わじま地の粉
2016.09.06 02:56
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輪島塗の象徴ともいえる
輪島地の粉(じのこ)は
能登半島の小峰山で採取される
風化珪藻土の一種を焼成粉末にしたもの。
ご存知のとおり珪藻土は多孔質なので
漆と結びつくことで木地に密着し
地の粉を混ぜた下地漆を
何度も塗っては研ぐことで
大変丈夫な塗膜となってくれるのです。
工程が進むごとに混ぜる地の粉の
粒子も粗いものから細かなものへ
一辺地、二辺地と変えていきます。
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天正10年(1582)に加賀・能登の領主だった
前田利家公が能登巡行のときに
地の粉の作成現場に立ち寄った史実があり
この工法が500年以上の歴史を
持つことがわかります。
神様のお告げによって発見された
ともいわれている地の粉山
今でこそ顕微鏡を使い
ナノレベルで解りますが
500年前に地の粉山を発見し
その威力を見極めた先人は
本当に偉大ですね。
現在でも毎年6月には
地の粉祭り(塗師祭)という
先人の智恵と努力に心を寄せ
さらなる精進を誓うお祭りがあるそう
輪島に堅牢優美な輪島塗が生まれたのも
世界一の漆器が作れるのも
風土に根ざしたこの地の粉のおかげです。