寺山修司の短歌 101 車輪の下に
2020.12.25 02:20
車輪の下に轢かれし汗の仔犬より暑き舗道に蚤とびだせり
「蚤」は、宿り主が死んで体温が下がると逃げ出すとされる。
「汗の仔犬」は、恐怖の為に発汗している、まだ息のある仔犬。
車に轢かれ息も絶え絶えの仔犬から、生命力が強くフライング気味に暑い舗道に飛び出した蚤を見て、「野生の本能」について思いを巡らせているのだろうか。
by 寺山修司(てらやま しゅうじ)
青森県出身の歌人、劇作家
演劇実験室「天井桟敷」主宰
言葉の錬金術師、昭和の啄木などの異名を持つ