本連盟より立憲民主党ジェンダー平等推進本部に対して「「ジェンダー平等」政策に関する要望」を伝えました
令和2年12月14日、本連盟は立憲民主党ジェンダー平等推進本部に対して「「ジェンダー平等」政策に関する要望」を郵送で送付しました。
サーズ2号コロナウイルス(新型コロナウイルス)の蔓延状況を見て手交での要望は来年以降とさせていただきましたが、同党の徳永エリジェンダー平等推進本部本部長代行(参議院議員、同党参議院政策審議会会長)、重徳和彦同本部長(衆議院議員、直諌の会代表)、部谷翔太山口市議会議員(元国民民主党青年委員会委員長)らに個別に要望書の内容について説明させていただき、今後の陳情・要望等での協力をしていただけることとなりました。
要望書の内容は次の通りです。
「ジェンダー平等」政策に関する要望
日本SRGM連盟
本会はあらゆるSRGM(性・恋愛・ジェンダー少数者)のために活動している当事者とアライ(理解者)によって構成されている団体です。
本会はジェンダー平等を掲げている政党に対して感謝の意を表明するとともに、全てのSRGMの人達が、誰も犠牲にしない正当な方法で正当な権利を行使できる社会を建設するため、以下の通り要望をさせていただきたいと考えます。
一、性的指向と恋愛指向とは区別していただきたいと考えます
政党・政治家の方の発表される文書を見ますと、しばしば性的指向と恋愛指向とが混同されている例が見られます。また、LGBT法連合会様のように恋愛指向を性的指向に含めている団体も現に存在しますので、皆様の中にも性的指向と恋愛指向の区別が特に必要ないと考えておられる方も、いらっしゃるのかもしれません。
しかしながら、性的指向と恋愛指向とを明確に区別していただきたい、というSRGM当事者は少なくありません。いくつか例を挙げますと、恋愛感情は異性に抱いても誰に対しても性的に惹かれることのないヘテロロマンティック・アセクシャルやその逆のアロマンティック・ヘテロセクシャル、恋愛感情は異性だが性的には同性にしか惹かれないヘテロロマンティック・ホモセクシャル、等の様々な恋愛指向、性的指向の組み合わせが存在します。
また、他者に性的魅力を感じることが必ずしも恋愛感情と結びつかないことは、SRGMとは無関係の方であっても、デートレイプの事例やセックスレスでも愛情のある夫婦等の存在によって明白であると考えます。むしろ、性的指向と恋愛指向との混同は一部のSRGMの存在を無視するだけでなく、デートレイプ等の社会問題の解決を遠ざけることにもなり得るのです。従って、これは単なる用語の枝葉末節の問題ではなく、人権問題であると考えていただきたいのです。
二、AスペクトラムやXジェンダーの存在に配慮した法整備を求めます
SRGMの権利についてはこれまでLGBTの枠組みの観点からの要望が多かったためか、LGBTに含まれないAスペクトラムやXジェンダーについての配慮が足りないように感じる政策も、一部より提言されています。
一例を挙げると、多くの政治家の方が引用されておられる「電通ダイバーシティ・ラボ」の調査は、人間が全て男性か女性かのいずれかを好きになることを前提にしている調査であり、アセクシャルやアロマンティックの存在を無視しています。国立社会保障・人口問題研究所人口動向研究部の調査によると、アセクシャルの割合は同性愛者よりも多い、ということが判っています。SRGMに関する政策を提言される際には、電通ダイバーシティ・ラボ等の調査結果の正確性について検討を加えた上で、政策を固めていただきたいと考えます。
また、近年身体の性別ではなく性自認によって使用するトイレや更衣室、浴場等を使用させるべきであるという「トランスジェンダリズム」という考えが広まっています。これについては、従来様々な理由に基づいて身体的性別によって区切られていたスペースに身体的性別の異なる方とは居たくない方の正当な権利を保障することや性犯罪防止が困難にならないのかという懸念を考慮することが必要であることは勿論、男性の自認も女性の自認も持たないXジェンダーの方を排除してしまうことにもなりかねないものであることを無視できません。トランスジェンダリズムを政策に採用される場合は、この辺りのことを充分に検討してくださらないと却ってSRGMの権利が侵害されることにもなりかねませんので、よろしくお願いします。
三、婚姻関係に性行為の義務が無いことを法制化してください
裁判の判例では、婚姻において性行為の義務があることになっています。実際には夫婦間においても強制性交等罪は成立しますし、性行為に応じないからと言って直ちに離婚が成立するわけではないものの、夫婦に性行為の義務があるという考えが公に承認されていること自体が、アセクシャルを始めとする多くのSRGM当事者の婚姻に対する精神的、社会的な障壁となります。
我が国の民法においては婚姻の定義は明確には定まっておらず、私たちは歴史的に養子制度が根付いていた我が国において「婚姻=性交(生殖)」という概念は必ずしも確立したものとは言えないと考えます。従って、婚姻関係において性行為の義務が無いことを法律上で明文化していただくことを求めます。
写真:令和2年1月に皇居清掃奉仕団メンバーとして靖国神社に参拝する重徳和彦立憲民主党ジェンダー平等推進本部副本部長(現在)と日野智貴日本SRGM連盟代表(現在)。(写真は今回の要望とは直接は無関係です。サーズ2号コロナ感染状況が落ち着き次第、対面での陳情活動を再開します。)