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◇指の感覚

2020.12.18 00:00

 先日、妻と「とんかつ」の専門店に入りました。

私は「とんかつと、えび」のセットメニューを注文したら、店員さんが料理の前に何種類かのソースなどを持って来て、説明をして置いて行かれました。

妻がもう一度「これがしじみのお汁、これがつけもの、これがソースと塩が二つに分かれて入った器、これがタルタルソース、これが特性の味噌タレよ」と、私の手を器に触らせながら説明をしてくれました。

私は「分かったっ」と、料理が来るのを待ちました。

料理が来て美味しくいただきながら思いました。

左手でソースなどの器を持ち、右手の箸でカツなどをつけ、口に運ぶのですが、ほぼほぼ思ったところに手が動き、問題なく食べることが出来ました。

人間の空間認知能力というのでしょうか、一度手を動かした場所を記憶する微妙な感覚ってすごいなぁと思いました。

そんなことを考えていたら、頭でなく「手が覚えている」ことって、沢山あるなと思いました。


私はパソコンを職場や家などで5台使っています。

全部違うパソコンや、キーボードで、キーの配列や、ショートカットキーの機能などが微妙に違います。

でも、そのパソコンの前に座ると、自然に手がそのパソコン用に動くから不思議です。

これも使い始めて、何度も何度も使っているうちに身についた感覚だと思います。


私の盲導犬ミッケルとユニットを組んで、10ヶ月になります。

左手の「ハーネス」の微妙な感覚が少しずつ分かって来たように思います。

階段の終わりや段差はもちろん、「張り切ってるな」や、「雨でちょっと嫌がってるな」、「迷ってるな」、「喜んでるな」、「トイレをしたがってるな」など、ちょっとずつ分かって来ました。

先週、梅田の地下街で通り慣れた点字ブロック沿いを調子よく歩いていました。

急にミッケルが止まったので、何かに気を取られたのかなと思い、「何っ? 行くよっ!」と、ちょっとハーネスに力を込めて前に進みました。

「ゴツンっ!」と、私のおでこが壁にぶち当たりました。

ガードマンさんが寄って来て、工事で壁が立ったことを教えてくれました。

ミッケルが発信してくれる微妙な感覚を見落とすと痛い目にあいます。

こうやって痛い目に遭って、身体で覚えていくのですねぇ。 

にこっ!  亀ちゃん

※写真はミッケルとの朝の散歩