Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

「いたずらもの」ハンス・フィッシャー Hans Fischer

2016.09.07 05:52

日本でも、以前から愛されている絵本作家ハンス・フィッシャーですが、こちらの「いたずらもの」はわりと最近になって日本語翻訳が出版されたものですね。

2009年に小さな絵本美術館から出版されたもので、ISBNの記載もないので一般の書店での流通はされていないのかもしれません。

やはりフィッシャーの絵本の魅力はこの踊るような線ではないでしょうか。この線によって描かれる登場人物の生き生きとした動きは愉しく、そしてもうひとつ「ブレーメンのおんがくたい」でも見ることが出来ますが、夜の暗闇の表現がちょっとすごいです。これは是非絵本の中で見て頂きたいです。

お話はグリム童話からですが、ガラの悪い(笑)雄鶏と雌鶏が回りを巻き込んで大暴れする話、といったらひどい話に聞こえてしまいますが、まあ、ひどい話なんです。

ブラック・ユーモアという言葉はグリムには似合わない気がしますけれど、この好き放題にやってしまう雄鶏と雌鶏には、子どもは大喜びするのでしょうね。

不自然の教訓が混じっていないという点ではプリミティブな古いお話の形態であるとも言えそうです。こういう箇所に本能的に子どもたちの喜ぶ要素を見出だせる気もしますね。

フィッシャーもこの絵本は長男のカスパールのために作った絵本ということです。当時は戦争のさなかで、七歳のカスパールは病気でベッドで横になっていたそうです。

反戦の思いを抱え、そしてカスパーを元気づけるため、このお話を聞かせ絵本を作るハンス・フィッシャーを思うと、胸が熱くなってしまいます。

是非オンラインストアでも御覧ください。


当店在庫はこちらです「いたずらもの