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A recollection with you

窓際で 編―その4―

2016.09.04 14:47

お店に入ってすぐ、詩歩の目は輝いた。

瞬間移動ばりの速さで、あちこちと、上から下へ見て回っている。


「ちょっ…」


僕が言い始めたかくらいのときに、2階に続く階段から店主が顔を覗かせた。


「あ~、今日だったっけ?ゆづくんが来るの」

「忘れないでくださいよー。今日見に行きますって、ちゃんとメールしましたから」


いつの間に、といった顔の詩歩に、確認し始める店主。


「ははは、ホントだ」

「ほら。まあ、お店閉めてなかっただけ、良いとしますけど」


そろそろ疑問に答えないといけなかった。


「ああ、詩歩。こちら、雑貨屋ローズマリーの店主、神崎未夜さん」

「初めまして。その子が詩歩ちゃんね?」

「あ、はい。詩歩です」


少し焦ったように言ったのは、さっきの目の輝きぶりを見られたからだろう。


「今日は、何だったっけ?」

「…それもメールに書きましたよ」

「あー…。店に置く雑貨をウチで選ぶ、だっけ」

「ちゃんと覚えてるじゃないですか」


そこまでしか覚えてないあたり、未夜さんらしい。


「詳しくは、カーテンとテーブルクロスです。僕が選ぶと、何故か高くつくんで」

「ふーん」

「まあ、詩歩が選んだものの方がお客にも好評なんで」


後ろで、にやけたのが分かる。


「ってわけで頼むよ、詩歩」

「はぁい!」


日傘も選んで良いからね。と付け加えてから、僕は未夜さんと向き直った。