『片袖の魚(仮)』トランス当事者俳優のオーディションを行って感じた事
🌟新作『片袖の魚(仮)』発表されました!🌟
10月に日本初となるトランス女性当事者俳優の公募オーディションを始めた時は本当に実現できるのか不安でしたが、多くの皆さんに支えられてこうして制作発表に漕ぎ着けることができました。心より感謝申し上げます。
原案の文月悠光さん、主演のイシヅカユウさん、広畑りかさん、猪狩ともかさんほかキャスト、スタッフ全員で良い作品を届けられるように努めます。
本当に小さな一歩ですがここから始まる何かがあると信じて、2021年の公開に向けて歩き出します。どうか皆さま応援の程よろしくお願いします!
今回、トランスジェンダー当事者俳優の公募、オーディションを実際に行ってみて起きた事、思ったことをまとめておきたいと思います。今後、同様の募集をされる方の参考になれば幸いです。
🐠トランス男性(FtM)の方からの応募が数件あった
トランス前の性別と紐づけられることを不快に思う方もいると考え募集要項では「MtF」を避けて「トランス女性」という言葉を使いました。それが混乱の原因だとしたら今後の募集ではどうするのが良いか、考えたいと思います。
🐠応募総数について
体感的にはシス俳優のオーディションの1/10程度の応募数だと感じました。具体的な数字は出しませんが、当事者の総数を考えると多いともいえるかと思います。
🐠熱意のある応募が多かった
志望動機やライフヒストリーを書き添えてくれた方が多かったです。当事者俳優の募集を待っていた!と仰って下さった方も多く、この募集をやってよかったと思えました。
🐠演技経験者が少なかった
その原因は最も当事者がキャスティングされやすいはずのトランス役にすらこれまで当事者を登用してこなかった我々にあるのではないか、と感じています。トランスの芸能活動=いわゆる「オネェタレント」を含む広義のタレントという図式が出来上がってしまっていて、これまで職業俳優としての道が示されてこなかったこともトランス当事者で俳優を目指す人が少ない原因ではないか?と思いました。
「何でも演じるのが役者であり、シス俳優がトランス役を演じる事も演技者として当然」という俳優の矜持に基づく論は一理あると思います。しかしそれはトランスジェンダーにも職業俳優の道が開かれているのが一般的な状況になり、非対称性が改善されて初めてこれを論じる前提が揃うのではないかと思っています。
🐠募集要項の「パス度」について
「トランス当事者が望む性別として社会にどれだけ受け入れられているか」という趣旨のこの単語について当初から尺度が曖昧でかつシスノーマティビティを強化する事につながる恐れがあり使わないほうが良いという指摘がありました。そもそも俳優がオーディションにおいて外見・容姿でジャッジされるのは当然であるにもかかわらず、そこにあえて「パス度」という尺度を持ち出してしまったのは自分の中にも偏見があることの証左なのだと思います。次にトランス当事者俳優の募集をするときにはこの単語は使わない事にします。
・映画ナタリー
https://natalie.mu/eiga/news/408357
・映画.COM
https://eiga.com/news/20201211/9/
・CINRA.NET カルチャーメディア
https://www.cinra.net/news/20201211-katasodenosakana
・映画ログプラス
https://tokushu.eiga-log.com/new/61426.html
・ムービーコア
http://movie-core.fc2.net/blog-entry-1640.html
・リアルサウンド映画部
https://realsound.jp/movie/2020/12/post-671669.html
・シネマカフェ
https://www.cinemacafe.net/article/2020/12/11/70425.html
・Qetic
https://qetic.jp/film/katasode-no-sakana-201211/381201/
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『片袖の魚(仮)』
原案:文月悠光
脚本・監督:東海林毅
出演:イシヅカユウ 広畑りか 猪狩ともか 田村泰二郎 ほか
撮影:神田創
照明:丸山和志
録音:佐々井宏太
美術:羽賀香織
衣装:鎌田歩(DEXI)
ヘアメイク:東村忠明
助監督:小池匠
制作:清水純/牛丸亮
音楽:尾嶋優
ビジュアルデザイン:東かほり
宣伝:contrail
製作・配給:みのむしフィルム
2020/日本/30分予定/DCP/カラー
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🐠原案となった文月悠光さんによる詩「片袖の魚」はこちら!