知られざるレバノンのクリスマス第四弾~洞窟教会
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南レバノン県の県都、サイダ市は住民のほとんどがムスリムですが、実は町からちょっと出ると同じ県内にもクリスチャンの小さな町や村がたくさんあります。最終回の今回は、首都ベイルートを離れて、南レバノンのクリスマスの様子をお届けします。
サイダ市南郊の町、マグドゥーシェも有名なクリスチャンの町のひとつ。レバノンの公用語のひとつであるフランス語表記にならって「Maghdouche」と綴られることが多いです。
こちらはマグドゥーシェの町広場にある教会。
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この町には、イエス・キリストがサイダの町で説教をしている間、母のマリアが待っていたとされる洞窟があり、そこに小さな教会が建てられています。イエスが生きた時代、ユダヤ教徒の女性は異教徒の町に入ることが許されていなかったため、マリアは町の外にあるこの洞窟で待っていたそうです。当時、サイダはカナン人の町で、彼らは多神教の神々を信じていました。
現在マグドゥーシェの住人の多くは、ギリシャ・カトリック(メルキト派)のクリスチャンです。ブドウや柑橘類の生産が盛んで、住民はマリアが待っていたとされるこの洞窟教会を「マンタラ」(アラビア語で「待つ」という意味)と呼び、誇りにしています。
毎年クリスマス・シーズンには、この教会もイルミネーションで飾られ、ムスリムも含めた多くの訪問客で賑わいます。しかし今年は、残念ながら経済危機やコロナ流行でイルミネーションは最低限、ひと気もまばらでした。
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「マンタラ」洞窟教会は、レバノン国内のみならず、世界中から来るクリスチャンの巡礼スポットでもあります。レバノンは出稼ぎに来ているクリスチャン、特にエチオピア人やフィリピン人が多いので、マンタラでこれらの国々出身の巡礼者グループを見かけることもしばしばあります。
マグドゥーシェの聖母子像タワー。ここからサイダの町やアインネルヘルウェ・パレスチナ難民キャンプなどが見下ろせます。
レバノンのクリスマス・シーズンは、この後1月6日まで続きます。最後に、おまけの写真はお洒落な首都ベイルートから。
今年はベイルート港での大爆発を含め(Beit Lebanonが生まれるきっかけとなった出来事でもあります)、レバノンでは悲しいことも多い年でしたが、レバノン人の立ち上がる力の強さに敬意を表しつつ、2020年を締めくくりたいと思います。
来年もまた、Beit Lebanonをどうぞよろしくお願い致します。
(写真・文:Beit Lebanon 法貴潤子))