:ひえ!

ヘラ:あなたが股間に象の鼻をつけてきてくれたときはすごく嬉しかった。どんな無理難題でもあなたは愛をもって応えてくれる。

ヘラ:まぁ結局はガネーシャさんのところの頭だってわかって流石に恐れ多かったけれど

ヘラ:それでもあなたがそうやってわたしの事を考えてくれるだけでただそれだけで幸せになれた!なのに!なのになのになのに!

ヘラ:また!あなたはまた!こうやって!わたしより若くて可愛いワルキューレなんてもんをはべらせて!!!

ヘラ:もう無理!!もう限界!!!さよなら!!!!本当はあなたも殺してわたしも死にたいけど!!!

ヘラ:どうせ何回殺しても死なないから!!!

ヘラ:実家に帰らせていただきます!!!

ゼウス:へ、ヘラ!!待って!!待っておくれヘラ!!ヘラぁーーーーーーー!!!

沖田:実家ってゼウスさん達姉弟(きょうだい)なんだし同じなのでは……?

演出:(少しの間をおき)

ブリM:……と、まあ。

ブリM:ゼウスさんの浮気の現場に立ち会う形となった沖田せんせは、

ブリM:そのまま、流れに身を委ね、ゼウス様の実家まで一緒についてきたわけですが。

ゼウス:沖田先生ぃー……わし、わしどうしたら……。

ブリM:ヘラ様は、日本神話の天照大御神(アマテラスオオミカミ)様と同じように、自室に引きこもってしまったのです。

沖田:……ゼウスさん、ヘラさんは確か……結婚の女神と呼ばれる以外に、嫉妬深い神様としても有名でしたよね?

ゼウス:ええ……そのとおりですわい。

沖田:ふむ……たしか以前にも似たような事がありませんでしたか?

ゼウス:以前……?

沖田:ちょっと待ってくださいね。

沖田:ぴぽぱぽ……っと、もしもーし!ブリさーん!ちょっとお願いしたいことがあるのですがー!

演出:(少しの間をおき)

ブリ:今日はお休みを頂いていたはずなのですが、まさかこんな事で呼び出されるとは思ってなかったですわ。はい、これですわよね。

沖田:そうそう!「週刊!僕のわたしのギリシャ神話」!いやー!ほんとすいません!でも緊急事態だったんですよ、ぺらぺらっと……

ブリ:ありました?

沖田:あったあった!ありました!

沖田:ゼウスさんほら!ありましたよ!

沖田:「ゼウスの浮気性に心底腹を立てた女神ヘラは、エーゲ海に閉じこもり誰とも話をしなくなった」ほら!これですよ!

ゼウス:そういえばそんな事もあったような……。

ブリ:成長してないと言うことですわね。

ゼウス:えんっ!

沖田:ブリさん、今はやめたげて……。

沖田:なになに?「知識人に知恵を借り、木で作った人形とゼウスがいちゃこらする事で、その姿に嫉妬したヘラは再び姿を現した」これだ!これですよゼウスさぁーん!

ゼウス:おお……!なるほど……!

沖田:目には目を!歯には歯を!嫉妬には嫉妬を!

沖田:ゼウスさんとブリさんで、ここでいちゃこらして貰って!それでヘラさんをおびき寄せましょう!

ブリ:いやです。

沖田:……え。

ブリ:絶対にいやです。

沖田:な、なんでよ。

ブリ:こんな穢らわしい(けがらわしい)物体といちゃこらとかするくらいなら、わたくし、堕天(だてん)してもいいです。

ゼウス:穢らわしいとはなんじゃ!北欧神話風情が!!ケラウノスしてやるぞ!!

ブリ:はんっ、自身の貞淑(ていしゅく)さも神格化できないハゲおやじが何をいってるのでしょう。

沖田:わーーー!まってまって!

沖田:落ち着いて!ふたりが争ってたら元も子もないよ!

沖田:しかもブリさんめっちゃ機嫌悪いじゃん!

ブリ:当たり前です、わたくし公休返上ですのよ?

沖田:それは……ほんとに……申し訳ないけれども!!!

ブリ:せんせ。

沖田:ん?

ブリ:あなたがやったらいいじゃありませんか。

沖田:えっ?

ゼウス:えっ?

演出:(少しの間をおき)

ゼウス:おーきたん♡あのねー、わしねー、すんごくすんごーくさびちかったぁ♡

沖田:ぜうちゅんったらぁ♡おきたんはぁ、いつでもぉ、ぜうちゅんと運命共同体なんだぞ♡

ゼウス:やだー♡もー♡わし、おきたんにめーろめろ♡ハートがケラウノスしとるもん♡

沖田:ねーねー、ぜうちゅんっ。ぜうちゅんはぁ、おきたんの事ぉ、どんくらいちゅーき?

ゼウス:そんなの決められないよぉ♡♡だいだいだーいちゅき♡もう世界の半分あげてもいいくらいちゅーきー♡

沖田:えー!ほんとー!?ぜうちゅんだぁいちゅき!その可愛い可愛いおひげをぺろぺろちたぁい♡ぜうちゅーん♡

ゼウス:おきたぁん♡

ブリ:おおおおおおえええええっ。

沖田:ちょっとブリさん!吐かないでよ!こっちだって頑張ってるんだから!ねえ!?ぜうちゅん!?

