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これまでと、これから。卒業を前に思うこと。2年生インタビュー#3(熊倉和哉、影井蘭、風間き理、戸塚萌)

2021.02.11 10:20

あけましておめでとうこざいます。

いつも『Bunken Magazine』を読んでいただきありがとうございます。

今年も研修科一同、皆様に楽しんで頂けるよう記事を書いていきますので、よろしくお願いします。



第三回目の今回は「韮崎品子役、風間き理」「荏田宏和役 (A) / 日高聡史役 (B) 、熊倉和哉」「荏田仲子役、影井蘭」「演出部、戸塚萌」にお話を伺いました。

(左から影井蘭熊倉和哉戸塚萌風間き理


① 『萩家の三姉妹』について

―まず、『萩家の三姉妹』を読んだ時、どんな印象でしたか?影井さんからお願いします!


影井

えー、私からっ?!そうですねぇ……最初に読み終わった直後にまず、「んーーーーーーー」って書きましたね(笑)現実の自分と理想の自分、こうであるべきということと本当にしたいこと、が自分がどの状況か、精神状態にいるかによって矛盾してくる。それはチェーホフの『三人姉妹』を読んだ時もすごく感じたことで、じぶんを生きることについて考えさせられました。


熊倉

心の内をどこまで表現させていくかが大事な戯曲っすよね〜♨️



ー風間さんはお婆ちゃんの役が決まった時、どう感じました?


風間

初めて台本を読んだとき、

品子さんいいなあと思っていました。だから役が決まった時は嬉しくて。

でも、稽古開始の前日、11月23日に大好きだったおばあちゃんが亡くなって、とても複雑で、しんどくて、いつもとは違ったスタートになりました。萩家の日常は日本人の温度を感じるので、台詞を読んだり、稽古をしている最中、

いつも以上に「死」や「老い」を考えました。


戸塚

なんか濃いよね(笑)こんな立て続けに(事件が)起こっちゃっていいの?みたいな。『萩家の三姉妹』を初めて読んだ時に、時代設定が近いこともあってか原作よりも馴染みやすい感じがして、時代の置き換えの面白さを実感しました。


風間

確かにそうかもね!


戸塚

なんかすっと読めた。

最初、戯曲を読む時って、ジャンル問わず、「読み切れるかな~」って一瞬考えちゃうんだけど、この本はさくさく読めて、とても楽しい作品だなと。

私、三姉妹なんですけど




一同

えぇ~



戸塚

なんか被るんだよね……

 

ー(インタビュアーの柏が)わたしも3人姉妹です。


風間

やっぱ被るの?


ーめっちゃ被ります。


戸塚

何人目?


ー末っ子です。


戸塚

おお!私長女です。


風間

被るっていうのはどういう事?


戸塚

姉だからやらなくちゃ!と意気込んでしまったり(笑)。(柏に)末っ子ってさ期待大きくない?姉からの「立派になれよ!」みたいな(笑)


風間

えーほんとに?そうなの?



ー(柏)頷き



戸塚

なんか可愛いがっちゃうんだよね。

『萩家の三姉妹』ってさ、そういう姉妹的立ち位置が明確に書かれてる本だと思う。


影井

「次女ってこういうところあるんだよな」みたいな....


戸塚

そうそうそう(笑)みんなの悩みがあって、

それがちょっとずつ方向が違うのが面白いよね。

当事者達は大変だろうけど(笑)

(影井蘭)


② 演劇との出会い、文学座との出会い

―では、みなさんが文学座附属演劇研究所を受けようと思ったきっかけを教えて下さい!


戸塚

私は中学から演劇をやってて、演劇が学べる高校に行ってたんですよ。そこが文学座の方々が講師として入れ替わり立ち替わり来てくださる環境だったので、文学座が身近だったんですね。

で、高校の時から「アトリエの会」を観に来たりもしてたから「演劇やるなら文学座かな〜」って思ってて。元々は役者をやるつもりで高校入ったんですけど、講師の方々が指導していく中で役者たちが変わっていく光景がすごく面白くて、私もそういうアプローチのできる人になりたいと思って、演出部での受験を決めました。


風間

大学の教授に、「お芝居やりたいならまず、事務所とかに入るのではなく、研究所などで勉強しなさい」と言われたのがきっかけです。元々はデザイン系の方面に行こうかなと思って美大に行きました。

