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突イン!ジュエリーデザイナー奥野貴子さんvol.2

2016.09.02 13:00

(奥野貴子さんVol.1続きです)

💍デザインにこだわらず、 
ジュエリーに関わる様々な仕事を経験💍

石井▶︎ジュエリーデザイナーになるには皆さんそういった過程を進まれるんですね。 奥野さんはどうされたんですか? 

奥野さん🍀ジュエリー関係の会社に就職しました。最初はメーカーの下請けをやり工房ももっていた会社で、検品などもしつつデザインも少しはやっていました。 その後大卸の会社に入り、デザインはもちろんですが、企画や業界向けイベントに向けての商品(=ジュエリー)を作り込んだり、その商品を飾るショーケースまでデザインしたり、いろいろ好きなようにやらせてくれましたね。

その会社ではジュエリーデザイナーは私一人だったので偏ってしまうと思ったので、フリーのジュエリーデザイナーさんも数名お願いしていました。


石井▶︎もはやジュエリーデザイナーではないですね、営業企画から、商品づくりと販促も。今肩書きをいうなら、ジュエリープロデューサー?もしくはクリエイティブディレクターといえるのかもしれませんね。

奥野さん🍀いえいえ、でも面白かったです。宝石もざまざま扱っている会社だったので、ダイヤモンドはもちろん、カラーストーンや真珠も仕入れに立ち会ったり。 そうする内に美しい宝石のことや価格などもいつのまにか勉強になっていたと思います。 とくにカラーストーンはハイクラスのものを取り扱っていました。ルビー・サファイヤ・エメラルドの貴石だけでなく、オーストラリアのオパール屋さんはよく出入りしていましたし、今人気のカラーダイヤモンドやパライバトルマリン出始めていました。

石井▶︎うわぁ〜当時ならパライバトルマリンもきっと大粒で良い物たくさんありましたよね。うらやましい(笑)。私自身まだ勉強不足ですが、ジュエリー業界はかなり分業化されているイメージです。一つの会社で、幅広く宝石に触れられるのってなかなかできないのかなと感じます。

奥野さん🍀当時の社長がジュエリー団体の幹部の方だったりしていたこともあって、正統派ジュエリーをつくっていました。 この出会いも運がいいというかラッキーだと思いますね。

石井▶︎王道のファインジュエリーの世界ですね。 その出会いも奥野さんの才能と努力の賜物なのでしょうが、とても楽しんでやっていらっしゃるように見受けますね。デザインだけとか枠にこだわらず実行する力は小学生時代の絵画教室の影響でしょうか(笑)

この後は?

奥野さん🍀少しだけアパレル会社がライト・ジュエリーの新規事業を行うということで興味をもち転職しましたが、新規事業が取りやめになったことと、私はやっぱりジュエリーをやりたいと思いました。そこで工房をもっている会社が営業企画を募集していて、企画ができればいいなと応募し入社しました。応募した時に、工房を持っているというのはポイントでしたね。


💍工房との連携で進化するジュエリー💍

石井▶︎工房がある、自社で作ることができるということ?外注の職人さんにお願いするのとでは何が違いますか?

奥野さん🍀デザインを描いたとしても、それを実際に立体にしてジュエリーに仕立てていくのは職人さんです。もちろん外注の職人さんも優秀な方もいらっしゃいますが。社内にあると途中の細かな確認なども気軽にできますし、お互いにこうしたら?ああしたら?と話し合えるので、必然的にレベルも上がっていくと思います(笑)

石井▶︎なるほど。職人さんがデザインを見て「これは無理、できないよ」とかではなくて、どうしたら出来るかを話し合えるわけですね。ただ営業企画スタッフの募集で採用でしたね。

奥野さん🍀そうです。デザイナーが入ったのはおそらく初めてだったようですね。結局営業企画的な仕事とデザイナー的な仕事を両立してやっていた感じです。


石井▶︎具体的にはどんなお仕事をされていたんですか?

