日本でも愛される北宋宰相蘇頌の生誕千周年を祝って
黄 文葦
12月9日の夜、故郷中国福建の友人から連絡があった。「急ぎの仕事があるので、ぜひ手伝ってほしい」と言われた。翌日の10日、北宋科学者・宰相蘇頌の生誕千周年イベントが行われるらしい。日本蘇颂研究会吉澤大淳会長からお祝いの手紙をくださったという。その日本語の手紙を翻訳してほしいと頼まれた。
日中文化交流に関わることを辞すことはできない。しかも、故郷の大事な文化イベントなので、直ちにその手紙を中国語に翻訳した。友人に感謝されたのが、筆者は逆に大事な文化情報を教えて下さることに感謝したい。
北宋宰相の蘇頌(1020年12月10日-1101年6月18日)は、中央官吏として外交、文学、史学、数学、物理、工芸、医藥等多くの分野で功績を収め、特に水運儀象台(すいうんぎしょうだい)に代表される科学・天文分野での業績は、世界に先駆けるものとして高く評価されている。 10日、アモイ市で行われた「記念蘇頌生誕千周年および国際文化節」は盛大に盛り上がった。
筆者はネットで開幕式を生中継で観た。ある科学技術者は「中国は科学を標榜し、先祖の栄光の伝統を継承し、科学技術の頂点に立つために、イノベーションに自信を持ち、重要なコア技術に集中すべきだ」と述べました。 また来年、蘇頌の出身地アモイ同安は中国語、英語、日本語でテーマ別コラムを開設し、世界中に向けて「蘇頌文化」のオンラインプラットフォームを構築する予定です。
水運儀象台は、蘇頌が1092年(元祐七年)に設計した世界最初とされる天文時計だ。日本では、蘇頌のファンが多いそうだ。2017年に「日本蘇颂研究会」が発足し、水運儀象台に巡って日中文化・科学技術交流が盛んである。蘇頌の代表的著作の「本草図経」「蘇魏公文集」等、現代の日本専門家にも愛読されているようである。
日本国内では、長野県諏訪郡下諏訪町の儀象堂に1997年に復元された水運儀象台が展示されており、セイコーミュージアムには縮小された水運儀象台が展示される。
中国マスコミによると、1997年、日本では水運儀象台が完璧に復元できたことは、中国に大きな衝撃を与えたという。当時科学技術を担当する国家指導者は「人民日報」に対し、「日本人は我々の先祖の科学発明を模倣することが我々よりも進んでおり、このことは科学技術者に深く考えさせるべきである」と指示した。
そういえば、日本人はいつも古代の中国人に敬意を払い続けている。またいつになって中国では、蘇頌のような多方面才能あふれる清廉な官員が生まれるだろうか。
よかったら、YouTubeでの「水運儀象台が時を刻むしくみ」の映像をご覧ください。 https://www.youtube.com/watch?v=zalEjQpxbgM
https://www.youtube.com/watch?v=QKDGLsko2x0