模写ならぬ模書 その2
↓コセンダングサ
村上春樹風
きみがおならをしようとしている事について、僕は何も興味を持っていないし、何かを言う権利もない。いつおならをするのかを、ただ見ているだけだ。
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勝手にブッと出せばいいし、音を出さずスーッと出せばいい。その間、君が何をしようと自由だ。少なくとも、がまんしている時間がそこに存在している。出すか出さないかにかかわらず。
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僕が集中している間に出すもいいし、大声を出して音をかき消すもいい。普通に出しちゃったっていい。それも悪くない選択だ。結局のところ、トイレに行けばいいんじゃね?って思うわ。それ以上でもそれ以下でもない。
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ただ一つ言えることがある。
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音が消えたとしても、においは消えない。
コナン・ドイル風
「俺の服にばくちく(コセンダングサ/写真の植物です。)をくっつけたのは、F君のようだね。」
「どうしてそれがわかるんだい?」
F君の手を見てはきはきと喋り出した。
「まず、F君の服の手首あたりを見るとばくちくが2.3個ついている。これは、俺につけるためにむしったばくちくの一部だ。」
「でも、それだけじゃF君が君につける証拠にはならないだろ?自分がただむしりたかっただけかもしれない。」
そういう俺に彼は勝ったかのように言ってきた。
「俺の服についているばくちくを見てくれ。今の時期は、ばくちくが一番キレイに開く時期だ。ほら、ここだけ2.3個ないことが分かるだろ。見れば分かるが、数と合っている。」
「なるほど…でもO君とH君の服を見てくれ。二人の手首にも付いているじゃないか。」
彼はそう言って、飲み物を一口くちに含んだ。
「そう、彼らも被害者だ。僕たちに取りにくいばくちくを背中に付けてきた犯人はやはりF君で間違い無いだろう。」
「なぜ分かる?」
F君は冬なのに汗をたらしながら言った。
「君は僕たちの後ろでコソコソ歩きながら何かをしていた。きっとばくちくを取っていたのだろう。僕たちの後ろにいたのはF君しかいない。」
「なるほど!!」
少ない証拠から読み取った観察力にその場にいた一同は舌を巻いた。
中学生も夢中になって書きあげました。他の子が書いた作品を読み合いっこしながら、「それ、分かる〜!」と共感したり、ドキドキしたり。みんなの日常を目の前で見ているような文章になっているでしょうか。