奥野さん🍀大手ジュエリーチェーン店の下請け、百貨店やラジオ・テレビ通販もやっていた会社だったのでその企画にも関わりました。

チェーン店のイベントでは、お客さまの目の前でオーダージュエリーのデザインもしたり、いろんな経験をしましたね。ここでもフリーのデザイナーさんも使っていました。

テレビ通販では、手がけたジュエリーが約10,000点以上注文頂いたこともありました。お客さまに気に入っていただけたのが嬉しかったですね。オーダーいただいたということは、認めていただいたことになりますから。テレビ通販は対面販売と違ってどんな方が注文されるのか見えません。万人に受け入れてもらえるジュエリーでないといけないんですが、ここが新しいよねとか面白いねという、真逆のことが入っていないといけないと思っています。

石井▶︎すごい!私も一時はまっていたテレビ通販チャンネルですね。 初めて見たときはジュエリーがテレビで買えるって衝撃でした。 迷いに迷って1点注文したら見たままの商品が届いて、その後次々欲しくてまた頑張れば手にできる価格でしたし、お給料が飛んでいってました(苦笑)。

品質もしっかりしていてお手頃。でも定番だけでは面白くない、確かに心くすぐられるところが欲しいですね。

奥野さん🍀他には、キャラクターデザインのジュエリーも手がけました。


💍誰もが知るキャラクターをジュエリーへ。
ファンの心をつかむデザイン技とは?💍

石井▶︎キャラクターのジュエリーもデザインされたんですか? 奥野さんを拝見していると、とても大人の女性でいらしてキャラクターがお好きというわけではないような…

奥野さん🍀最初は「ディズニーストア」で販売するキャラクタージュエリー。他にも「ドラえもん」に、最近では「ふなっしー」もデザインしました。 ディズニーだけでも数十点、他も加えると100点は超えていますね。 特に好きとか、すごく興味があるというのではないんですが、なぜか多い(笑)

石井▶︎ディズニーに、ドラえもん?メジャーなものばかりではないですか!そんなに複数依頼があるということは、奥野さんならではのものがあるということですよね。 デザインされるときの留意点などありますか?

奥野さん🍀とにかくいろいろ、本当に調べます。

ミッキーなら、キャラクターデザインがどういうふうに変わっていったのかとか...お誕生日はもちろん、11月18日ですけど。 毎月キャラクターの誕生日があるので、プルートが8月、シンデレラが5月とか。 キャラクターの誕生から歴史、ちょっとした小話的なこととか、ファンしか知らないことなども調べます。

石井▶︎た、誕生日⁉︎ そうかぁファンの方はもちろん知ってますよね。

なるほどそれぞれのキャラクターすべてを徹底的に、背景まで調べ上げるわけですね。まさにプロファイル。

奥野さん🍀ドナルドのペンダントをデザインした時はお尻だけにしたんです。チャームポイントはお尻なので。 足(水かき)はあるんですが、それが動くようにしました。

石井▶︎うわぁ、それは楽しいですね。確かに、あのぷっくりお尻は特徴でありチャームポイント。ファンで無くても欲しくなります。そっか ファンの心をどうつかめるのか、特徴をクローズアップしてデザインしたり。 企画とデザインがマッチしているといえますね。

奥野さん🍀そのままジュエリーにした方がいいものもありますが、デザインしたときにそのキャラクターがさらに生きるようにします。 これは作れなかったのですが、プーさんの指輪です。

寝ているプーさんが、大好きな蜂蜜の壺を抱いているといいよなと。 蜂蜜の壺のところにはイエローダイヤをいれる予定でしたね。 

他にもプルートのリングは、プルートがお座りしてリングに乗っかってる感じのものを作りました。 「プルートのお茶会があるから、そこで着けたいから間に合わせて!」というお客さまもいらっしゃいましたね。 豪華なものだと、シンデレラ生誕50周年の記念にのティアラとネックレスのデザインと制作総指揮しました。あれはメディアにもりあげられていましたね。 

石井▶︎えー!ティアラ?夢のまた夢。 

国内ブランドでも当時作っているのは皇室御用達のところくらいですよ。 すごい!面白い!楽しい! モチーフをそのままジュエリーにするのではなくて、ストーリーがちゃんとある。 キャラクターの背景が見えるジュエリーになっているということかもしれませんね。 改めて、正当派なハイジュエリーはもちろん、キャラクターに、テレビ通販など経験されて、本当に幅広く奥深いです。 デザインしたことがないアイテムなんてありますか?

奥野さん🍀価格帯も、数千円のものから、億単位のジュエリーもありました。

石井▶︎すごい、奥野さんが作ったことのないジュエリーアイテムってあるのかしら?これまで企画したジュエリーと実際にデザイン画を描いたジュエリー、数えるとどのくらいあるのでしょうね。 天文学的数字かも? 

仕事でいろんな経験ができるのも大切ですが、常にアイデアをだしデザインしていくって大変なことですよね。

奥野さん🍀何気なく見たものがインプットされたりもありますが、情報収集は常に意識しています。 日本はもちろん、海外の世界規模の業者向けジュエリーショーは必ず行くようにしています。もちろん自腹で(笑)肌で感じるって大事、 やっていることはすべて自分にプラスになっています。

Vol.3へ続く