珠玉・花終る闇 (開高健全集) mobiダウンロード
2020.08.20 12:40
珠玉・花終る闇 (開高健全集)
本, 開高 健
珠玉・花終る闇 (開高健全集) は 開高 健 によって作成されました 各コピー0で販売されました. Le livre publié par 新潮社 (1992/08). Il contient 531ページ pages et classé dans le genre genre. Ce livre a une bonne réponse du lecteur, il a la cote 4.5 des lecteurs 1. Inscrivez-vous maintenant pour accéder à des milliers de livres disponibles pour téléchargement gratuit. L'inscription était gratuite.
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珠玉・花終る闇 (開高健全集) mobiダウンロード - 内容(「BOOK」データベースより) 従来の日本文学の枠を超えた行動と饒舌の作家・開高健 その巨大な足跡のすべてを明らかにする決定版全集。珠玉 花終る闇 死の直前まで著者が手を入れていた、3つの宝石の物語『珠玉』、ついに未完となった“闇の3部作”の完結編『花終る闇』ほか。以下は、珠玉・花終る闇 (開高健全集)に関する最も有用なレビューの一部です。 この本を購入する/読むことを決定する前にこれを検討することができます。
本書は開高健(1930-1989)全集第9巻です。収められているのは小説13篇です(以下の通り)。『渚にて』『ロマネ・コンティ・一九三五年』『黄昏の力』『飽満の種子』『貝塚をつくる』『玉、砕ける』『洗面器の唄』『怪物と爪楊枝』『戦場の博物誌』『赤い夜』『一日』『珠玉』『花終る闇』ご存じの通り『珠玉』(三部作)は絶筆です。『花終る闇』は「闇三部作」の最後になる予定だった未完の小説です。『ロマネ・コンティ・一九三五年』はそのワインの名前を有名にした作品です。残る9篇はヴェトナム戦争に直接もとづいた短編かヴェトナム体験にインスパイアされた短編です。これまでに私は単行本や文庫本で読んでいましたが今回Amazonで購入しじっくりと読み返しました。開高健は1989年3月19日水泳教室のあと飲んだオレンジジュースを嘔吐します。翌日、地元のT会病院で検査を受け数日後、東京のS会中央病院に転院。食道癌でしたが告知はされず同年4月、手術を受けます。横隔膜まで転移していました。同年7月、いったん退院。『珠玉』の第Ⅱ部 『玩物喪志』第Ⅲ部 『一滴の光』を書きあげ編集者に原稿を渡した翌日、再入院。同年12月9日肺炎を併発して亡くなりました。満年齢で享年58(かぞえ年齢なら享年60)でした。菊谷匡祐『開高健のいる風景』(集英社 2002)によると、同年11月19日妻・牧羊子が漢方スープを飲むことを強要し「これ飲まな、ガン治りゃせんデ!」とどなりました。これが「告知」となり開高健は静かに「出てけ‥‥‥」と答えました。その後ほとんど口をきかなくなり生きる気力を失ったかのように亡くなったそうです。開高健の絶筆であり白鳥の歌となった『珠玉』はトロワ・コント(三部作)の形式で3種類の宝石とそれをめぐる人間のストーリーです。1部=『掌のなかの海』=アクアマリン=青色2部=『玩物喪志』=ガーネット=赤・緋色3部=『一滴の光』=ムーン・ストーン=月光の色・乳白色1部は息子を海で喪った老医師の話です。立場を逆にして想像すると旧制中学1年のときに病死した開高健の父(国民学校教頭)に対するオマージュかもしれません。(なお1部だけは死の前年に完成していました)2部は表面的には中華料理店店主とコックの話ですが通奏低音のように流れるのは「緋色の研究」つまり「流血」「戦争」の記憶と回想です。