2020 上級生 vs. 1年生
秋の訪れを感じる今日この頃。
新入部員の実力を試すべく、そして各自の成長を試すべく軟式野球部恒例上級生vs.1年生の試合が始まった。
始球式を務めるのは卒業試験2日前の坂本。図書館で勉強中のところを拉致されマウンドへ連れてかれた。
先攻は上級生チーム。1番増原。
超重量級でありながら、1年生を見た目で圧倒する為だけに自らトップバッターを志願した。
対する投手は紅白戦における最多登板の中井。1年生でありながら二度の紅白戦を投げ抜き、この重要な試合でもやはり先発を任された。
注目すべくは初球、深めの守備を嘲笑うかのようなセーフティバントを試みるも打球はファールゾーンに。そして2球目、二度目のセーフティバントを試みたが二塁手の住友に読まれており成功とはならなかった。
そして2番は4年の中村。チーム屈指の強打者であり前の試合の流れを汲むべく2番打者最強説を実行。チャンスでの打率が非常に高い男だが、先頭の増原の出塁が叶わなかったためその実力は半減。粘ってみるもそのまま三振となり早くも2死となった。
そして続くのはこれまで最多安打打点王の3番黒田。ここまで幸先の良いスタートを切っていた中井にも緊張が走り際どいところを狙うも結果は四球。2死1塁で4番松浦との勝負となった。
上級生チームの最高火力を誇った3人の後を任された2年の松浦。昨シーズンからここぞというときの幸運を期待され主砲の座についた。
四球の後の甘い球を狙って打ち付けたが打球は二塁手の住友の元へ。非情にも白球はグラブの中に収まり一塁手浅川に向けて放られた。
しかしここで松浦の本領発揮。浅川のグラブへと収まるかに思われた球はまるで松浦の意思が乗り移ったかのようにグラブを弾きそのまま落球。2死1,2塁で5番投手石本を迎えた。
久々の試合でありながら中井の直球に素直に反応し適時左安打と上級生チームの先制点を投手自らの手でもぎ取った。
そして1年生チーム。先頭は先発も務めた中井。
フルカウントまで粘ると石本の直球をそのまま右中間へ、いきなりの二塁打を放った。
続く2番花崎は2番としての役割を果たし右方向へ叩きつけ一ゴロ、中井を三塁まで進めた。そして3番浅川が遊撃手中村の頭上を超える安打により得点。すぐに同点となった。
続く4番徳永も四球で出塁し1死1,2塁で5番見辺となった。
この日入部したにも関わらず5番遊撃手を任された重圧を押し除け左安打で満塁として6番西谷へ。しかしここは石本も勝負強さを見せ遊ゴロにし2死満塁とこれ以上一点も与えない覚悟で7番小國との勝負に臨んだ。
対する小國もこれまでの紅白戦では無安打であり最終戦にかける思いは人一倍であった。思いを込めた打球は右翼塚口の横を抜きフェンスへと運ばれ、走者一掃の適時3塁打となった。続く8番藤田を抑えるも初回から4失点と厳しいスタートとなった。
2回の攻撃、なんとか点を返したい上級生チームは8番坂東、9番塚口が連続四球で出塁したことにより無死1,2塁の好機を迎えた。
しかし10番田中が一飛、11番須山が三振、12番伊東が二ゴロと三者凡退。
前半に好打者を固めすぎたつけが来て好機を生かすことができなかった。
裏の下級生チームの攻撃。
上級生チームの守備が石本が怪我の影響で降板すると、いつも通り2年の黒田がマウンドへ。
さらに初回に点を取られすぎて焦りそれぞれの守備位置も本職の場所へと交代した。
先頭9番住友を四球で出すも、10番池田を三振と急な登板にも動じずいつも通りの黒田の投球が披露された。そして11番小橋も二ゴロと2死1塁となった。1番中井は遊撃手向井の失策により出塁するも続く2番花咲が三振と追加点とは能わなかった。
3回は両投手奮闘。失策や四球で出塁させるも得点圏に走者を進ませない好投を見せた。
そして点が動いたのは4回裏下級生チームの攻撃だった。
先頭打者は初回に適時3塁打を打った7番小國。
初回同様早めのカウントで振り切った辺りはそのまま左中間を真っ二つ。
2打席連続3塁打と軟野史上類を見ない活躍を見せた。無死3塁とフライ以外なら全て得点に繋がる好機。
ここで迎えた8番藤田は今シーズン全ての打球が内野ゴロであり、ベンチの期待も大きく高まった。
追い込まれながらも粘って迎えた5球目。これまでの打球が全て布石であったかのような深い遊ゴロ。
3塁走者の小國は危なげなく帰還。ダメ押しの追加点となった。
そして5回も勝負が動くことがなく、次の山場は6回上級生チームの攻撃。
ここまで中井に完璧に抑えられ先輩の威厳も消えかけた迎えた後半戦。
先頭12番伊東が四球を選び、13番西山は三振。1死1塁で1番増原へ。
この試合初回のセイフティーバント失敗から調子を崩しここまで活躍がない増原。
キャプテンとして自身のバットで取り返したいこの場面。早めのカウントから勝負を急ぐも打球は遊撃手見辺のもとへ。あわやゲッツーかと思いきやここで遊撃手見辺に失策。その間に伊東は2塁を回り1死1,3塁で2番中村を迎えた。
今シーズンは勝負を避けられることが多く、成績が伸び悩んでいたがようやくその実力が発揮できる場面が回ってきた。チームの期待を背負って立ったこの打席。これまでの不調を払拭するかのように放たれた打球は中堅手小國の遥か後方。値千金の走者一掃適時3塁打となった。2点差まで追いついた。
このまま勢いに乗って追いつきたかったが後続が続くことはなかった。
7回も両投手好投を見せ、勝負は8回となった。
2点を追う上級生チームは1死になるも10番田中が内野安打により出塁。続く11番須山も左安打により1死1,2塁と追い上げムードが一気に高まった。そして続く12番伊東、13番西山が連続三振により一気に盛り下がった。
8回裏下級生チームの攻撃は2番花崎が四球により出塁すると4番徳永が左安打により1死1,2塁。しかしここも黒田が気力で抑え最終回の攻撃に望みを繋いだ。
そして最終回の攻撃。後がない上級生チームは奇しくも1番からの好打順。
1番増原が四球で出塁すると2番中村がレフトへの大飛球。しかしここは左翼手小橋が掴み1死1塁。
そして3番黒田が左二塁打により1,3塁と好機を広げ、4番松浦に上級生チームの命運が託されることとなった。
初の4番として迎えたこの試合。最後の最後で回ってきた大きな好機。
バットに当たれば何かが起こるとチーム全員の期待を背負いファールで粘った8球目。
とうとう集中力が乱れ無情にもバットは空を切ることになった。
そして後続も続かず追いつくことは能わなかった。
シーズンの最後を締める上級生対1年生の戦い。
初回の大量得点を守り抜き最後まで追いつくことを許さなかった一年生の勝利となった。
コロナ禍で十分な新歓や練習ができないにも関わらず有望な新入部員が多数入部してくれ、来年以降来たるリーグ戦に向けて選手層の厚みがより一層増したのではないかと思われる。