人間というものを考えること、

自分の中のもやもやしたなにかを考えること

それらを表に何かしらの形として表現することが好きでした。

大学でいろいろな表現に出会ったんです。その中で、自分自身を使う演技というものにすごく興味がわいた。それで卒業と同時に一番早い時期に試験のある文学座を受け、受かったので入りました。


影井

私は小さい頃からバレエをやっていて、高校3年生の時に進路で悩んだ時、ミュージカルを観て新たにそっちに興味を持って、1年間ミュージカルの養成所で学んでたんですよ。それでその時にお芝居の授業があって、「これはもっと深くやりたいな」って思ったので芝居を学ぶなら文学座!っていうのがあったから受けましたね。


(熊倉和哉)



③ 研究所での三年間

―では次に、本科と研修科の三年間で一番印象に残っていることを教えてください


熊倉

失恋っすかね。笑

とってもシゲキテキでした。


風間

あれかな、研修科1年生の時に58期って「あんまり目立ってない」って言われてて、「よしこれからだ!」って思っている時にコロナがやってきてしまい、状況がガラッと変わったこと。これはこれで、当たり前が覆されて、いい経験になってると自分は思ってます。というかいい経験にする。


戸塚

確かにそうかも。「今年はやったるで!」みたいな感じで年度を越えた気がするんだけど。


風間

そうだね。


戸塚

ふふふふふ(笑)


影井

賛美歌を『わが町』で何曲か歌って、『るつぼ』でも歌ったじゃないですか。みんなで練習してる時、凄く悲しくなっちゃって。「終わったら絶対今を思い出して悲しくなるんだろうな」って、今これを忘れないようにしよう!って思って、悲しくなりながらその時を噛みしめてました。


戸塚

なんで?寂しいとかじゃなくて?


影井

素敵の寂しさ?


風間

ステキノサビシサ?


影井

「終わってしまう」ことを感じるのもあるけど、みんなの音が重なってるっていうことが凄く悲しくなる……あ、その作品のもつメッセージとか想いが賛美歌とリンクして音にぐわっと凝縮されてるのを感じるからかも!


ー練習中ですか?それとも、稽古の流れでやってる時とか?


影井

練習中も、稽古の流れでも、一人でYouTubeで聴いてるときもだなぁ。


戸塚

私は『俳優についての逆説』

(作:宮本研 構成:坂口芳貞)かな。

結構しんどかったじゃない?

自分で書いた3分間の台本をやってみて、やっぱり外から見ているのと、実際に演じるのって全然違うなって思った。それで坂口芳貞さんに、「自分で書いといてなんなんですけど、ちょっと分かんないんですよね、この人の感情が。」って聞いたら、それを考えるのが演出家だろ?」って凄い意地悪な顔でへへへへって笑われたのが印象に残ってます。役者も大変だなって(笑)


風間

自分が思っていた以上に、世界には価値がいっぱいあるし、答えがいっぱいあるなって

三年間、いろんな人や演出家さんと一緒に芝居を作っていって本気で実感しました。

自分の中の感覚に向き合う機会が多かった。

例えば私だったら、上手くやることや綺麗に存在すること、整うこと、そういうことに引っ張られそうになる。けれども、果たしてそれが私にとって大切なことなのか、最高の価値だろうか?そうじゃないのではないか、私がしたいことは……と、

固定されていた概念みたいなのを破壊してくれるきっかけの多いところでした。


熊倉

演劇のいい所だよね。


風間

そうかもしれないよね。


戸塚

先輩後輩がいるっていう環境が、

凄く良いなって思ってて、先輩がはっちゃけたことをやると、「あ、ここまでやっていいんだ!」みたいになるんですよ。

そこが「本科」と「研修科」の違いかな。本科の時には分からなかった、お手本というか、「いいんだね、そこまで自由にやって!」っていうのが分かるのが印象的でした。

(戸塚萌)


④58期の"これから"

―これから先の人生で「こういう役者になりたい」「こんな作品を作りたい」という目標はありますか?


