突イン!ジュエリーデザイナー奥野貴子さんvol.4コレクション
VOL.3続き。
奥野さんのデザインテイストなどを見ていただくために、自分のためにデザイン・仕立てたリングの一部をご紹介します!(リングだけでも30〜40点ほどあるそうです)
💍グリーントルマリンリング💍
奥野さん🍀20年以上前に作ったもので、立体的なフォルムがポイントですね。
今ではこういった2種類の地金を使ったものなど多くなったんですが、当時はありませんでした。
K18の2本のラインで石を留め、その下にダイヤモンドの入ったPTのラインを入れています。今ではレーザー溶接機があるのでできるようになりましたが、当時はロウ剤を用いてロウ付けしていましたから技術的に難しかった。上下の2本のラインはトルマリンを留めるために必要でした。それが結果立体感も出してくれて、オーダーメードだからこそできるデザインでした。
石井▶︎20年以上前ですか、丸い爪石が留められていないことも珍しいです。当時なら間違い無くバレリーナタイプという取り巻きデザインにしちゃいますよね。スタイリッシュなのに品もあって、正面から見るとXラインなんですが、高さが違うので奥行きもありますね。
💍わんちゃんリング💍
K18WGローズドフランスアメシスト・ダイヤモンド・パライバトルマリンリング
奥野さん🍀センターストーンはローズドフランスという色の明るいアメシスト。
犬を飼いはじめて7年経つんですが、これは犬が家に来る前に造ったんです。 よく見て下さい、犬になっているんです。
大粒のローズドフランスアメシストが顔。
写真向かって左上の、アメシストを留めているダイヤがセットされたの少しふっくらしていますよね、耳です。その下の渦巻いている?みたいなダイヤのところが尻尾とお尻です。
左下のアメシストにのっている▽が鼻、その下が首でパライバトルマリンは首輪のワンポイントです。右側の横から見たところは、座っている感じの後ろ足ですね。
石井▶︎おもしろーい!こんな表現方法?デザインがあるんですね。いや~イイです。
犬というモチーフなら、リアルにするか可愛い犬にしても形をどこかデザインします。それをあえてしていないわんちゃん、初めてです。
わくわくする~ 首輪のパライバトルマリンも小さいですが効いてますね。でも明るいアメシストにブルー?色使いが新鮮です。
💍大人ハートリング💍
K18WGパープルサファイヤ・ピンクサファイヤ・ダイヤモンドリング
奥野さんブログでも大きく出されているものです。
奥野さん🍀このハートのリングは、上のふっくらとしたダイヤとピンクサファイヤのハートの中にパープルサファイヤが留まっているデザインで、中のサファイヤは爪留めしているんです。
これは、職人さんへ作りや組み立て方などをかなり話しました。
上のハートのパヴェと、指輪の内側の裏板(裏張り・ジャケットなどいう)の部分を2つのパーツとします。裏板の部分に石座をつくりパープルサファイヤを爪留めしているんですね。最後にハート部分と裏板の部分を合わせてレーザーで溶接しています。
デザイン画のまま職人さんに渡し、中に石を留めてといっても職人さんはどうしていいかわからない。これまで作りなども経験してきたので、こうしたらいいああしたらいいと職人さんと相談できました。
石井▶︎裏板って、基本的に付け心地をよくするために、指示があれば職人さんがつけるものですよね。そこに石座を作って石を留めるなんて私も初めて聞きました。以前からこのデザインは不思議だな、パヴェハートから地金を下ろして作っているのかなと思いましたが、裏板に留めればいい。気づきませんでした。
立体に強く、造りも詳しいというのは、こんなこともできてしまう。 ジュエリーデザインの表現が広がりますね。
💍カナディアンダイヤモンド一文字リング💍
PTダイヤモンド1ctリング
奥野さん🍀これは、ダイヤモンドをのせる石座がないので本当に大変なんです。普通はダイヤモンドの下に石座というものがあるんですけれども。
横から見ると、その石座がないのでまるでティアラのようなデザインになっています。それぞれの爪だけでダイヤモンドを押さえて留めているので、普通は見えないダイヤモンドのパピリオン部分が素通しになっています。
これはダイヤモンドを留める部分の爪を削って、石をあわせて向きも調整して留めるということをしています。ダイヤモンド計1ctのリングなんですが、元々0.50ct用のデザインがありました。0.50ctでは自分が満足できなかったので1ctのリングを作りました。
ちゃんと指に収まるようにセンターの石の高さを高くして、脇に行くほど低くなるように調整しました。爪の内側を先に溝をつくりそこにダイヤをおいて上から留めていく。
それともう一つ、ラウンドブリリアントカットのダイヤモンドのテーブル面は八角形になっているんですが、その向きも揃うようにセットしてもらっています。
石井▶︎ちょっと待ってください。確かにラウンドブリリアントカットのダイヤモンドのテーブル面は八角形ですが、今回7石使われていますが、全て八角形の向きを揃えたということですか?
奥野さん🍀はいそうです。1本あれば同じものは必要ないですし。自分用なので、爪もしっかり、地金の厚みもつけ、内側も甲丸にして着けやすくしました。
石井▶︎この留め方は他でも見たことがあっていいなと思いつつも、どうやって留めているのかずっと気になっていました。
ダイヤのテーブル面の向きまで統一させたなんてすごいこだわりです。
長く使う、代々受け継いでいけるクオリティだと思います。 まさしく隙のない完璧なダイヤモンド1ctリングだと思います。
💍バラのリング💍
K18WGルベライト・エメラルド・ムーンストーン・ダイヤモンドリング
奥野さん🍀これは、石が気に入って手にいれていました。
イーダーオーバーシュタインのもので、バラはルベライト、葉っぱはエメラルドです。
腕はバラの幹のようにして、ダイヤモンドとムーンストーンで朝露みたいにしています。
石井▶︎葉っぱはエメラルドですか?なかなかお目にかかることはないですね。本当によく見つけましたという宝石。 普通ならルベライトのバラに、葉っぱもグリーントルマリン。
腕はシンプルな1本でウエーブラインのするか、または割腕にする。宝石を入れるなだダイヤモンドだけ。そんな感じが多いのですが。多少腕はバラの幹のようにデザインしたとして、朝露はダイヤモンドかカット石ですね。でも煌めきが少ないトルマリンやエメラルドのカービングにダイヤでは強すぎる。 ムーンストーンでカボションカットにするのも、石の雰囲気やバランス感は大事ですね。
なるほど!
(Vol.5に続く)