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鳥取天文協会 Tottori Society of Astronomy

2020年の流星観測を総括

2020.12.28 12:56

年間観測量が過去最大(100夜18615分)になる!

 2020年は流星観測を本格的に始めて51年目になりますが、期せずして観測量が今までの記録を更新しました。これまでは1969年の56夜5425分でしたが、これを夜数で約2倍、観測時間で約3倍にする観測量でした。なんと51年ぶりの記録更新になります。この要因のひとつが新人発掘目的で実施した本協会の流星観測体験です。流星観測をお勧めしようとしている者が「昔はいっぱいやっていた」よりは「今でもいっぱいやっている」であるべきだと思ったからです。

 毎月の観測量は下図表に示します。勿論天候に恵まれたことも大きな要因です。尚、斉藤和子は妻ですが、彼女も流星観測者(日本流星研究会認定第三種観測者)です。2020年を簡単にまとめます。(河越 彰彦)

三大流星群

1月のしぶんぎ流星群(TSAニュース2020年2月号参照)
 観測できたが活動は不活発でした。

8月のペルセウス座流星群(TSAニュース2020年10月号参照)
 流星観測体験で活発な出現を見ることができました。また8月25日まで活動を確認でき、その最終を飾る流星が-3等級の火球だったことも印象的でした。

12月のふたご座流星群
 流星観測体験では悪天候で観測できなかったものの、八木谷さんに連れられて岡山県で観測できたのは望外のことでした。久々に見る6等星は目に痛く感じました。


その他の流星群

おとめ座流星群(3月~4月)
 実態の掴めない流星群として観測者のあいだでは知られているが、18夜3170分の眼視観測で平均HR=1であることがわかりました。時々不規則に存在する流星集団が短期的に出現する兆候はあるが、それを突発出現と称していいのか疑問です。

図1 おとめ座擬似流星群に所属すると思われる25個の流星経路(2020年3~4月) Ⓒ河越彰彦


さそりーいて座流星群(5月~6月)
 これも知られている割には詳細不明の流星群で、15夜、約41時間(2465分)の観測で平均HRは1以下だと結論しました。この群も小規模な集中出現性をもっています。こういう塊をクラスター(流星集団)と筆者は分類しています。また放射点が発表されているよりも約10度北であると思われます。

図2 さそり・いて座流星群に属すると思われる流星経路(2020,May,June) Ⓒ河越彰彦


うお座流星群(9月~10月)、おうし・おひつじ流星群(10月~11月)
(ペルセウス流星群活動期に同期して活動する流星群)
 遅ればせながら現在解析中です。


突発流星群
 普段の年は活動が観測されていないが、今年確実に突発性が捉えられたものを示します。


9月はくちょうーこぎつね座流星群
 図3参照。日本流星研究会、上田氏のネットワークでも確認された。

図3 9月はくちょうーこぎつね座流星群 2020-9-8/9


12月りゅう座α座流星群
 図4参照。同上

図4 12月りゅう座α座流星群 2020-12-15/16


大火球(衝撃波音を伴う隕石落下の可能性ある火球)
 8月21日22時33分に東京湾の外側、伊豆大島近海から内房に向けて飛来した爆発火球(少なくとも-6等)。
 関東各地で撮影されたにも関わらず肉眼で観測した人は筆者の他ほとんどいませんでした。この火球の爆発時には複数の破片が見られ、同時に体に異様な振動が感じられました。空気伝播の音ではなく電磁波音といわれる光速で伝播する波が人体を共振させる特殊波動です。これを報告したのは筆者のみです。軌道計算の結果、隕石が落下したとすれば千葉県内房の海であることも明らかになりました。
 この他、鳥取市さじアストロパークの全天カメラにも捕らえられ、宮本 敦様から提供を受けた画像とで見積もった火球の実経路などの結果は次号で報告したいと思います。


来年の目標

不確かな流星群に白黒つける
 特に外国(日本人が弱い欧米諸国)から伝わってくる流星群の中にはIAU(国際天文学連合)の名は冠するものの実態が怪しい流星群が多々あります。その数何百で、なんと毎日何個かが活動している勘定になります。言い換えれば唯の散在流星でも何かの流星群に所属してしまうことになります。明らかに存在しない流星群が混入されていて、その評価も曖昧です。観測センスの乏しい人はそれを信じてしまう有様です。これに対して計画的に対処している組織はなく、個人の判断にゆだねています。筆者は来年1月分から打撃リストを作成して計画的に観測評価していきます。

そのための観測体制
 月光や悪天候を避けて一週間になるべく連続2夜、1夜当たり3時間、これを3週間実施する。即ち一ヶ月6夜18時間(1080分)を投入して活動を評価する計画です。これだけでも年間72夜216時間(12960分)になります。この観測をすることによって観測センスも維持でき一石二鳥です。

 今年は目標をほぼ達成できて充実した一年でした。以上。