「死離滅裂」
2020.12.18 09:35
いつもの東京。
しかし少しの変化があった。
とある高層ビルが、「改修」されたのだ。
いや、「改修」という表現が正しいかは定かではない。
なぜなら半壊した廃墟のようにも見えるからだ。
建物は自然に飲み込まれ、かろうじてビルの姿を保っている。
まさに異様な光景…。
ここはかつて霞ヶ関ビルと呼ばれていた建物。
建物には住人もおり、どうやら1つのコミュニティが形成されているようだ。
建物は土に覆われ、そこには皇居から来たであろう生き物や、その他多くの生き物も生息している。樹木は樹木葬によって植えられたもので、一本一本が墓標の役割を果たしている。
ビルの住人以外の人も利用しに来るらしい。
自然に還れる墓地として、また、都市の墓地不足問題にも対応しているようだ。
建物内では貨幣経済からは少し離れた生活が行われているようだ。
野菜などはビル内で生産。家畜も育てている。
ここでは命の循環が可視化されている。
少しギョッとするが、生きるために他の動物の命を奪うことを肌で感じることができる。
ここには死がとても近くにある。
人間も自然の一部であることを思い出せる、そんな場所であった。
「死離滅裂」
2018年 鉛筆画
1189×1682㎜
ターゲット:霞ヶ関ビル