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同期生 「りぼん」が生んだ漫画家三人が語る45年 (集英社新書)
によって 一条 ゆかり
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ペーパーバック : 188 ページ
作者 : 一条 ゆかり
出版社 : 集英社 (2012/9/14)
コレクション : 本
ISBN-10 : 4087206564
フォーマット : Paperback, Hardcover, Epub, PDF, Kindle
発行日 : 2012/9/14
平均的な顧客フィードバック : 4.9 5つ星のうち(11人の読者)
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集英社の少女漫画雑誌「りぼん」が主宰した「第1回りぼん新人漫画賞」で準入選した一条ゆかり、弓月光と佳作の森田じゅん3名の「同期生」が、生い立ちからデビュー、そして現在までを赤裸々に語ったものである。後書きは、当時の担当編集者さんが書いており、正確には?4名の同期生の物語である。私は、弓月光の受賞作「ジェムと10億ポンド」以来の大ファンである。なので、ここで見つけて速攻購入し、一気に読んだ。トップバッターは一条さゆりで、かなり砕けた調子で、彼女の世界にどんどん引き込んでいく。ある種凄惨な家庭環境で育ったため(没落した資産階級のイメージはぴったりですが・・・)、「超現実的な性格で、ロマンは好きだがメルヘンは嫌い!」と言い放つのである。そして、高校3年生の時に本賞を受賞するのであるが(その前に、高校生作家として貸本漫画の世界で活躍していたと聞いて、またまたびっくり)、プロの漫画家としてやっていく決意を固めていくくだりは、圧巻である。一条は、弓月を「戦友」と呼んでいるが、デビュー以来互いの作品にかかわったり、悩みを共有したり、結びつきが強いのだろう。続いて森田じゅんは、受賞当時日大芸術学部で油彩を専攻する2年生だったそうな。田舎出身のノンポリ学生がモラトリアムに陥りながらも、何とか目標を見つけて自立していくのだが、本宮ひろ志さんの奥さんになってたんですね。そういえば、バックのキャラが森田風でしたモンね。なるほど、そういうことだったのかと、納得。3番目が弓月光。受賞作では、いかにも女性漫画っぽいものとは一線を画した硬質な線やキャラクター、ユーモアとギャグのセンス、該博な知識に裏打ちされた絵や台詞の緻密さに、ノックアウトされたものだった。一条とは同学年で、彼も高3で受賞したので、そのまま大学進学をあきらめてプロデビューすることとなる。弓月の作品は、バックなどにも手を抜かず、徹底した取材に基づいて描かれているので(人物はアシスタントのキャラが出ているが)、男の子が見ても十分に鑑賞に堪える作品であることが特徴である。一条に寄れば、何でものめり込んだらとことんのめり込むのだそうだ。スキーにはまったら、ゲレンデ前のマンションに部屋を買ったのだと。さすがである〜。最後に、3人にかかわった石原という編集者の「証言」も納められている。一条、森田、弓月の3人がいちようにページを割いているのは、いかに「編集者」の存在が大きいかということであろう。作家は、「編集者に育てられる」のである。その作家に可能性を見いだし、その良さを引き出し、読者につなぐ、というプロの仕事に対して、3人とも心から感謝しているのがわかる。それぞれの最後のページの近影や巻末の年表なども参考になった。時系列的に全ての弓月作品に目を通していたつもりで、作品のコンプを目指したこともあったが、意外と知らない作品があって驚いた。また、目標ができたのである。その他、当時の漫画界の実情などもわかり、たいへんに興味深かった。往時を知る人にとっては、たいへんに貴重な1冊ではなかろうか。