開高健を開高健たらしめたヴェトナム戦争体験が真のテーマでしょう。第3部は若い女性新聞記者・阿佐緒との性交を描きました。短い作品ですが私は、これが未完に終わった『花終る闇』の決定版ではないかと思えてなりません。「某日」という『一滴の光』の初めの部分と「月日」という『花終る闇』の冒頭部分は文体とトーンと内容が似ています。『花終る闇』の若い女「フサ」のイメージと『一滴の光』の「阿佐緒」のイメージがどうしても重なるのです。『花終る闇』は『輝ける闇』『夏の闇』と続いた「闇三部作」の最後になる予定の作品でした。全体のタイトルが『漂えど沈まず』(ラテン語で fluctuat nec mergitur)となることも決めていました。『夏の闇』のあと書き始めましたが1976(S51)年ごろには頓挫しました。『夏の闇』の「女」(モデルはS)が『花終る闇』の「加奈子」ですがSが交通事故で急死したことをふまえ小説の中で女の死をどう描いたらいいかようわからん、どうともならんというのが理由です。菊谷匡祐の上掲書によると『花終る闇』は開高自身がいわば放棄した作品であり後に原稿は破棄したとも聞いたそうです。以上のいきさつを統合して考えると癌告知はされねど自分の死を意識した開高健が最後の気力・体力・知力をふりしぼって書いた決定版『花終る闇』が『一滴の光』であろうと私は考えています。開高の葬儀で弔辞を読んだ司馬遼太郎によると『一滴の光』のテーマは『夏の闇』よりもいっそうの容赦会釈もない「空」です。さもありなんと思います。実際に読んでいただければわかりますが濃厚な(というより多種多様な)性交のあと若い女の「阿佐緒」は疲れはてて眠ってしまいます。かすかに開いた唇から白い小さな歯が見えぽってりと豊かな肉づきの下唇に一滴の精液がキラリと光って見えた――というのがタイトル『一滴の光』の意味です。ムーン・ストーン=乳白色というイメージの連鎖です。作者の投影と思われる小説の語り手(『夏の闇』同様、一人称を表す代名詞は『一滴の光』の中にほとんど出てきません)は「阿佐緒」の性交中にフラッシュバックのようにいろいろな光景が一瞬、見える(よみがえる)ことが続いていました。それは月下の白い宮殿(タージ・マハール)だったり大いなる鐘の沈んだ淵だったりするのですが最後の「一滴の光」の中に見えたものは『夏の闇』の「女」=『花終る闇』の「加奈子」=モデルとしてのSだったと私は考えます。開高健は「女」の死を明示的に描くかわりにイメージとして聖霊として(幽霊として?)一瞬だけ暗示して「闇三部作」を閉じたのではないでしょうか。それを象徴するように『一滴の光』の最後の行は次の通りです。(‥‥‥女だった)開高健はモデルとなったSのためにレクイエムとして『夏の闇』を書きました。実際のSが亡くなったのは1970(S45 )年です。それから19年。死の直前の開高にとって永遠の女性は『一滴の光』の「阿佐緒」であり職業や年齢から推定するとそのモデルはKだったと思われます。『花終る闇』の「フサ」=『一滴の光』の「阿佐緒」=モデルとしてのKという比定が成り立ちます。佐藤嘉尚『「面白半分」の作家たち』(集英社新書 2003)によるとKは開高健の死の1年後ちょうど命日に自殺しました。(菊谷匡祐および佐藤嘉尚の引用書にはモデルSとモデルKの実名が載っています。ご興味ある方はあわせてお読みください)司馬遼太郎による弔辞の表現を借りれば開高健は『珠玉』(中でも第3部『一滴の光』)によってみずからの死に香煙をくゆらせみずからの葬儀をしつらえみずから声明梵唄を唱えた――のです。過去と未来の出来事を俯瞰して見れば開高健は『珠玉』によって20年前に逝ったSとまさに死なんとしている自分と1年後に死ぬことになるKへのレクイエムを書いたのだろうと私は考えています。一般に小説とモデルは別物です。多様な読み方が可能です。開高文学に興味のあるすべての方に本書をお勧めします。
によって 開高 健
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