ミトコンドリアって何?
どうして息をするんでしょう。
呼吸で取り込んだ酸素の90%が、ミトコンドリアでエネルギーを作るために使われるそうです。
息が止まるとは死ぬことを意味する訳で。
息ができないほど辛いさ中にあっても、微かでも酸素を取り込んで生きている。
私たちは生きようとする生きものなのでしょうね。
このブログでも時折ミトコンドリアの名前をあげてきました。
ミトコンドリアは“エネルギー生産工場”にあたる細胞内器官です。酸素と栄養素を使ってエネルギー(ATP)を生成しています。生理学的に健康のカギを握っていることが解っていますし、私たち命の根源に関わる神秘的な存在です。
今回(と次回?)は、ミトコンドリアについて書いてみようと思います。
私たちの体は約37兆個(昔は60兆個といっていましたが)の細胞でできています。そのほぼすべての細胞の中に、細胞1つあたり数百~数千個のミトコンドリアが住んでいます。
教科書で習った細胞の中のミトコンドリアはこんな風だったかもしれません。
実際に活動しているミトコンドリアは、太さ0.001mmの糸状や粒状をしていて、細胞の中で頻繁に融合したり分裂したり刻々と変化しています。目では見えない極小の器官ですが、その総量は体重の1割にもなります。
私たちが活動するエネルギーの約95%は、ミトコンドリアが作り出しています。エネルギーを必要とする細胞ほどミトコンドリアの数が多く、ヒトでは心筋細胞や骨格筋細胞、神経細胞などで数多く存在します。体を動かすのも、脳が働くのも、心の動きも、ミトコンドリアが作ったエネルギーが動力です。私たちの元気のカギは、まさにここにあります。
ミトコンドリアは、細胞の核の中にある遺伝子とは別の独自の遺伝子を持っています。
元々ミトコンドリアは別の生き物で、太古の昔細胞の中に入り込み共生を始めたのではないかという『細胞共生説』があります。細胞の中にいれば、十分な栄養と酸素を運んでもらえます。実際、私たちが取り込んだ酸素の90%がミトコンドリアで使われます。その代わり、宿主であるヒトはミトコンドリアが作り出したエネルギーをもらえるという訳です。
また不思議なことに、ミトコンドリアは母親の遺伝子だけを引き継ぎます。生きるための動力のしくみが母親に由来しているのですから、なるほど、お母さんに頭があがらないはずです。
母親からその母親へ…ルーツを辿ると、人類全てのミトコンドリアの遺伝子は、15~20万年前のアフリカの1人の女性“ミトコンドリア・イヴ”に行きつくのだそうです。この話の度に、私たちは繋がって生きているような気がします。
ミトコンドリアDNAは全遺伝物質の中のごくわずか(約20万分の1)にしか過ぎないので、ここだけで人類のルーツを語ることはできないのでしょうが、人類とミトコンドリアの歴史はとても興味深く、まだまだ謎がいっぱいです。
つづく。