戸塚

えーなんだろうね、難しいねこの質問。

なんかこう、何の本をやっても「この人が作ったんだな」って分かる物を作れたら一番いいかなと思います。後、観終わった人が、何かをやりたくなる作品って凄く舞台として、成功したんだなって。

そういう物が作れるといいですね。めっちゃアバウトなんですけど。


影井

うーん。でも人として成長したいってのがあるかもしれない。映画とか舞台とかって、観た後にいろんな気持ちになる。それを自分がやる側になったときに、なんとか伝達したいというか、観る人が無心になって見ることができる人になれたらいいのかしらって、


熊倉

無心になって?


影井 

無心になってその人を見る、みたいな。お客さんがいて、舞台があってその世界があって、人がいて、その人の身体から、作品から、何かいいものがこう連鎖して……。観終わって劇場出たら、「よし!」ってなるみたいな?難しいですね(笑)


風間

こんな作品を作りたいというよりは、やってみたいことが何個かあります。

一つは、少し前からキックボクシングを始めたのでそれをいかせる役

あとはデザインすることも好きなので、デザインする立場で舞台などに関わってみたいな。今、自分の中で「棒人間」が流行っているので、それをなんとか利用したい。


熊倉

これから僕がどこで何をするのかサッパリ分かりませんが、演劇人だけで終わりたくないと思っています。

たぶん好奇心の趣くままに生きていくような気がします。

(風間き理)


⑤58期から59期へ

ーでは最後に、59期生に対してメッセージをお願いします。


熊倉

演出家に言われて表現を変えるとかじゃなく、自分が満足できるか?っていうところで極めていくと楽しいからオススメ。


風間

去年のインタビューこんな質問あったんすか?


戸塚

あったよ~、その時は「58期大人しいよねー」みたいな。

全体の意見として、「来年頑張って欲しいね」みたいなのが多くて、

すっごい悔しかった思い出が(笑)

今年はさ、否応無しに飲み会が禁止されたりとか、いろいろあったから直接マスク取って会話するっていうのが、なかったじゃない?


影井

確かに。


戸塚

舞台上で、この時期からは

「(マスクを外して)いいよ。」みたいなのが凄い、おかしな世界に来てしまった……って思ってたんだけど、


熊倉

形からしてもう、さ、腹を割って話すっていうのが難しいというか……


戸塚

ね、なんかフィルターが1枚あるって演劇としては凄い大変だなって思ったんですよ。

でも今、先輩たちが、次世代が無事に演劇を

出来るように凄い考えて、奔走してくれているから、どうか安心して楽しんで欲しいなっていう気持ちです。


影井

でもみんな、面白いって思います。


戸塚

濃ゆいよね。


影井

濃ゆい濃ゆい。なんだろうね……59期になにか……

楽しんでって言わなくても多分楽しむだろうなって思ってしまう……。


戸塚

いいことだよね。


影井

うん……。観に行きます。(笑)


一同

ありがとうございます。うれしい(笑)


風間

59期上手です〜。

59期が入ってきた時に58期よりも元気があるって誰かが言ってたような……。58期は先輩の57期がいた時もですが、比較されてきた気がします。



戸塚

私的には、59期が上がって来る事で、

58期の尻叩きになればいいなと思ってた節は

結構あって、

刺激を受けて頑張る年になりたいなって、

ちょっと思ってた。


風間

結果的にどうでした?


戸塚

や、でもやっぱり、二年生って凄いなって、

去年も先輩見てて思ったんだけど、思ったよ、今年も。だから良かった(笑)



ーありがとうございます。



戸塚

(久保田に)では、今日の総括を。



ーはい。まずは三年間、お疲れ様でした。



一同

まだ終わってないけど(笑)



インタビュー:柏亜由実久保田賢伸山田奈津子

写真:柏亜由実、山田奈津子

記事編成:久保田賢伸


※この記事はインタビューを元に再編成したものです。


研修科卒業発表会■

『萩家の三姉妹』

作:永井 愛 演出:松本祐子

日程:2021年1月21日(木)~24日(日) 予定

場所:文学座アトリエ


◆発表会における新型コロナウイルス感染予防対策について◆

◆卒業発表会における新型コロナウイルス感染予防対策について

発表会実施にあたり、政府が発出した緊急事態宣言, および東京都の新型コロナウイルス感染予防、拡大防止策を鑑みて、 卒業発表会の一般予約を受け付けず、関係者のみの対応とさせていただきます。何卒ご了承ください。 今後の状況次第では変更、中止を余儀なくされる可能性もございます。

研究所発表会を楽しみにされていた皆様には改めてお詫び申し上げます。