ゼウス:おきたん……ハァハァ……わしおきたんも守備範囲かもしれないわい……

沖田:まってほんとやめて!シャレに聞こえない!

ブリ:これに嫉妬するとしたら相当ですわよ。

ヘラ:おおおおおおおおきぃいいいいいたあああああああ!!!きさまあぁーーーーーー!!!!

ブリ:相当でしたわ。

ヘラ:殺す沖田殺すまじで殺すわたしのゼウスになにしてくれてんじゃおらまじでぶち殺すぶち壊すもう世界も滅ぼす。

沖田:待って待って待って!ヘラさん違います!!違いますって!!これはあなたを部屋から引きずり出す為の作戦で!!!

ゼウス:あわわわわ。ブチ切れモードのヘラですわい……こうなったらもう誰にも止められんわい。ヘラクレスの時もそうじゃった。

ゼウス:申し訳ないが沖田先生、一度死んでくれんか。そしたら落ち着くと思うから、のう。

沖田:待って待って待って!やだ!やだって!やだ怖い!ほんとこわい!ヘラさんの目、ガチだもん!やだ!やだー!

沖田:ブリさん助けて!!!

ブリ:あなたの立案した作戦ですし、死んでもエインヘリヤルとして蘇らせてあげますから。

ブリ:一度責任とって、死んでおいたらよいのでは?

沖田:ブリさんまでーーーー!

沖田:ほんと、神々の死生観(しせいかん)、がばがばでやだーーー!

ブリ:と、まぁこんな具合に冒頭と繋がるわけでございまして。

ヘラ:沖田ぁ!!!覚悟ぉ!!!!!!!

沖田:ぴぎゃあ!!!!!!

ゼウス:……ヘラ!!!やめるんじゃ!!!

ヘラ:な、なによ!!!!ゼウスちゃんどいて!そいつころせない!!!

ブリ:なんか聞いたことありますわね、それ。

ゼウス:ヘラ!!!

ヘラ:な、なによ……

ゼウス:わしはな、ヘラ。

ゼウス:おまえが父クロノスの腹に飲み込まれていたときから

ゼウス:おまえの事だけを考えて、生きてきたんじゃ。

ゼウス:どんな若い女に手を出そうとも

ゼウス:どんな王女をたぶらかそうとも

ゼウス:わしには、おまえが一番なんじゃ。

ヘラ:ゼウスちゃん……

ゼウス:ゴッドオブゴッドの、嫁オブ嫁は、ヘラ、おまえ以外ありえんのじゃよ。

ヘラ:ぜ、ゼウスちゃん……

ゼウス:ヘラよ、戻ってきておくれ。

ゼウス:わしのケラウノスを、よしよしいい子ちゃんに出来るのはおまえだけなんじゃ。

ヘラ:ちゅき……ゼウスちゃんちゅきぃ……。

ゼウス:よーししよし、ヘラたんはいい子じゃの、寂しくさせてすまんの、ラブリーヘラたんじゃよ。

ヘラ:ちゅき、ゼウスちゃんもうちゅき。だいちゅき。

ブリ:……なにこの茶番。

沖田:た、助かった……ほ、ほんとに死ぬかと思った……。

ブリ:ちっ……。

沖田:ちょ、ちょっとブリさん!!!?

沖田:ってうわ!!み、皆さん、いらっしゃったのですね。

沖田:ご、ご紹介が遅れました、私が、沖田メンタルクリニック医院長の、沖田と申します。

ブリ:そして助手のブリですわ。

沖田:なんだか見苦しいところを見せてしまったような気もしますが……ははは。

沖田:なんとか、今日も、困ってる神様を助けることができて良かったですよ。

ブリ:まぁ原因の半分はせんせにもあると思いますけどね?

沖田:ちょ……ブリさん手厳しい……。

ブリ:ワルキューレ達はさぞかし可愛かったでしょうねえ?

沖田:い、いや……その……ははは

ブリ:(ぼそぼそと)そんな所行かなくても、わたくしがいるじゃないですの……

沖田:え?なにか言いました??

ブリ:いいえ!なんでもないですわよーだ!

ブリ:わたくしはヘラさんと違って

ブリ:そこまで嫉妬深くありませんから!

沖田:んー……?

沖田:ま、まぁ一件落着ということでね。

沖田:そしたらゼウスさん、なにかあったらまたいつでも来院くださいね!

沖田:24時間、いつでも!神様ですら受け入れ……

ヘラ:(いつでも!の辺りから割り込み)沖田先生。

沖田:っと、は、はい。なんでしょう、ヘラさん。

ヘラ:わたしのゼウスちゃんとイチャイチャしたことは事実なので、ちょっと呪いは掛けさせていただきますね。えいっ、と。

沖田:んびゃへ!!!???

ブリ:え!?ちょ、ちょっと!沖田せんせ!?沖田せんせーーーー?!