Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

I'd love to see you again

寺山修司の短歌 109 サンドバッグを

2020.12.26 02:41


サンドバッグをわが叩くとき町中の不幸な青年よ 目を醒ませ


<>を付けた意味は何だろう。

「サンドバッグ」は、打撃練習用の大きな皮袋で、愚痴の聞き役や八つ当たりの対象をいうのだろう。

「青年」は、広く社会の中で自立を獲得していく時期で、怒りや迷い、不安といった自らの感情を持て余しており、悉(ことごと)く不幸を内在していると言えなくもない。

 

社会の中で自立出来ずにもがき苦しむ全ての青年に向け、「立ち上がって、持て余している自らの感情をぶつけて来い。私がサンドバッグとなって受け止めてやる」というのだろうか。


by 寺山修司(てらやま しゅうじ)  

青森県出身の歌人、劇作家   

演劇実験室「天井桟敷」主宰   

言葉の錬金術師、昭和の啄木などの異名を持つ