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寺山修司の短歌 76 わが拇印

2020.12.17 16:05


わが拇印むらさき色に濁る日を 断崖にゆく涜るるために 

「拇印むらさき色に濁る」のは、これまで偽りの契約書に拇印をついてきた(=嘘を重ねてきた)から拇印が濁るのだ。

「断崖にゆく」のは、断崖から飛び降りるためである。


私の(拇印が紫色に濁るほどに)嘘で塗り固めた日々に対しては、(その穢れのために)断崖から落ちるのが相応しい、と自らを責めている。


by 寺山修司(てらやま しゅうじ)  

青森県出身の歌人、劇作家   

演劇実験室「天井桟敷」主宰   

言葉の錬金術師、昭和の啄木などの異名を持つ