太平洋戦争と姫ゆり部隊(1962)
製作:昭和37年
監督:小森白
出演:南原宏治、上月左知子、嵐寛寿郎、安部徹、田崎芳江、仲曽根美樹
沖縄戦を描いた映画といえば、真っ先に岡本喜八監督の『激動の昭和史・ 沖縄決戦』が思い浮かびますが、それよりも10年近く前に沖縄戦を描いた映画があったことは、今となっては殆ど人々の記憶に残っていないことと思います。
それがこの『太平洋戦争と姫ゆり部隊』です。
新東宝で『明治天皇と日露大戦争』を大ヒットさせた大蔵貢が、その後、新東宝の社長の座を追われた後に、自ら立ち上げた『大蔵映画』にて製作した作品です。
特筆すべきは、何とこの作品は、邦画の中でも数少ない70mmの作品なのです!おそらくは『明治天皇と日露大戦争』の夢よもう一度、とばかりに大蔵貢が『70mm作品』というハッタリをかませたのでしょう。
で、この映画ですが、派手にドカン、ドカンと火薬を炸裂させるわ、大量のエキストラに戦車も出てくるわで確かにお金はかかっています。
しかし、ハードに金をかけすぎたのか、出演陣がちょっと寂しい…。牛島司令官を演じる嵐寛寿郎はともかく、その脇を固める参謀が南原宏治に安部徹という悪役御用達の面々なのです(笑)。
牛島司令官を演じる嵐寛寿郎は流石の貫禄ですね
大島参謀役の南原宏治。私の認識している南原宏治とギャップが(笑)
大島参謀と対立する川西参謀役の安部徹。子供には優しかったです(笑)
大峰先生役の上月左知子
姫ゆり部隊の面々
特撮は…頑張っていることは伝わってきます
押し寄せる米軍艦艇!
上陸した米軍 エキストラは多いですね
とにかく撃ちまくる米軍
迫り来る米軍戦車
日本軍も反撃!
従軍記者アーニー・パイルが亡くなる場面もあります
バックナー司令官も登場 この後、砲撃で戦死します
私がこの映画を始めてみたのは、もう何年も前にCSで放送された時でした。残念ながら、フィルムの傷や退色が目立ち、お世辞にも良い状態とはいえないものでした。DVDは持っておりませんが、おそらく同じ状態のものを収録しているものと推察します。そんなフィルムの状態もあってか、残念ながら『70mm作品』の風格は伝わってきませんでした。
しかも決定的に問題なのは、演出が単調ということです。70mmの撮影機材がかさばったのか判りませんが、とにかく画が単調で、ドカンドカンと派手にやっている割には、その様子を単に撮っているだけという感じで、後半にもなってくると見ている方もかなりダレてきますが、『激動の昭和史・ 沖縄決戦』よりも前に、沖縄戦の全貌を描く映画があったということで、もし視聴機会があれば一度は御覧になられては如何かと思います。