2020年、ありがとうございました
怒涛の2020年も間もなく終わろうとしています。今年の抱負は「共有」でした。
2020年は言うまでもなく、新型コロナウィルス感染症の影響で世界中が大きく変化した一年でした。学校での出張授業や地域での講演会は次々と中止になり、演奏会や舞台の出演も悉くキャンセルになりました。Art&Artsとして当初計画していた演奏会はほぼすべて中止・内容変更となりました。俳優・声楽家としての年収は一般会社員の月収ほどにしかなりませんでした。
この状況下で真っ先に思案したのは、何よりも俳優業の仲間たちのことでした。
ただでさえ不安定な職業、掛け持ちのアルバイト収入さえ断たれて本格的に困窮している人もいました。クラウドファンディングが数多く立ち上がり、支援の輪が広がる一方で、補助金の申請に行って「求職活動」を求められた知人もおり、「音楽を仕事にすることは仕事のうちには入らないというのか」というモヤモヤ感が自粛下でどんどん大きくなっていきました。
「パフォーマンスを提供し、対価を得る。その場を提供し、文化の基盤となる経済を存続させること。」
この基本は、コロナを通じた激動の末にも変えてはいけない。では、どうやったら守れるか。そんなことを考え続けた一年でした。
自粛が明けようとする7月頭、興行が中止となったにも関わらずキャンセルが出来ない会場の使用権を知人劇団から一部譲受け、二週間にも満たない準備期間で急ごしらえの興行をしました。
その後、最終的には当初の計画に匹敵する回数の興行を立ち上げ・実行しました。感染症対策を行い、VRカメラなどの新たな設備を導入し、チケット販売数を半分にしました。客席数を半数にし、満席にしても赤字になる企画もありました。
2020年12月現在、Art&Artsの演奏会マネジメント部門の収益は相変わらずの大赤字です。でも、舞台をセッティングし、出演者に仕事を作る取り組みは、自分なりの「共有」でした。エンターテイメントで食っていかなくてもいいエンターテイナーとして、今年感じた感情は「音楽一本じゃなくてよかった」という安堵ではなく、エンターテイナーの端くれとして何をすべきかという使命感でした。
舞台のセッティングはもちろん、YouTubeチャンネルの収益化、ゲスト出演を依頼して報酬を支払う取り組みなど・・・
やれることは何でもやりました。
今年の取り組みが来年以降どう実を結ぶかはわかりません。でも、沢山の仲間たちと音楽をすることができた時の充足感は、まだまだ音楽を続けていきたいなと思えるものでした。
教育事業も同様です。こども六法の出版が実現してから一年、今年の間に刊行が実現したのは幻冬舎「こども六法すごろく」だけでした。そういう意味では、今年はあらゆる活動が実を結ぶまでは至らなかった一年でした。でも、何もしていなかったわけではありません。来年の刊行に向けて様々な企画が同時進行しています。2021年は楽しみな一年になるともいえるし、今年の成果が現れる意味では不安もあります。でも、いろいろな方に力添えを頂き、充実した一年になったことは間違いありません。
「共有」の一年、できる限りのことができたなという意味では悔いのない一年でした。でも、沢山の方から沢山のものを「共有」してもらった一年でもありました。
そういう意味では2020年は、抱負に恥じない、いい一年だったなと思います。
今年も沢山の方にお世話になりました。ありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。