2020年、中国のキーワード
黄 文葦
2020年、中国の社会現象を代表する流行語をいくつかを取り上げてみた。新型肺炎、武漢、社交距離、報復性消費、民法典…などある。
★「新型肺炎と武漢」
2020年、人類の歴史の中どのように記録されるのだろうか。見えないウイルスに無力だった人間が恐怖と衝撃を与えられた。年末にやっとワクチンが生まれたにもかかわらず、いつになったら徹底的に収束できるのかは、まだ不明だ。 新型コロナの発生源はまだはっきり調査されていないが、武漢は間違いなく最初に大規模な新型コロナ感染者が出た場所であった。
2019年12月30日、武漢市の武漢市衛生健康委員会は、華南海鮮市場から原因不明の肺炎の事例があるとのニュースを発表した。翌日、武漢市衛生健康委員会は、27件の肺炎症例が確認され、マスク着用を促すとともに、「予防可能で制御可能であり、「人から人への感染はこれまでに発見されていない」と強調した。
2020年1月1日、華南海鮮市場が封鎖された。しかし、1月19日まで、民間では新型コロナ状況についてまったくしらなかった。19日、専門家はやっと発信した。「新型コロナウイルスは、人から人へ感染するものだ」。だから、武漢の人は外に出ないように、外の人は入ってこないように呼びかけた。 1月23日10時、武漢は閉鎖されたが、その前にはすでに500万人が武漢を離れていた…
その中には、日本に上陸した人も少なくなかった。その時、日本のテレビ番組の中、東京の街で武漢からの観光客が「私と家族の健康のために日本に来ました」、と堂々と話していた。 その混沌とした初期対応は、世界中の人々を脅かす感染症のパンデミック(世界的大流行)につながったと考えられる。歴史の教訓を忘れてはいけない。
★「社交距離」
中国には人口が多く、本来、休日どこへ行っても、黒山のような人だかりである。もともと人々は社交距離の存在に気づかなかった。新型コロナ感染拡大の中、中国人が社交距離を体験した。 人と人の間には2メートルということ、大規模なパーティーをしないこと、ビーチで日光浴をしないこと、サッカーをしないこと、手をつないで歩くこともしないこと…新しい社会ルールが生まれる。 モールに入って買い物から清算までには距離を置かないといけないし、順番に気にしなかった中国人がやっとちゃんと距離をとって列を並ぶようになった。
★「報復性消費」(リベンジ消費)
中国の経済成長を牽引してきたのは6年連続で消費がナンバーワンの構成要素となっており、中国は世界トップの消費市場として米国を抜いていくと予想されている。 「報復性消費」とは、感染拡大期は外出もままならず、好きなものが買えなかった消費者が、その憂さを晴らすように「爆買い」に走る状況だ。2020年前半は、予想外の感染拡大で社会経済が一時停止し、2020年の後半、消費者の「報復性消費」に拍車がかかり、生産再開を望む企業が続出した。
各地方政府、ネットの電子商取引企業、銀行、商店など力を合わせて、さまざまな消費券を消費者に使われて、消費券の1元ごとに支出の10元以上を駆動するという目標を達成し、経済活力を高めた。 様々な消費者向けオファーに拍車がかかり、中国の国内消費は8月にようやく1年ぶりにプラス成長を示し、10月の消費財小売売上高は前年同月比4.3%増の3857.6億元、前月比1%ポイント増となった。 さらに、今年10月の国慶中秋節のゴールデンウィークに「報復性消費」が好調をより一層強化した。中国文化及び観光事業の統計によると、8日間の休日の間に、国内旅行者の人数は延べ6.37億人、79%の同期の回復を受け取り、国内観光事業の収入は466.56億元、同期に比べて、69.9%の回復を達成したことを示す。
一方、日本は新型コロナ対策と経済再生を両立し難しくなっている。冬になって、新型コロナがさらに迷走していく様子。感染予防と経済活動、両方が期待されて、両方が苦労しているようで…
★「民法典」
今年、中国では、重要な法律が誕生した。2020年5月22日から開催されている第13回中国全国人民代表大会の第3次会議では、「中華人民共和国民法典(草案)」が審議されるようになった。 同月28日午後、同草案は可決されたので、2020年6月1日には「民法典」の全文が正式に公布され、同法典が2021年1月1日より施行するとされている。同時に、婚姻法、相続法、民法総則、養子縁組法、担保法、契約法、財産法、侵権責任法、民法総則を廃止。
民法典が一国の民事生活を規制する法律の集大成として、その制定は広く関心を集めている。民法典の全文は、総則、物権、契約、人格権、婚姻、家庭、相続、および権利侵害責任という7編の計1260条からなります。
「社会生活百科」と呼ばれる民法典は、中国で初めて法典の名を冠した法律であり、市場経済の基本法であると同時に、法制度の中で基本的な位置を占めている。 中国は世界最大の人口と複雑な社会階層を持つ急速な発展を遂げており、それに伴って国民はより複雑な社会的葛藤や生活問題に直面している。
共産党政権70数年の間、中国の民法が形成してきたが、新法の導入や旧法の改正・補充に伴い、異なる民法の間でクロスオーバーや重複、さらには解釈の衝突が発生したり、特定の分野での記載漏れが残っていたりすることがあった。 すべての民法を一つのシステムに組み込み、より科学的で合理的で、論理的に矛盾のない優れた法典を必要としている。
「民法典」の誕生は、この必要性に応えるものである。
経済成長後、中国は人文環境を整え始めたとみられる。法律は重要な要素となった。中国人には、「民法典」の登場と今後の役割は、大衆の間で法治の精神を構築するための重要なものだと期待されているのが…
実に長い間、いつも人の支配は法の支配に勝る。とりあえず、権力者が「法治精神」を持つことだ。