数学と文化ダウンロード
2020.09.01 06:25
数学と文化
strong>本, 赤 摂也
によって 赤 摂也
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内容(「BOOK」データベースより) 「情報化社会」の主役である数学、「論理的・体系的な思考」を培う数学、数学とはいったい何物か?数学の思想と文化を究明する入門概説。
数学と文化を読んだ後、読者のコメントの下に見つけるでしょう。 参考までにご検討ください。
私のような“典型的文系人間”が本書(のような数学ガイド的解説書)を買った動機の1つには、タイトルの『文化』部分、即ち人間・社会的営みのもたらす固有かつ有形・無形の“生活・行動様式”に観る諸成果・諸現象と『数学』との連関に興味があったからである。本書は確かに「数」、「記数法」、「代数学」、「幾何学」(ユークリッド幾何学含む)、「ニュートン力学」、「AI(人工知能)」等の明瞭な“歴史(文化)的解説”もあるが、「確率論」、「数理科学」、「数理統計」等の手法(演繹)的解説もあって、個人的理解では『文化』と連関しにくいトピックも見受けられる。「商品の説明」には「記号の運用方法である代数学と身近にある図形の研究である幾何学との結合帯が数学である…物理学や化学などの諸科学、それらにもとづく諸技術の根幹を担う…対話や討論の前提となる『論理的・体系的な思考』も数学が培う…数学とは何ものなのだろうか…数学の歴史と思想、さらには私たちの文化の根本に迫った入門概説」とある。本書は概ね右の趣旨にあることは否定しないが、私見では(私自身の理解力の欠如は認めるところ)思うほど「私たちの文化の根本に迫った」趣旨は稀薄のように感じられる。構成・内容は前記「商品の説明」に譲り、以下に個人的に興味を惹いたトピックと所見を紹介したい。まず「インド・アラビア記数法」と「ローマ記数法」の相違から、前者の優位点とこれに伴う“0の発見”等、著名なトピックから導き、数学起源の文化・歴史的意義を紐解くのは抵抗なく“著者的数学世界”へ入りやすい(19~24頁など)。続いて「代数学」では、アラビアの2次方程式(アルフワリズミの解法)を取り上げ、幾何学との連関(求積に依る解法)を取り上げ、その論理性と共に求積的解法故の限界(負数解の捨象)を指摘する(32~6頁)のは非常に判りやすい論旨だろう。次にデカルトの功績として、代数式の簡略化及び多項式の「次数」制限を取り払ったこと(≒多項式における「同次の規則」を有名無実化)を概説する(58~61頁など)。ニュートン力学の概説では、『プリンシピア自然哲学の数学的原理』から「ケプラーの第2・3法則」、「ニュートンの運動3法則」等概観し、宗教的世界観から「機械論的自然観」への歴史的転換、即ち“近現代的自然科学の濫觴又はパラダイムシフト”を示唆する筆致は説得力がある(76~82頁など)。他方「確率論」及び「集合論」には連関的解説に比較的ページを割いているところ(117~133頁ほか)、「ベイズの定理」(133~6頁)は証明式では(私には)些か手強い印象があり、例題解説(134~6頁)に注目した方が良いだろう。「コンピュータ」の構造概説(152~163頁)では、マシン語の基本解説があり、続いて幾つかの高級(汎用)言語について言及がある。システム(CPU)依存性の強いエンジニア(プログラマー)向けのマシン語の原理的(初歩的)解説は判りやすいが、その要否については評価の別れるところか。ここではCPUレジスタを「ACC」のみとする簡略モデルだが、実際は複数あって目的・用途別専用性(アドレス用・インデックス用・データ保持・スタックレベルほか)や、演算子の種類・使用方法(浮動小数点数値の扱いなど)もCPUにより異なる場合がある。本書ではメモリへのデータのR/W・加減算などの例を挙げているが、CPUによってはレジスタのゼロクリアを当該レジスタへの0値の読み込みではなく(同一レジスタの)“排他的論理和(XOR)”で、また累乗倍(×2・4・8…:×1/2・1/4・1/8…)を左・右ビットシフト(ローテート)で行うこともある(手作業の最適化)。その方がCPUの処理速度が速く、1回の演算処理でなく特定処理の膨大な回数の繰り返し(例えばグラフィックデータ・動画処理等)になると、僅かな処理速度の差が反応速度に如実に現れるからである。この後、再び確率論の延長として「数理統計」分野から「確率的背理法」及び「ラプラスの定理」の概説(170~8頁)があり、多少煩瑣な計算式を読み解く必要もあるが、「数理統計」の概略は把握できるように思われる。末章では「情報化社会」の概観であり「人工知能」にも言及があるが、社会における『数学』的手法の総論的意義と言って良いだろう。叙上の通り、タイトルにある『数学』の『文化』的特質の解説として際立った趣旨は稀薄な印象を受けたが、『数学』的方法・技術の歴史的意義と基礎的理解には本書は多くの示唆を与えてくれると思料される。