何が悪くて何が良いのか?
触診を何故大事にするかというと、触診によって得られる情報によって何が問題で何が問題でないかということを知ることができるからです。
そして、一つの異常がどこまで影響しているのかを知ることができます。最近は、触診の技術を高めようとせず、ただ勉強し、頭に知識ややり方を詰め込む方が目立ちます。
技術というより、やり方を覚えるというマニュアル化がすすんでいるように思えてなりません。マニュアルを覚えても違うパターンが来れば一瞬の終わりです。何が悪くて、何が悪くないのかが具体的に知ることができないと何を治療して良いかがわかりません。
殆どの治療家に話しを聞くと、まず最初に何をすれば良いのか?
何を主に考えていけば良いのかを一番迷うと言います。それは私も同じでした。だから、その悩みは凄くよくわかります。ただ、それがわからないと治療は必ず中途半端になってしまいます。何が問題かがわからないのに知識が何かに役立つとは思えない。
1時間かけてでも、それを見つけられれば治療は1分ですみます。 具体的に、その症状が何から来ていて、どうなっていく可能性があるのかを知ることはとても大事です。私自身も常にそれを考えています。 刺激をした後、その反応がどう変化したのかを観察することで、その症状の「癖」みたいなものが見えてくる訳です。
「癖」というより実感を得る訳です。それが経験となっていく訳です。そして根拠のない自信のようなものが積み上がっていくことで治療家を成長させます。
理論は後付けで、同じような理論があったとすると、そんなことを言っている人がいたんやぁ~ぐらいで良いのです。 あまりにも頭で考えすぎて、こうこうこういうことがあるから、この疾患はこうなんですと言い切ることで、その人の状態を観察することができなくなってしまいます。
つまり、自分のパターンに引き込んでしまうのです。
そんな治療をすすめていくようなスタイルなら、ロボットがやれば良いのです。人間の身体にイレギュラーはつきものです。そう簡単には問屋が卸してくれません。 パターン化できるならAIロボットが決めてやればいい。そして人間はロボットの手下になればいい。
パターン認識は、効率は良いですが、それしか考えられないのなら人間がやる必要はないということです。そんな世界を作りたいのか?