営業は土日だけ。ラブホ街に潜む「NEWSSTAND」でチルしよう
土曜の14時。昨日のアルコールが少しだけ残ってる。牛乳がぶ飲みして、インスタントのしじみ汁を飲む。今日の予定を確認してみるが、特にない。今日はなにしよう。映画でも観にいこうかな。とりあえず渋谷にいこう。
渋谷に到着。映画の時間を調べたら2時間もあいてる。どこかで時間をつぶしたいけど、混んでる場所には行きたくない。今日も「NEWSSTAND(ニューススタンド)」でチルしよう。NEWSSTANDは円山町エリアに存在するウェアショップだ。ウェアショップなんだけど、服を買いに行くというより、チルしに行くって感じがしっくりくる。独特の場所と雰囲気があるから。とにかく行ってみれば分かる。道玄坂を右に曲がり、ストリップ劇場、無料案内所、ラブホ街を通ると、到着する。途中でスーツ姿のお兄さんに話しかけられることは少なくない。イヤホンをして、何も聞こえないふりして歩いていたら目的地に到着した。
今日の店番はマシリトさんとタクちゃんだ。正直ちょっと行きづらい場所にあるなって毎回思う(笑)。この場所で始めたキッカケってなんだったんだろう。
マシリトさん(写真:右)「このエリアは性が乱れてるよね。この前、お店に来た女の子が『来るの怖かったです』って言ってた」
タクちゃん(写真:左)「ラブホ街ですもんね(笑)。ここは小田原愛美ちゃんの『I&ME』の最初の展示会がやっていたんですよ。それに誘われて行ったのがキッカケですね。当時はピガールもなくて、周りに何もないのがおもしろいなって思いました。ちょうど自分でも服作ってて、仲間もいたんで、2ヶ月に1回だけポップアップショップとして使わせてもらったのが、はじまりですね。2ヶ月に1回だけだと珍しくなってしまうので、せっかくなら日曜だけやらせてもらえないかって相談して、やるようになったんです。去年の4月からやらせてもらってますね。最初は日曜だけだったんですけど、土曜もやっていいよって言われて。今は土日でオープンしています。メンバーは僕含めて4人で、交代でお店に立ってます。みんな土日以外は仕事があるんで、趣味の延長って感じですね」
NEWSSTANDで取り扱っているブランドは「AWESOME」、「ATM」、「Beside the bag」、「hEaLtHibOyZ(ヘルシーボーイズ)」、「くらぶセクシー」、「nothing to sell」、「The Chopstick Killahz(チョップスティックキラズ)」など。ファッションにアンテナを張っている人なら知っているであろうブランドだ。これらはメンバーが作っているものや、彼らと親交のある仲間が作っている。それ以外にもメンバーが家から持ってきた古着、雑貨、CD、ビデオ、雑誌なども取り揃えている。毎週、お店に並んでいるものが変わり、掘り出しものがわんさか出てくる。値段も驚くほど安い。オープンの週になると、インスタで発売する商品が告知される。土日だけのオープンだと、お店に行けない日もあると思うから、オンラインショップをチェックしよう。しかし、このお店にはオンラインショップがない(笑)。オンラインショップがない理由ってなにかあるのか気になった。
タクちゃん「オンラインショップは集計がめんどくさくてやってないんですよ(笑)。あまり良くないかもしれないですが、売り上げとかは気にしてなくて。あとは、実際に来てほしいっていうのがありますね。他のお店のオンラインにサイズのスペックとかあるじゃないですか。着丈がいくつとか。けど実物見ないと分からないじゃないですか。実際届いて違うみたいのとかあるんで、実物を見てほしいです」
マシリトさん「それぞれのブランドではオンラインやってたりするんで、NEWSSTANDではやらなくて良いかなって感じです。お店だけで1点物とか出したりするんで、インスタのコメントに『通販できませんか?』は多いですね」
タクちゃん「最近多いですね。土日しかやってないんで、木曜とか金曜に今週はこれでますって書くと、そういうコメント頂きます。けど、来てくれた人が先に買えた方が良いのかなって思いますね。お店が13時オープンなんですけど、同時にオンラインショップにもアップして、売れちゃって、せっかく来てくれた人が買えないのは違うかなと思う。NEWSSTANDはオンライン向きじゃないですね」
マシリトさん「土日だけのオープンで、なかなか来づらいからこそ楽しんでほしいですね。インスタとか使ってると現場に行ってなくても、行った気になるじゃないですか。それはちょっと違うと思ってて。お店に立ってると、それを分かってる人達が来てくれてる印象を受けます。ポケストップじゃないですけど、来て、見て、帰るだけの人もいますね(笑)」
オンラインショップをやらない理由の1つが「集計がめんどくさいから」というのは、いかにもNEWSSTANDらしいなって思った(笑)。このお店はジャンル問わず、レアな古着、懐かしい雑貨。スケボーも置いてあったりする。今日はスチャダラパーの初期のAPEボディのTシャツが驚くような値段で売られていた。ウェアショップだけど、ざつっぽく並べられている。このゴチャった感が落ち着くのかもしれない。なんでこんなに服屋っぽくないんだろう。
マシリトさん「それは良く言われますね。先輩にもチルスポットとか社交場って呼ばれてます(笑)」
タクちゃん「NEWSSTANDは他で売ってないような物が多いと思いますね。こんなの売ってるんだとか驚かれます。家で眠ってる私物や、買い付けたものを置いたりしてますね。普通のお店ならコンセプトとかあると思うんですよ。けど、このお店にはなくて(笑)。メンバー全員の好きなものがバラバラなので、それらがミックスされた感じ。それが絶妙なバランスで成り立っていると思いますね」
マシリトさん「メンバーそれぞれ違ったカルチャーが好きで、違った方向を目指してる。それを認め合っていて、互いに刺激し合う。話をしてて、そんなこと知ってるんだとかなる。ここは成長し合える環境ですね。友達でもあって、仲間でもあって、それがNEWSSTANDっぽいかなあって思ってます」
なるほど。メンバーそれぞれ違ったカルチャーが集まって、この独特の空気感を出しているのか。この空気感がウェアショップというより、チルスポットって感じがしっくりくるんだろう。告知になるが、9/16(金)〜 9/19(月)の「THE TOKYO ART BOOK FAIR 2016」でNEWSSTANDとしてZINEの即売会に参加するらしい。メンバー4人でどんなZINEを作る予定なのか聞いてみた。
タクちゃん「みんなで一緒のものを作るなんて考えたことなかった(笑)」
マシリト「全く考えてなかった(笑)。当日は各自で作ったものを持っていきます」
NEWSSTANDらしいアンサー(笑)。メンバーそれぞれが、どんなZINEを作るのか楽しみだ。彼らの空気感を味わいたいなら、インスタをチェックして、現場に足を運んでみてほしい。最後に余談ではあるが、NEWSSTANDのメンバーが手がけている「hEaLtHibOyZ(ヘルシーボーイズ)」のブランド名の由来を少しだけ紹介したい。2014年、メンバー間で「イイネ!」という意味で「それヘルシーだね!」と言うのが流行っていたようだ。その年のMIN-NANO主催の「The Good Company」のポップアップショップのレセプションでの出来事。外でPHIL FROST (フィル・フロスト)と会話しながら、「ヘルシー、ヘルシー、ヘルシーボーイズ!」と気分良くラップをしたらしい。その後、フィルからインスタに「#hEaLtHibOyZ」とコメントされたのがキッカケだったようだ。NEWSSTANDらしい最高なエピソードだ。