寺山修司の短歌 112 うしろ手に
2020.12.27 05:53
うしろ手に墜ちし雲雀をにぎりしめ君のピアノを窓より覗く
「墜ちし雲雀」は、繁殖期の雲雀(揚雲雀)が高く上がって縄張り宣言をした後に急降下することを言い、雲雀は自身の暗喩だろう。
後ろ手に堕ちた雲雀を握りしめるように、自らの欲望を(君に)悟られぬよう、ピアノを弾く君の姿を窓から覗いているのだ。
by 寺山修司(てらやま しゅうじ)
青森県出身の歌人、劇作家
演劇実験室「天井桟敷」主宰
言葉の錬金術師、昭和の啄木などの異名を持つ