現場の不具合原因解析と対策フォーマット
工場の正式な品質対策書、クレーム対策書を作成する前に使用する「原因調査再発防止フォーマット」を紹介します。
不良や、クレームの発生を抑えるには、最初に事実関係と物理的な原因(因果関係)を解明します。 次に、その物理的な原因を引き起こした品質管理の要因(5M)を洗い出して原因の絞り込みを行い、対策を行います。 その時注意することは、関連するルールの有無、不備の内容、ルールが守られているかを調査し、ルールに関わる対策を実施します。
・ルール無し、ルール不備・・・ルールの見直しと周知
・ルールが守られていない・・・作業員の教育と実施の監視
以下に、運転ミスの事例を示します。
Aさんが、業務中、車を運転し、カーブを曲がる際に、ハンドル操作を誤ってブロック塀にぶつかった。 左カーブを曲がる際に、ハンドル操作が悪く、内輪差により左側車体が壁にぶつかった 。Aさんは、運転免許取得後3カ月間、全く車を運転していなかった。 このような問題は、社内のルールがどうなっているのか?を解明する必要があります。
なぜ発生したのか?について、因果関係と背後の原因の2種類の原因究明を行います。事実調査は、現場、現物を観察し、ハンドル操作を誤って壁にぶつかったことがわかります。また、Aさんは、免許取得後3カ月であることもわかります。壁にぶつかった直接の因果関係として、運転ミスにより、内輪差を考慮せずに曲がったことがわかります。
背後の要因として、運転手が多忙で多が離せなかったため、Aさんが、運転せざるを得なかったことがわかります。ただし、Aさんは免許取得後、運転技能維持の訓練は未実施でした。
ルール上の問題として浮かび上がるのは、運転手がいない場合の対応方法のルールがない、技能者の教育訓練ルールがないことがわかります。
以上を、この対策フォーマットにまとめます。事実関係を明確にして、関連するルールの有無を調べます。
次に品質管理の要因を調べ、原因を絞り込みます。
対策は、ルールの設計です。ここでは技能者教育訓練基準を作成します。
業務に必要な技能の種類とレベルを明確にし、一定期間(通常6カ月、新人は1か月)ごとにレベルを測定・判定し、不足の場合、再教育を実施し、合格者は資格者として再認定します。
暫定対策として、業務上やむを得ず、技能資格者以外が操作する場合は、直属上司が、その業務に限り操作可否を判断します。
最後に、周知、順守の方策と、実施状況を確認し、再発防止が図られていることを確認します。