POD(プリントオンデマンド)印刷って何?
POD(print on demand:プリントオンデマンド)なる印刷分野があります。
何か?というと、「必要なだけの量を必要な時に印刷する」という意味。
もともと印刷(特にオフセット印刷)というのは、大量生産することに特化した技術。
必要なだけの量(普通は小ロット)というのは苦手でした。
台東区&墨田区の印刷人Blog、管理人のKazuhiroです。
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小ロット対応印刷について
ここの部分は、かつては軽オフ(軽オフセット印刷)が担っていました。
軽オフセット印刷とは
オフセット印刷はアルミ製の版を使用し、大量の印刷に向いていますが、軽オフセット印刷は紙製の版(ピンクマスター)を使用。機械も小さい簡易的なオフセット印刷のことです。版のコストが安く、小ロット印刷に使われます。 ただし、版に強度が無く(紙のため)、大部数の印刷はできません。 また写真を含む精密な印刷もできません。
小ロット、1色、1枚ものの印刷物、というイメージと言えばピンときますかね。
POD印刷とは
対して、POD印刷(オンデマンド印刷とも)はデジタルデータから直接紙に印刷します。
こちらは、プリンターのイメージ。
というか、ハイエンドのプリンター(レーザープリンターの上位機種、プロダクションプリンターともいう)です。
印刷方式はトナー方式が主流ですが、インクジェットプリンターなども含めてPOD印刷ということもありますね。
できることは多岐にわたり、ただ小ロットの印刷に対応するというだけではもったいない。
代表的な技術に、可変データ(バリアブル)印刷なるものがあります。
これは何かというと、年賀状の宛名印字のことです。皆さんもご自宅のPCで年賀状のプリントをすると思いますが、1枚ずつ違う宛先がプリントされますよね、アレです。
その時に、宛先データを専用ソフトで作ると思います。それをもっと大がかり、かつ複雑に、様々なデータを扱えるようにしたものと捉えてください。
通常、住所録等のデータはエクセルなどの表計算ソフトで作られます。
大企業の持つ顧客データともなると、何千件という単位になります。
当然、作り直したりなどできませんので、表計算ソフトからデータを印刷。
この仕組みのことを可変データ(バリアブル)印刷と言います。
文字データのほかにも、画像データも可変データとして扱えます。
アイデア次第でいろんな展開が考えられますね。
金額は?
POD印刷は1枚当たりの単価が決まっているため、小ロットの印刷物に適した価格設定になっています。
しかし、印刷枚数が増えても単価が落ちないため、数量が増えると総額が跳ね上がることに。
一方、オフセット印刷はロットが小さいうちは定額となるため、比較して小ロット時の単価が上がります。
金額だけでは決められないところがありますが、基本は数量の大小でどちらで印刷をするかを決めます。
今後の展開は
ただし、POD印刷には弱点もあります。
色の再現性が不安定
広面積なベタ・グラデーションがにムラがでやすい
特色での印刷が不可
見当精度が低い
用紙の影響を受けやすい
などなど、要注意。
とは言え、近年のトナー方式を含めデジタルプリントの技術の発展は凄まじいものがあり、様々な点で改良が図られています。
さらに、インクジェットタイプや水性インクのデジタルオフセット印刷なる印刷機も登場しています。
アルミの版(刷版と言います)を使って大量印刷をするオフセット印刷、デジタルデータから直接紙に出力する小ロット対応のPOD印刷という境目が徐々に無くなりつつあります。
しかも、デジタル印刷機の性能が非常に高く、色の再現性などもGood!
印刷スピードもかなり上がってきています。
近い将来、現在のオフセット印刷機に取って代わるのは間違いないかな。
さて、いわゆるPOD(オンデマンド)印刷はどうかというと、ますます高機能化が進む・・・
のは間違いないと思いますが、そもそも紙への印刷が劇的に減っているので・・・
さらにデジタル技術に大半が置き換えられていく・・・
ですが、「必要なだけの量を必要な時に」という需要は間違いなくあると思うので、いかに新しい技術を活かして、新しい需要を生み出していくかがカギを握ると思います。