寺山修司の短歌 75 胸病めば
2020.12.17 12:51
胸病めばわが谷緑ふかからむスケッチブック閉じて眠れど
「わが谷」は、(胸を病んだ)私の想像上の谷。
胸を病んだのを機に、絵でも描こうとスケッチブックを開けば、谷の緑をくっきりと思い浮かべることが出来る。これでは病によくない(安静にしなくては)と、スケッチブックを閉じて眠っても、そのイメージが消えることはないのだ。
by 寺山修司(てらやま しゅうじ)
青森県出身の歌人、劇作家
演劇実験室「天井桟敷」主宰
言葉の錬金術師、昭和の啄木などの異名を持つ